
F1モナコGPの決勝レースで、角田裕毅(レッドブル)に追突してマシンにダメージを負い、リタイアすることになったピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、接触の原因について「ユウキがラインを変えた」と訴えた。
モナコGPの決勝では、3セットのタイヤを使用する義務が課されていたため、角田とガスリーは1周目にバーチャル・セーフティカーが宣言された際にピットイン。1回目のタイヤ交換義務を済ませた。
レース再開後は、ガスリーが角田を追う展開になった。しかし8周目、ヌーベル・シケインに向けたブレーキングポイントで、角田の後方にガスリーが追突。ガスリーはこの接触で左フロントサスペンションを中心にマシンに大ダメージを負い、リタイアすることになった。
国際映像ではガスリーの「ブレーキを失った」という無線交信が放映されたが、ガスリーは角田への追突がブレーキトラブルによるものではないとして、次のように語った。
「その無線は中継に載っていたみたいだけど、あれを言ったのはユウキとのアクシデントがあった後。ブレーキ自体は問題がなかった」
「ユウキはトンネルの手前でミスをした。それで彼にすごく接近できたんだ。それまでは毎周、彼はレーシングラインの右側でブレーキングしていたけど、その周はすごく接近していたから、僕は左に寄った。それで彼はラインの左側でブレーキングを始めたから、僕は右にラインを変えた。すると、彼が右に戻ってきたんだ。僕はその時、彼よりもブレーキングもシフトダウンも遅らせていたから、もうどこにも行くところがなかった」
「僕としては、自分のラインを守らなければいけなかった。すでに2台が並べるだけのスペースはなかった。でも、彼がスペースを残してくれると思ったんだ」
ガスリーはこの接触について、角田に責任があるはずだと指摘した。
「(彼が無線で何を言っても)問題ないよ。興奮している時は、僕も理解できないから」
そうガスリーは語った。
「普通のコースのブレーキングゾーンでは、ブレーキをかけたらそのラインに留まる。でも彼は、明らかにラインの左側でブレーキングを開始し、その後で白線を越えてきたんだ」
「これについては後で詳しく話すことになるだろう。彼としては最高のやり方ではなかったと思うね」
一方で角田はこの件について、「何も悪いことはしていない」と主張している。
「僕は何も悪いことはしていないと思いますよ」
角田は、ガスリーが不満を抱いていると聞かされた時、驚いてそう語った。
「もしもう一度同じようなシーンがあれば、僕も同じことをすると思います。ずっと壁に近いところを走っていましたからね」
「彼がオーバーテイクを仕掛けてくるのは分かっていましたし、ブレーキングで動きたくなかったんです」
レース後にスチュワードは、この接触について審議。その結果、角田はブレーキング時に動いておらず、通っていたラインもそれ以前とほぼ同じだったと認定し、角田の動きには問題ないことを確認した。一方でガスリーに対しては、ブレーキング中にリヤタイヤが若干ロックするなど、無謀なオーバーテイクであったと指摘。接触の原因の全てもしくは大部分がガスリーにあるとして、叱責処分を下した。
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