1、2度だけお遊びで短時間だけしたことのあるオフショアジギング。今年から本格参入を、と考えており、いろいろ調べていると絶好の相手を発見。初戦の相手としてマグロを釣りに行った。流行りのトンジギの素直な感想と様子をお伝えしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター永井航)
トンボジギングに初挑戦
三重県の志摩や鳥羽周辺から冬に盛んに出ているビンチョウマグロを狙ったジギング船。そんなにパワータックルでなくとも釣れるそうで、ブリタックルくらいで十分なようだ。
入門タックルとして選んだのは、ロッドがHORIZONMJHMJ5101B-Hに、リールをオシアジガーFカスタム2000NRHG。糸はPE3号400mにリーダー70lbを8mをチョイスした。
マグロの中では小型種のトンボマグロ。釣れるサイズは小さいもので7kgほど。なんだ、そんなもんか。と思うかもしれないが食材として考えた時、7kgの魚を一般家庭で購入するとなると勇気がいるだろう。ちなみにタネトンと呼ばれる成魚サイズは20kgオーバー。マグロの中では小型種なだけで普通にデカい。
精神力の耐久戦
この釣りの最大の問題が体力と精神力の耐久戦になるところ。ルアーは300~400g程度。当日は狙う水深が50~200m程度。これで1日シャクリ続け、後は船の下をマグロが通るのを待つというもの。もはやこの釣りに興味のない人からしたら完全に罰ゲーム。
三重の美丸は初心者にもオススメ
実釣当日は10年に一度と言われる大寒波が襲来中。ドMかもしれないと思いながら朝2時過ぎに車に乗り込む。
愛知発のため三重県を北から南下。四日市、鈴鹿あたりが一面アイスバーンになっており夏タイヤ車は走れず、路肩にうずくまっている。冬タイヤの私はなんとか志摩まで走破し、予約した美丸さんに乗り込んだ。
優しいが嬉しい
乗船名簿には名前などの情報だけでなく、レクチャーの有無、また話し掛けて欲しいか、などの項目もあり各釣り人にあった釣りを提供できるようにしてくれている。
船の方は皆優しくフレンドリーなのも高ポイント。わからないことがあったときに船長に聞きやすいのは船釣りの精神衛生上かなり重要。その点、美丸はその問題とは無縁だ。
荒れ模様のなか釣りスタート
船は30分ほどで初めのポイントに到着。ここ最近は朝一にチャンスが多いとの情報。船中ノーキャッチもあり得るこの釣りでは、チャンスは確実に獲りたいところだ。海は風も波もあり船内を横移動するのも難儀する揺れだ。

アナウンスでジグは400g指定。調べれば多く出てくるのであえてここでは説明しないがドテラ流しでの釣りとなる。気合い十分の1投目で嫌でも悟るのは私の手巻きでの限界がこの重さということ。なんなら300gまで落としたいのが本音。
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早々に船中本命連発
開始から40分ほどで船中でファーストヒット。ヒットさせた釣り人が出てるラインを叫び、一斉にみんなでその高さ合わせ連鎖で3人にヒット。ラインで60mほどでのヒットだったようだが、この時私はラインを180m放出中。こればっかりは仕方がない。船中に2本が上がり歓声が上がっている。
船長が締めてくれている間に再び別のアングラーにヒット。今度は私のルアーもヒットした高さの少し下にいたため、集中するもヒットしたアングラーとラインが交差してしまった。すぐに移動してお祭りが重症化する前に回避はできたが、掴まり立ちしないと歩けないような状況でルアーの操作ができなかったため棚ボケしたと判断。
9kg級マグロを初ゲット
焦る気持ちを抑えつつ冷静に一時回収しよう……、とリールのハンドルを回した瞬間にルアーをひったくるようなアタリ!!すかさず合わせると竿からしっかりと重量感が伝わる。
安堵と高揚感が一気に押し寄せるが、ここでトンジギでバラすのが多い人はアワセが弱い人、という情報をどこかで見た記憶がふと蘇り、慌てて追いアワセ!横方向には走るが決してめちゃくちゃにラインを出される訳ではなく、1、2度ズルッズルッと糸を出す程度。
しかし寄せてギラッと一瞬魚が見えたところで魚もこちらが見えたのだろう。一気に10m近くダッシュされてしまった。しかし手強い抵抗もここまで。次の寄せで水面まで上がり無事御用となった。

コトンサイズだが本格ジギング参戦の初戦で獲った本命のマグロには変わりない。魚は船長が締めてくれるため釣ったという喜びもそこそこに、私も次なる釣果を目指してルアーを潜水させる。ちなみに魚自体は9kgクラスのものだった。
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再度ヒットも無念のバラシ
同じ流しで私に再びのヒット!それを皮切りに2人にも連鎖。私も順調に寄せていたはずが急にマグロがパワーアップ。恐らくリアフックだけに掛かっていたのだがフロントフックが胴にスレてしまったようだ。巻くのも一苦労どころか、走り出すとスプールが一気に回ってしまう始末。
やっとこ魚影が見えたと思ったところでマグロが急旋回&急降下。なんとか耐えて勝負を決めに行こうと思ったが、なんとここでバラシ。最初は結束で抜けてしまったかと思ったが、よく見ると結束ではなくマグロが急旋回した時に船底と擦れてしまい弱ったところから弾けてしまったと思われる。初タックルでドラグ調整やテンションの掛け方が下手だった技量不足が悔やまれる。

その後は単発で何度か他の人が魚をキャッチし、最後の1流しでそれまで釣れていなかった人も無事にキャッチし、船中全員安打のニコニコで帰港となった。帰港後は記念撮影後にコーヒーをいただき帰り路へ。
釣ったビンチョウマグロを観察
帰宅後は家で妻に魚を見せびらかした後解体開始。解体しながらも今度は生物屋の血が騒ぐ。まず目を引くのはトンボマグロの特徴である大きな胸鰭。不釣り合いな程に大きい。この大きな胸鰭により小回りが効くことが予想できる。

またマグロの中では小型というのも小回り・旋回性に一役買っているだろう。そして背鰭には他のサバ科のカツオやマグロの仲間に見られる抵抗を限りなく無くすための収納ポケットがあり、高速遊泳にも抜かりなし。早く泳げて小回りが効く。これは捕食にも逃避にも有利な形質なはずだ。

マグロの中でビンチョウマグロは小型種だが小回りを効かせるため、あえて小型化したのではないだろうか。
釣魚グルメを堪能
さて、身の方はというとこんなに沢山の身取れるのか!というくらい身が取れる。妻もたまらず「2匹目釣ってたらどうしたの?」と聞いてくる。私も答えられない。今回の1匹も妻の実家や職場の人にも沢山あげたのだが、それでも5日くらいはマグロを食べ続けた(まだ竜田揚げ用の切り身と焼き用のカマがまだ冷凍庫に眠っている)。

複数匹ないし15kg以上の魚を釣った人はどう処理するのかもかなり気になるところである。ちなみコトンサイズでも大トロが結構あったことに驚いた。赤身部分も含め食味もバッチリであった。
ぜひ挑戦を
初の本格ジギングにおいて無事に本命を釣ることができたが、実際にやってみると手返しの遅さやシャクリ方など次に繋げるべき点を多く見つけられた。
体力消費はあるが思ったより簡単だったトンジギ。飛び込んでみるとなんとかなるので、マグロをジギングで狙って釣ったという実績を是非多くの人に味わってもらいたい。ただし釣れれば良いが、釣れない時の体力、精神力の損耗は計り知れないこと最後に付け加えたい。
<永井航/TSURINEWSライター>
美丸
出船場所:大王崎
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