2023.10.23

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖

朝夕がめっきり涼しくなって、いよいよ秋本番。待望のアオリイカシーズンの到来だ。エギング人口が爆発的に増え、陸っぱりでは釣果を出すことが年々難しくなってきている。やっぱり手がたくイカを手にするにはオフショアだろう。今回はそんなボートエギングの応用編を紹介したい。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖

オフショアエギングの魅力

ボートや遊漁船で楽しむオフショアエギングの魅力は、なんといっても陸っぱりからは狙えない手つかずのポイントを狙えること。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖秋が深まると良型が増える(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

連日エギを見せられている堤防周りのアオリイカとは違い、素直にエギを抱いてくれるため、釣果は陸っぱりの比ではない。

キャスティングとティップラン

このオフショアエギングの代名詞ともいえるのが、ここ10年ほどの間に一気に浸透したティップランエギングだ。通常のエギでは攻められない水深20m以深のディープエリアを、重量級のエギを沈めて狙う。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖ティップランはドテラで広範囲を探る(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

強いバットと繊細なティップを備えたロッドを使い、ティップに現れる変化でアタリを取るメソッドだ。今まで誰にも攻められなかった深場のイカはさらにウブで、このメソッドが普及してオフショアエギングの釣果が飛躍的に伸びたのは間違いないだろう。

そして従来のキャスティングのエギングは、陸っぱりのタックルをそのままに、文字通り水深10mまでの浅場をキャストして根周りや海藻周りに潜むアオリイカを誘い出す釣り方だ。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖シャローはキャスティングで攻めるのが基本(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

陸っぱりとの違いは、船は足場が動くのでエギの着底が感知しにくいこと。そのためマスクシンカーやイトオモリなどで、エギを若干ウェイトアップさせ、着底をより確実に感知することが必要となる。

この2つのメソッドがオフショアエギングのメインとなるのだが、春の大型イカを狙うときはキャスティング、秋はティップランと大まかではあるが、使い分けられているように思う。

ADVERTISEMENT

ADVERTISEMENT

ティップランのメリット&デメリット

ティップランは前述の通り、水深20mより深場を攻めるのだが、船を風や潮に任せて流し、広範囲を探っていく釣りだ。メリットはやはり浅場以上に手つかずの深場を直撃して、よりウブなアオリイカにアプローチできること。

キャスティングでは分かりにくいと言われていたアオリイカのアタリだが、ティップランであれば繊細なティップ(穂先)にはっきり出るので、シャクったら乗っていた……なんてことはない。よってビギナーでも、簡単にイカを手にすることができる。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖水面でのスミには注意(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

デメリットとしては、風がなければ釣り自体が成立しないということ。船が風で流れなければ、同じ場所でエギを落とし続けなければならないため、そこにいるイカを釣ってしまえば後は移動して探っていくしかなくなるのだ。

また逆に風が強すぎても、釣りにくい状況になる。船が流れる速度が速く、着底が分かりにくくなるのだ。着底を感知することがこの釣りの絶対条件となるため、ただでさえ重いティップラン専用エギをウェイトアップさせていく必要がある。

ADVERTISEMENT

ADVERTISEMENT

キャスティングのメリット&デメリット

キャスティングは陸っぱりで行ってきたエギングを、そのままオフショアに持ち込んだものといっていい。ポイントは水深10mまでの浅場で、視認できる水中の藻場や根などの周りにエギをキャストし、2~5回ほどシャクリを入れた後のフォールでイカを抱かせる。その際に出るラインの変化でアタリを取ることが多い。

アタリはラインをスッと引き込むようなものから、ピンッと弾くもの、ゆっくり引き込まれているラインがピタッと止まったりするものなど、さまざまだ。

このメソッドのメリットとしては、低活性のアオリイカを誘い出して抱かせることができること。またシャクり上げてきたエギにアオリイカがついてくることも多く、サイトフィッシングも楽しめる。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖ジェット噴射は何度経験しても楽しい(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

デメリットとしては、ティップランとは真逆で風に弱いこと。船が流れるとラインも流されて、エギの着底やアタリも分かりにくくなる。またラインが大きくフケてしまい、エギが引っ張られて水中で不自然な姿勢になってしまう。

対策としてはキャストしてエギが着水したら、ロッドティップを水中に突っ込んで、ラインを水面にはわせて極力風の影響を受けないようにすること。ボートが風で流れ過ぎるようなら、アンカーを打つか、アンカーを宙づりにすることで対応できる。だが、釣りにくくアタリが分かりにくいことには変わりないので、そんなときはティップランに切り替える方が得策だ。

2通りのタックルを準備

オフショアエギングにおいて、この2つのメソッドを使い分けることが釣果を伸ばすカギとなる。タックルは2通り用意しよう。キャスティング用のエギングロッドだが、理由は後述するが春イカでも対応できるやや硬めのものがお勧めだ。

ティップラン用は7ft台の専用ロッド。リールはどちらも2500~3000番台のスピニングリールで、ラインはPEライン0.6号、リーダーはフロロカーボンラインの2号。ティップランの場合は2ヒロほどと、キャスティングよりも少し長めに取っておく。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖通常のエギはイトオモリでウェイトアップ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

キャスティング用のエギは2~3.5号。ここでのキモは2号の小型エギと、エギに付けるイトオモリやマスクシンカーなどのウェイトアップアイテムだ。浅場とはいっても、陸っぱりよりも深いポイントが多く、足場が動くボート上で確実に底を取るためには、エギのウェイトアップは不可欠だ。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖マスクシンカーも軽めと重めで使い分けよう(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

2号前後の小型のエギは、初期のミニサイズのイカを狙うためのものと思われがちだが、決してそんなことはない。オフショアエギングでも遊漁船が多いエリアでは、それなりにアオリイカはスレてきており、3号以上のエギでは極端に反応が悪いことがある。

10月に入ってそれなりにサイズアップしているイカに対しても、小型のエギは有効なのだ。小さいエギ=小イカという図式は間違いではないが、良型のアオリイカに対しても、非常に有効な手段となる。

逆に周りが2号のエギばかり使うようなら、3.5号の大きめのエギを投入するのもあり。要は周りとは違うことをやって、自分のエギを目立たせようとする意識が大事なのだ。

ティップラン用は、市販されている専用エギで十分。以前は3.5号が主流だったが、現在は3号や2.5号サイズも出ている。こちらも風が強くボートが流れる速度が速いときのために、ウェイトアップ用のシンカーを用意しておきたい。

メソッドを使い分けよう

状況に応じて攻めるメソッドを使い分けたい。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖状況に合わせてメソッドを組み合わせよう(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ケース1

ティップランで風が全くなく、船がほとんど流れない場合。本来であればキャスティングで攻めたいところだが、あいにく浅場のアオリイカの反応は薄い。そんな場合に使用するのが、キャスティング用のロッドとティップラン用エギの組み合わせだ。

つまり重量級のエギでのキャスティングで、深場を広範囲に攻めるのだ。このとき最も注意したいのが、タックルの破損。おそらくロッドの適合ウェイトよりも重いエギを投げるので、キャストには細心の注意を払いたい。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖無風時はタックルだけ替えてキャスティングで(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ピシッと振り切るのではなく、ロッドの胴にエギの重さを乗せるようにしてフワッと投げる。メーカー推奨のウェイト以上のエギを投げるわけなので、自己責任で行ってほしい。

また底を取れるギリギリの重さのエギを使うこと。通常のエギより重いので、当然滞空時間は短くなる。フォール、あるいはステイで抱かせる時間を多く取るため、底取りできるギリギリの重さのエギを使い、底を取ってシャクった後はテンションをかけてカーブフォールさせる。

着底するかしないかで再びシャクリを入れてエギを跳ね上げ、再びカーブフォール。手前まで来たら回収といった感じだ。アタリはテッィプランのように押さえ込むことも多いが、ラインを弾いたりいきなり持っていくようなアタリも出る。

ケース2

浅場でのイカの反応はいいが、風が強く船が流される速度が速い場合。

使うのはティップランタックルと、通常のエギをウェイトアップさせたものか、小型のティップラン用のエギ。水深は10m未満で船が速く流れているとき、普通ならキャスティングで攻めたいところだが、強風で非常に釣りにくい。

そんなときに狙うのは船下だ。浅いのでウェイトアップさせた通常のエギなら、底取りは容易なはず。底まで落として素早く2~3回シャクリを入れ、ピタッと止める。イメージとしては、超浅場のイカメタル。ツツイカのようにティップを持ち上げたり、グーッと持ち込んだりする。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖レンタルボートを利用するのもおすすめ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

船が流れているので広範囲を探れるうえ、浅場なのでそんなにラインに角度はつかない。ラインに角度がつきすぎたら、根掛かりのリスクもあるので、回収して入れ直そう。ティップラン専用ロッドの繊細なティップならではの、ゲーム性の高いエギングが楽しめる。

ボートや船からの【キャスティング&ティップラン】エギングを徹底解剖数釣りが楽しめる季節だ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

今回は2通りのケーススタディを紹介したが、自然相手の遊びなだけにさまざまなシチュエーションが想定される。だが、2通りのタックルと各種エギがあれば、ほとんどの状況には対応できると思う。深場なら絶対テッィプラン、浅場なら絶対キャスティング!といった固定観念を捨てて、試行錯誤を繰り返して楽しんでいただきたい。

<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2023年10月13日号に掲載された記事を再編集したものになります。

ADVERTISEMENT

ADVERTISEMENT

出典: https://tsurinews.jp/273897/
この記事を書いた人 TSURINEWS編集部

SHARE

FAVORITE