2024.5.8

県ごとにわかれていたディーラーが同一経営に! ホンダが直資系販売店を統合する狙いとは?

県ごとにわかれていたディーラーが同一経営に! ホンダが直資系販売店を統合する狙いとは?

この記事をまとめると

■ホンダは2024年4月1日付けでメーカー直資系(子会社)販売会社の統合を行った

■在庫車管理や一般管理コストの削減が目的だが値引きなどの面でユーザーメリットもある

■ホンダほどの大企業でも販売販路の整理に動くほど国内の新車販売が先細っている

ホンダのメーカー直資系販売店の統合を完了

 筆者の生活圏内でホンダ系正規ディーラーとなるホンダカーズ店の前を通ると、「ホンダモビリティ南関東誕生」といった表示が目についた。調べてみると、ホンダは4月1日付けで関東地域だけではなく、東北や沖縄を除く九州地区などでメーカー直資系(子会社)販売会社の統合を行っている。

 ホンダのみならず、新車ディーラーにはメーカーの子会社ともいえる「メーカー直資系」と、メーカーと資本関係のない地元の有力企業がオーナーとなる「地場資本系」が存在するが、今回の販社統合はあくまでメーカー直資系の統合となる。

ホンダカーズの店舗

 前述したホンダモビリティ南関東では、ホンダカーズ埼玉、ホンダカーズ東京中央、ホンダカーズ横浜、ホンダカーズ千葉の4社が統合された。ただし、「ホンダカーズ●●」という屋号はそのまま継続して使用されるとのことである。なお、今回の統合でホンダは全国のメーカー直資系販社の統合が完了したと報道されている。

 かつてメーカー系新車ディーラーは、各都道府県に1社、または複数などとそれぞれの都道府県内や、それぞれの都道府県内をいくつかの専売や併売エリアに分けてそれぞれの地域を担当する販売会社が存在するのが基本型であった。これはホンダだけの動きというわけではなく、一般論として、日本国内の新車販売台数が最盛期の半分ほどという落ち込みを見せるなか、少子高齢化により圧倒的に新規で新車購入するお客が少なくなっている現状ではやむなしともいえる。事実、既納客の高齢化により管理ユーザーの減少にも歯止めがきかず、アフターメンテナンス収入も十分見込めなくなってきており、都道府県という枠を超えて広域に販売会社を統合する動きはいままでもあった。

ホンダディーラーで車両整備してもらっている様子

 関東地域で見ていくと、三菱自動車系では「東日本三菱自動車販売」が、東京都、神奈川県、埼玉県、茨城県、栃木県及び山梨県と長野県を営業エリアとしている。また、マツダ系では、「関東マツダ」が東京都、神奈川県、埼玉県、群馬県を営業エリアにしている。

値引きなどのメリットが期待できる

 営業地域が都県をまたいでいることについてそれぞれ事情はあるのだろうが、「一般的には、在庫車管理など一般管理コストの削減などをメリットにしていることが多いようです。各都道府県というか、販社ごとに在庫車を管理するよりは、都道府県を超えての在庫車管理となれば、管理する在庫車も増えるので、ユーザーへもより短い納期で新車を届けることができたり、仕入れる台数が増えるので値引きなどの購入条件でも有利なものを引き出しやすくなるという“ユーザーメリット”も期待することができるでしょう」とは事情通。

 さらに事情通は、「ホンダモビリティ南関東になってから、当該ホンダカーズ店に行ったという人の話を聞くことができました。するとセールススタッフが新会社、つまり統合して間もないということもあり、”かなり魅力的な値引き額の提示も可能です”といった説明を受けたそうです。まずはより多くの顧客を囲い込むことを優先しているようです」とも語ってくれた。

ホンダディーラーの外観

 気になるのは、ホンダカーズ店にはメーカー直資系のほかに、地場資本系も存在するということ。しかも同地域内に複数の地場資本系ホンダカーズ店が存在する地域も目立つ。一部では「統合した新会社内に地場資本系ディーラーを支援する機能を設ける」と報じている。従来はメーカー直資と地場資本系は少なくとも見た目では対等な立場で販売活動をしているように見えた。地場資本系は値引き条件や、配車台数などではメーカー直資に及ばないぶん、地元に根付いた手厚いアフターサービスを売りにして共存共栄してきたと筆者は考えている。

ホンダディーラーの整備工場の様子

 ただ、本格的に都県をまたいだ統合会社が設立された現状では、地場資本系ディーラーは「販売協力店」、つまりサブディーラー的立場になっていくのかなあなどとも考えてしまう。いずれにしろ、いまの国内販売市場規模に適応させるとともに、労働集約型産業ともいわれる新車販売ビジネスは、現状でも働き手不足に悩まされているので、労働環境面でもホンダの直資系ディーラーの統合のような動きは、今後さらに避けて通れないものとなっていきそうである。

 今回のようなホンダの動きは、お客へのメリットも十分考慮されたものとなっているので、このような動きを不安に思う必要はないだろう。ホンダぐらいの販売ボリュームを持つブランドでも、本格的に国内販売体制の見直しに動かざるを得なかったほど国内新車販売市場は先細りが目立っているといってもいいだろう。

出典: https://www.webcartop.jp/2024/05/1348775/
この記事を書いた人 小林敦志

SHARE

FAVORITE

こちらの記事もおすすめ