
映画『F1』のプロデューサーを務めるジェリー・ブラッカイマーは、制作においてルイス・ハミルトンが可能な限り現実に基づいた作品になるよう、重要な役割を果たしたと語った。
映画F1は2025年に公開予定で、ブラッド・ピット演じるベテランドライバー“ソニー・ヘイズ”がF1引退生活から復帰し、ダムソン・イドリス演じる新人ドライバー“ジョシュア・ピアース”を育てる姿を描く。
ハミルトンは、脚本執筆プロセスに自ら参加し、レースシーンが正しく表現されるよう技術的なコンサルティングを行なうなど、映画製作におけるキーマンとなった。
「ルイスは我々を忠実にさせてくれる」とブラッカイマーは言う。
「彼は全てのレースを見て『この瞬間は2速じゃない。1速だ』と言うんだ」
「エンジンの音も、シフトチェンジの音も彼は全て聞こえている。レースシーンをすべて見ているし、彼は『このマシンに乗るためには、これくらい身体を仕上げなければいけない』と言ってくれた」
「だからブラッドには、トレーニングをしてもらった、彼の情報のおかげで、そういうことを沢山やっている」
Appleが主導するこの映画プロジェクトは、2025年6月25日に全世界で公開予定(アメリカは6月27日)。Appleでサービス担当上級副代表を務めるエディ・キューも、ハミルトンの貢献を称賛した。
「我々がこの映画の一部として行なっていることのひとつは、レースをリアルなモノにしたかったということだ」とキュー上級副代表は言う。
「ルイスの協力は非常に大きかった。彼はコーナーをマシンが曲がる時の音にまで耳を傾けていて、『あの音はあのコースには適していない。こういう音じゃない』という感じだった」
「そういうのを求めているんだ。ストーリーは常に重要だが、レースシーンは本当に本物であってほしかった。撮影が行なわれてきたが、ルイスはその点について素晴らしい働きをしてくれた」
この映画プロジェクトの脚本には、ハミルトン以外のドライバーからもアイデアが得られたという。
「登場人物に組み込まれている多くの事柄は、ドライバーたちから得たモノなんだ」とブラッカイマーは言う。
「多くのドライバーにインタビューを行なったが、彼らは自分の経験やF1に至るまでに経験したことをとてもオープンに語ってくれた」
「ドライバーの迷信のような小さなことも取り上げて、ブラッドのキャラクターに盛り込んだ」
グランプリ週末中に行なわれた映画の撮影風景を捉えた写真や動画がネット上には転がっている。また、アブダビGPではブラッド・ピットがレースで勝利し、ポディウムにフェラーリのシャルル・ルクレールやメルセデスのジョージ・ラッセルと共に登る姿があった。
公の場での撮影ともあり、映画のシナリオが薄っすらと浮かび上がるようにも思えるが、制作陣としては何の心配もないという。むしろ、映画公開への期待感を高めていると考えているようだ。
「今のところ、問題ない」とキュー上級副代表は言う。
「何が出てくるのか誰にも分からない。映画の撮影現場に行って、その映像を見ても、一体何が起こっているのか分からないだろう?」
「順番に撮影されているなんてことはないからね。YouTubeにブラッドが気絶している様子がアップされているのを見たけど、それでは話の流れが分からないだろう。実際は、その全てが役立っていると思う」
そして、ピットがコース上で気絶する様子が盛り込まれることが現実らしさの範囲内なのかどうか訊かれたキュー上級副代表は、2020年のバーレーンGPで当時ハースのロマン・グロージャンが大炎上クラッシュを喫しながらも生還したことを挙げて、次のように答えた。
「私は火の中から出てきた人を見たことがある。だから、気絶することはかなり現実的なことだと思う!」
またブラッカイマーも、これについて次のように説明した。
「映画の中の事件の多くは、実際の出来事や物語から引用されている」
「ブラッドがサーキットでやること、つまり彼がするトリックの全ては、何十年もの間、様々なレースでドライバーたちがやってきたことなんだ。彼は最速のマシンに乗っているわけでもなく、最速のドライバーでもないからね。ライバルに食らいつくために賢い戦術を使う必要があるんだ」
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