
レッドブルの角田裕毅は、F1モナコGP決勝で適用される2ストップ義務によって、チーム内でも損をするドライバー、得をするドライバーが出てくるのではないかと懸念している。
F1を象徴すると同時に、退屈なレースが批判の対象となってきたF1モナコGP。今年はそこにスパイスを加えるため、決勝ではドライ/ウエット問わず2回のピットストップが義務付けられた。ドライでは2種類のコンパウンドを計3セット使用することになる。
F1での初の試みにドライバーとチームの意見は割れており、角田は「アイデアは悪くない」としつつも、特別ルールの“犠牲者”が現れる可能性を指摘した。
レース中にセーフティカー(SC)やバーチャルセーフティカー(VSC)が出動した際、チームが上位につけるドライバーやエースを優先することは論理的な判断であり、アクシデントの可能性が高いモナコでは、そうした緊急ピットストップという状況が発生することも考えられる。
ただ、それによってセカンドドライバーは、ダブルピットストップ敢行の弊害としてボックス手前で待ちぼうけを食らったり、絶好のタイミングにピットに飛び込めなかったり、という可能性もある。後者の場合、モンテカルロ市街地サーキットのピットレーン制限速度が60km/hに設定されているため、ダメージもデカい。
「チームメイトと接近して走っている場合、セカンドドライバーにとっては良くないですね」
2回のピット義務について、モナコGPを前に角田はそう語った。
「まだ分かりませんが、2ストップ戦略は厄介なんです。ダブルピットインはできませんし、チームが取る戦略はいくつかあると思います。どうなるか様子を見てみようと思います」
「僕の意見としては、レース折り返しを前に何かしらのタイヤに交換して、全車が少なくとも後1回のピットストップを残すという状況になると思います。そうでなければ、最後の2周で2回ピットストップを行なうといったチームもいるかもしれません」
また、2ストップ戦略義務が必要だったと思うかと尋ねられた角田は「どうでしょうね。分かりませんよ」と答え、次のように続けた。
「とにかく、ここではオーバーテイクができません。そのため、何かしらのスパイスを加える、何か他のことをする……少なくともアイデア自体は悪くありません。どうなるか様子を見てみましょう」
「グリッド全体がそうなるとは思いませんが……フェアに扱われるはずですが、いくつかのチームでは、もうひとりのドライバーが多少の犠牲を被る必要に迫られると思います」
レッドブル昇格時に角田に課されていたミッションのひとつは、エースであるフェルスタッペンのサポートを行なうこと。しかし現在はマクラーレン2台に対してフェルスタッペンがひとりで立ち向かうという構図が続いており、互角の勝負に持ち込むため、角田は予選・決勝ともに上位を走行することが求められる。
予選で大クラッシュを喫した前戦エミリア・ロマーニャGPから引き続き、角田はモナコでも最新パッケージの2025年マシンRB21では走行しないが、決勝グリッド位置次第ではサポート役を担うこともできるはずだと語った。
「ベストは尽くしています。予選でトップ10に入れば、何かしらできるはずです」と角田は言う。
「イモラでは予選を戦えずQ3に行くことができませんでした。ただ、(昇格初戦の)日本を除けば僕はトップ10以内で予選を終えています」
「正直なところ、まだマシンを理解できていません。マシンは(以前所属していたレーシングブルズから)異なります。ベストを尽くしますし、徐々に接近していると思います」
「まだアップダウンが激しいですね。(エミリア・ロマーニャGPでは)急に接近しましたが、違うセットアップを試したら突然、離されてしまいました。そしてまた元に戻してみると、完全にフィーリングが掴めないという状況でした。まだ少しアップダウンがあります」
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT