カーワックスやコーティング剤といったカーケア用品の老舗、『シュアラスター』。
クルマファンなら誰もが知るブランドだが、そのシュアラスターが直営するプロショップが横浜にあるのはご存じだろうか?その名も『シュアラスターラボ』。完全予約制で、『ボディ純水精密洗浄』や『ボディコンディショニング』、『シュアラスターコーティング』といった、愛車をより美しくするメニューを豊富に用意しており、その仕上がりの良さは折り紙付きでリピーターも多いとか。今回はそのシュアラスターラボの責任者である平野 勝一氏に普段の洗車や、シュアラスター製品の使い方のコツ・ノウハウについて詳しく伺った。本連載では、以下の2回に分けて洗車のコツをご紹介する。
・前編: [本稿]プロに学ぶ、洗車のコツ!シュアラスター ラボに行ってみた【前編~洗浄・拭き上げ編~】
・後編: プロに学ぶ、洗車のコツ!シュアラスター ラボに行ってみた【後編~ボディ下地処理・仕上げ編~】
今回の内容は、以下の通りだ。
目次【前編】
1.洗車に適切なケミカルとは?
「いらっしゃいませ!」
歴史的な建造物やランドマークが立ち並ぶ横浜・山下町。その中心地ともいえる山下公園から徒歩1分という絶好のロケーションにシュアラスターラボはある。シンプルでかわいらしいクルマのイラストが描かれた立て看板の前に車を停めると、平野氏が明るい声で迎えてくれた。店内は明るく開放的で実にモダンな印象で、シュアラスター製品やプロショップならではの業務用ケミカル、高圧洗浄機や純水器といった設備が所狭しと並べられており、洗車好きにはたまらない空間となっている。
「本日は皆様にお役立ていただけるよう、当社製品の使い方のコツについてご紹介いたします。」
平野氏は過去に自動車整備士の経験や、シュアラスター商品の開発経験があり、まさにカーケアのプロ。使用されている素材に適したケミカル(洗浄に用いる薬剤)を瞬時に選択できるのも、長年の経験によるものだ。洗車において、このケミカルの選定が重要という。
「近年ではインターネットなどで業務用のケミカルを一般のお客様も購入できるようになり、選択の幅が広がっています。しかし、業務用のケミカルは確かに洗浄力が高く、非常に便利なのですがそれに伴うリスクも無視できません。残念ながら誤った使い方であったり、洗い流しが不十分であったりして、お車を奇麗にしたつもりがかえって傷めてしまうということもあり得ます。」
「私たちシュアラスターの製品は皆様にも安心してお使い頂けるようお車に優しく、正しい使い方をすれば効果を実感しやすい処方で作られていますので、ぜひこの機会に正しい使用方法で使ってみてください。」
基本的な使用方法については製品パッケージの裏面に記載があるとのことだが、使用する上で文章では伝えづらい、いくつかの“コツ”があるという。今回はなかなか知ることができないそのコツについても詳しくお伺いさせて頂く。
2.足回りの洗浄
「まず、足回りから洗浄していくことをおすすめします。」
一般に洗車の基本は“上から下へ”が鉄則とされている。ルーフから洗浄し、ボンネット・トランク、ボディサイド・・・といった具合だ。これは汚れた水が下へ流れるからであり、もしボディ下部から洗ってしまうとその後にボディ上部を洗った際、再びボディ下部を汚してしまうからという理由である。
「もちろん、上から下への鉄則はありますが、お車で一番汚れている場所はタイヤ・ホイールです。こういった場所は時間をかけて洗浄をしたいですよね。ボディ上から洗浄してしまうと、タイヤ・ホイールを洗浄している間に水や洗浄液が乾いてしまい、シミの原因になります。」
そう言うと平野氏は左手でボディへの跳ね返りを防ぎながらタイヤの洗浄を始める。
「このように片方の手で水の跳ね返りを防げば、ボディに水滴が付着しづらくなります。」
そう、実は水道水にはさまざまなミネラル・塩素が含まれており、これが乾燥するとイオンデポジットと呼ばれる非常に落としづらい厄介な汚れとなるのだ。もちろんシュアラスターラボではこういったリスクを最小限に抑えるべく、水道水のミネラルを除去する純水器と呼ばれる装置を完備している。しかし今回は読者の皆様の参考となるよう、あえて通常の水道水とホースで洗車をしていただいた。
「まず、たっぷりの水であらかじめ砂や泥を洗い落とすことが大切です。ボディの洗浄でも言えるのですが、この工程を省いてしまうと汚れが落ちないばかりか、付着した砂などを巻き込んでお車を傷付けてしまう原因になります。」
傷の原因となる砂や泥等の汚れを十分に洗い流したら、ムラにならないようホイール全体に『シュアラスター ホイールクリーナー』をスプレーし、乾燥しない程度(3~5分程度)待つ。弱アルカリ性なので輸入車でありがちなブレーキダストの汚れも効率的に落とすことができる。
「ホイールはもちろん、タイヤの汚れ落としにもお使いいただけます。ホイールクリーナーをスプレーしましたら、付属のブラシで汚れを落としていきます。付属のブラシについてですが、まれにお客様から短すぎるというご意見をいただくのですが、研究を重ね、この長さがベストバランスとなっております。ホイールの内部にも届き、スポーク裏も洗える絶妙な長さに設定しております。」
弱アルカリ性の本剤をタイヤにスプレーすると、みるみる茶色い汚れが浮き出てくる。この茶色い汚れは古いコーティングや汚れが含まれた泡なのだが、タイヤに含まれた劣化防止剤が溶け出している物でもあるとのこと。ついつい茶色い泡が出てくると落としたくなってしまうのが人間の心情だが、劣化防止剤はタイヤにとって必要な成分なので、過度に洗いすぎたり、液剤を散布してから放置しすぎたりしないよう注意が必要だ。
「最後に、液剤を残さないようにたっぷりの水で洗い流します。」
同社のホイールクリーナーは基本的には車に優しい処方となっているが、中性のカーシャンプーなどに比べると刺激性の液剤であるので、この工程をしっかりと行うのが大切とのこと。
3.ボディの洗浄
「これでホイール洗浄は完了です。ボディの洗浄に移りましょう。」
4本のタイヤすべてを洗い終えたら足回りの洗浄は完了。次にボディの洗浄となるが、ここでようやく洗車の基本“上から下へ”が登場。本来であればルーフから洗浄するとの事だが、今回は見やすいよう、ボンネットでデモンストレーションをして頂いた。
「まずたっぷりの水で汚れを洗い流します。これが大切なんです。お客様の中にはこう・・・チャッチャッチャと(素早くシャワーヘッドを動かし)洗い流したつもりになってしまう方もいらっしゃるようですが、時間をかけてたっぷりの水で流してあげてください。」
今回デモンストレーションで使用した車はソリッドホワイトのボディで傷が目立ちにくいが、ちょっとした線傷でも目立ってしまう濃色車においては汚れや砂の巻き込みは避けたいところ。いつもより1.5倍程度、時間をかけて汚れを洗い流してあげてもよさそうだ。
日ごろからメンテナンスされているボディであれば、この水洗いだけでおおかたの汚れは流れてしまうそう。やはり定期的な洗車が大切ということだ。
「次にボディ用のシャンプー液を作ります。『シュアラスター カーシャンプー1000』の場合、キャップ4杯を4リットルの水で薄め、よく泡立てます。」
ここでも使用するシャンプーの規定希釈率を守るのが大切との事。薄すぎると十分に泡立たず、洗浄力が足りなかったりボディに傷が入りやすくなってしまったりする。逆に濃すぎると泡切れが悪く、液剤がボディパネルの隙間に残ったりといったトラブルの原因となる。
「次に、ホースのノズルをストレートにして、泡立てます。」
「この状態ですと、まだキメが粗いんですよ。」
そう言って泡を手の平ですくい上げる平野氏。確かに何となく粗めの泡立ちだ。この状態だとまだシャンプー液としては不十分で、洗浄中時間とともに泡が落ちてしまったり潤滑剤の役割ができず、ボディに負担がかかるそう。
「このようにシャワーモードに切り替えて、泡を細かくします。」
ホースのダイヤルをシャワーモードに切り替え、シャンプー液に水流を当てると泡がみるみる細かくなっていく。なるほど、これならボディ側面でも泡が落ちにくそうだ。
「先ほどより泡が細かいのがわかるでしょうか?これでシャンプー液の完成です。」
確かに先ほどよりフワフワ・トロトロの泡となっていていかにもボディに優しそうだ。このひと手間が洗車の仕上がりを左右するとか。
「いよいよボディを洗浄してゆきます。先ほどお見せしたスポンジでも良いのですが、私はこのウォッシンググローブを強くおすすめします。」
平野氏が手にはめたのは『シュアラスター ウォッシンググローブ』。オーストラリア産の天然羊毛を使用し、柔らかくボディに優しいのが特徴の製品だ。スポンジと比べ手に嵌めて使うので落とす心配が少なく、安心して洗車ができるという。
たっぷりと泡を含ませたウォッシンググローブをボンネットの上で絞る平野氏。
「いきなりボディを洗い始めるのでなく、泡を洗浄面に乗せてから洗い始めると傷付きのリスクを減らせます。」
「こういったグリルなども、ウォッシンググローブだと細かいところまで洗えます。」
スポンジだと案外こういった細かい部分が洗いにくかったりするものだが、ウォッシンググローブを使うことで細かい部分まで指先を使って洗うことができるようだ。天然羊毛(ムートン)のウォッシンググローブはスポンジに比べて高価だが、使用後適切なケアを行えば長く使うことが出来るという。
「使用後はよく水洗いをして陰干ししてください。よくシャンプーを含ませたままバケツに入れて保管される方がいらっしゃるのですが、きちんとケアをしないと天然羊毛のため、毛が抜けてしまったりカビが生えてしまうことがあります。」
ボディの洗浄が完了したらシャワーモードで泡を洗い流してゆく。この時もたっぷりと水を使い、確実に泡を流し切ることが大切。シャンプー液が残るとシミになったりコーティング剤のムラ等につながってしまう。
「フロントウィンドウ下のカウルトップパネルの隙間に泡が残りがちなので、しっかりと水で流します。」
特に未塗装樹脂のパーツにシャンプー液が残るとシミになりやすいとのこと。忘れがちな部分であるので意識して流すようにしたい。
4.拭き上げ
「いよいよ拭き上げていきます。」
そう言って平野氏が取り出したのはSurLusterのロゴがプリントされた見慣れない青いクロスだ。
「現在、拭き上げに使用する多くの商品が販売されていますが、私はこれをおすすめします。シュアラスターのプレミアムラインで、『MASTER WORKS(マスターワークス)』というシリーズの『プレミアムワイピングクロス』です。」
『プレミアムワイピングクロス』はネット専売品で、一般のカー用品店では購入が出来ない『MASTER WORKS』シリーズからリリースされている拭き上げ用のワイピングクロスだ。いわゆる“人工セーム”とも呼ばれるPVAスポンジの本品はエッチング加工と呼ばれる特殊な表面加工が施されており、通常の人工セームに比べて約23%も摩擦抵抗を低減しているとのこと。
「これくらいの手のひらサイズに折りたたんで使用します。」
「広げて引っ張る方法もあるのですが、拭き残しでスジが残ったりしてしまいますので、丁寧に拭き上げると良いと思います。」
「素早く水を切るように拭き上げる方がいらっしゃいますが、これもまた、キズの原因となるのでゆっくりと、丁寧に拭き上げることをお勧めします。」
同社では『マイクロファイバークロスBIG』という大判でソフトなマイクロファイバークロスも販売されている。拭き上げの軽さや仕上がりなど好みに応じて使い分けると良いだろう。
「こちらのクロスは薄手で扱いやすいので、こういったグリルの隙間の水もこのように吸い取ることができます。」
優れた吸水力でグリルなど狭い隙間の水気もみるみる吸収されてゆく。
本稿では、シュアラスターの平野氏に使用するケミカルの説明や、足回り・ボディの洗浄、その後の拭き上げのコツなどをご説明頂いた。
後編はいよいよボディの下地処理やワックスなどのコツについて詳しくお話を伺う。
シュアラスターラボは、半世紀以上にわたりワックスをはじめカーケア用品の品質を追求し続けてきたシュアラスターが、最高品質のカーディテイリングサービスを提案するプライベートガレージ。
ラボで培った品質はオリジナルの製品としてもフィードバックされている。SurLuster Lab(シュアラスターラボ)
住所:神奈川県横浜市中区山下町25-15メットライフ山下町ビル1F
電話:0120-893-128
メール:lab@surluster.co.jp
営業時間:9:00 – 17:00
定休日:土・日・祝
プロに学ぶ、洗車のコツ!シュアラスター ラボに行ってみた【後編~ボディ下地処理・仕上げ編~】