アルパインツーリングブーツとして異色の力強さを備えていると話題のブーツ。その秘密をこのブーツを使い込んでいる深澤祐介のフィーリングをもとに紐解いてみる。
プロフィール

深澤祐介 ふかさわゆうすけ
1978年生まれ、栂池スキースクール所属。2002年から技術選に10度出場。基礎スキーの指導の傍ら、地元の小谷や白馬の山々を滑りまわる。
Instagram:@yusukefukasawa
アルペンブーツの滑走感覚を求めた1足
アルペンブーツと同じ感覚で切れ味鋭いターンを山の大斜面でも描きたいと思うスキーヤーは多い。その想いが募り、ウォークモードのついていないブーツを履き、コバを抑えるビンディングで山を登って滑る人も一定数いる。
栂池高原を拠点にバッジテストの検定員や技術選の選手たちをコーチする傍ら、バックカントリーを滑り、写真作品を残す深澤祐介もそうした考えをもっていた一人だ。
「ウォークモードのついたブーツを履いたときに、柔らかさを感じたんです。でも、それがないと登るときは前後に足首が曲がりにくく、疲れるし、正直キツい。本当はアルペンブーツで滑りたいですけど、歩くことを考えるとそこはトレードオフで仕方ないと言い聞かせて、これまでは滑っていたんです」
そんな彼がブーツに足を入れた瞬間に "これまでと違う" と感じたスキーブーツがスカルパの「4クアトロSL」だ。このブーツは61度という歩行時の可動域を持ち、片足の重量が1500gにも満たない軽さながら、ほどよい硬さを持ったフレックスがあり、アルペンブーツの性能と機動性をもっているアルパインツーリングブーツだ。

4-クアトロSL
サイズ=24.5-30cm
フレックス=120
ラストワイズ=100mm
重量=1,430g(27cm、1/2ペア)
可動域=61度
¥121,000 (予価)
※写真は25-26モデル
「足を通すと、これまでの兼用ブーツにはない足首の締まり具合を感じたんです。自分が理想とするブーツは足首がよく締まり、ターン中に力が逃げないこと。兼用ブーツはアッパーシェルとロアシェルの間部分が弱く感じるので、ターンのマックス時に力が逃げやい印象ですが、『4クアトロSL』は、その感覚がありません。力を最後までキープし続けられ、ターンが切れていく感覚があります」

「4クアトロSL」が力を逃さない理由は2つあると彼は分析している。ひとつは、スネを包み込むアッパーシェルの強さ。1枚1枚に厚みはないが、巻き込み力が強力。仮に手を挟んだら痛いほどだ。この力によって足首の収まりがとても良い。といっても、アルペンブーツのように脱ぎ履きに苦労はなく、足がスルッと入り、包みこんで着実に足首を締める印象だ。
もうひとつは、力がもっともかかるロアシェルの両サイド部分とカントパーツ周辺部分がカーボンで補強されていること。力がかかった時にロアシェルが広がり、力が分散する感覚がないという。
また、ブーツ後部の剛性も、かかと背面から立ち上がった部分の形状から脆弱性を感じない。

「僕は、このブーツを履いて山を滑るのはもちろん、SLベースの基礎板に乗ってゲレンデも滑ります。検定中に見本の滑りもしますよ。ロングターンやスピードを出した時に、力がブーツにかかっているときにエッジがよく噛み、体も遅れません。なので、ターンの切替時に体の下にブーツがあるから切り替える動作も入っていきやすいですね。ターンはよく切れるし、ブーツがスキーに負けません」
兼用靴ながら、滑走性能において、アルペンブーツにまったく引けを取らない「4クアトロSL」。スカルパではこの4クアトロシリーズのみがグリップウォークのソールを装備しており、種類豊富なグリップウォーク対応ビンディングが選択肢になる。61度の可動域があるウォークモードは、とくに前方向への可動が楽。平坦な地形を長く歩く時にその効果が存分に感じられるはずだ。

インナーブーツは熱成型可能なイントゥイションを採用する。ちなみに、深澤祐介が履いているのは昨季までのモデルになり、来季モデルはカラーや第2バックルの仕様が変わり、パワーベルトが伸縮するものに変わる。
「山屋はもちろんいいと思いますが、アルペンや基礎スキーをずっとやってきて、パウダーを滑ってみたい、山に登って滑りたい、という人は間違いなく、これが良いですよ。同じ感覚で滑れますから。しかも、この軽さで、この安心感。ヤバいっすよ」
Information
SCARPA(スカルパ)
公式サイト:https://www.lostarrow.co.jp/scarpa/
公式SNS:Facebook|X|YouTube
取扱い/㈱ロストアロー
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