スノーボードの経験がある程度あれば、スノーボードギアにおけるバインディングの重要性はお分かりだろう。決して主役級の派手さがあるわけではないのだが、緻密かつ繊細、そしてメカニカルなインターフェースであるバインディングこそ、滑りの根幹を支えているのはまぎれもない事実。そんなバインディングに注目してみると、ゲレンデで必ず目にするのが「FLUX」。今や言わずと知れた日本発のグローバルブランドだ。世界中で多くのスノーボーダーに愛用されるFLUXとはどんなブランドであり、その魅力はなんなのか? 昨シーズン30周年を迎えたFLUXに焦点を当て、その人気の秘密を探ってみた。
『日本人の足に合う最高のバインディング』を
FLUXは『日本人の足に合う最高のバインディング』をコンセプトに、1992年に誕生した30年以上の歴史を誇る日本発の老舗ブランド。スノーボード草創期に設立され、シーンの成長やギアの進化に多大な影響を与えてきた。そもそもアメリカ生まれのスノーボードの最先端はつねにアメリカにあり、ライディングスタイルからカルチャー、ファッション、ギアまで、憧れて真似をする立場だった日本から、なぜ FLUXのようなブランドが生まれたのか? その答えはとてもシンプルで、アメリカ人の使うバインディングの規格が決して日本人には合わなかったから。当時はすべての道具が現在とはかけ離れたクオリティで、バインディングもとりあえずブーツをボードに固定して滑れればOKというような時代。それにしても、日本人がスノーボードを楽しむためには、アメリカ発のバインディングサイズでは無理があったようだ。「合わないのならば、作ってしまおう!」そんな思いから開発がスタートしたのがはじまりだった。
ライダーによるリアルな声とオリジナリティを追求
FLUXがFLUXであるために欠かせないのが、開発者たちのモノづくりへの真摯な思いと、国内外に多く存在するライダーたちの存在。国内では阿部幹博、吉田尚弘、田原ライオ勝也、山崎勇亀、中井孝治、笠原啓二郎、関功、長谷川篤、そして次の世代を担う多くのライダー達。海外においてはジェイミー・リン、ブレイズ・ローゼンタール、マット・ハマー、ロメイン・デ・マルチ、JPソルバーグ、ジョン・ジャクソン、クリス・ラズマン……とそうそうたるメンバーが名を連ねる。ライダー達のフィードバックと独創的なアイデアと技術が、FLUXをバインディング界のパイオニアへと強力にプッシュしている。
フィット性・耐久性・品質の高さに自信あり!
世界に誇れる品質と技術によって、日本のみならず世界25ヶ国以上にて展開しているFLUX。確かな使い心地とフィット感の良さは、かつて大手トータルブランドのセットアップがセオリーだったバインディング選びの常識を打ち破った。もともとバインディング専門メーカーとしてスタートしたからこそ、あらゆるブーツやボードとのマッチアップを重視している。また、丈夫で壊れない耐久性の高さも、FLUXが高く評価される所以。現在はブーツやボードも取り扱うトータルブランドへと成長し、バインディングと最高にマッチするギアに今後は期待が高まる。
23-24 FLUX主要モデルの紹介
DS
FLUXで一番人気のDSは、さまざまなスタイルで遊びやすいミッドフレックスモデルで、コンディションを選ばないオールマイティーさが魅力。力の伝えにくいトーサイドはボードへの伝達効率を重視した幅広のベースプレート仕様となり、遊びやすさをだすために柔軟な動きが必要なヒールサイドは大型のスタビライザーによって可動域を拡げている。この組み合わせが、ジブやグラトリでの操作性や安定感だけでなく、カービング時もより安定したエッジングを可能にする。
from FLUXライダー「関功」レビュー
今期のDSはヒールサイドのスタビライザーが大きくなり、板とビンディングの一体感をより感じる事が出来ました。
DSの魅力は軽さ、扱い易くてgoodなギアです。
【 FLUX TALK 】関 功 isao seki 前編
XF
ハードめのフレックスで俊敏なレスポンスを持ち、爆発的なスピードとパワーを提供してくれるXF。カービング、キッカー、ハーフパイプなどのジャンルでその真価が発揮される。さらなるレスポンスアップと軽快な動きやすさを両立すべくベースプレートが一新され、大型のスタビライザーをヒールサイドに採用。反発性に優れた素材を使用することで、左右への可動域を拡げながらもボードに力を逃がすことなく伝えることができる。
FLUXライダー「中村 貴之」レビュー
XFはどんなシチュエーションでも安定感とレスポンスがあり、ボールド感もあるのでハイスピードでも安心して滑れます!
CV
他のモデルに比べて1.5cm高いヒールカップを持ち、ハイバックローテーションが最大30度まで可能なCVは、反応と可動を兼ね備えたモデル。高めのヒールカップは操作性の向上とドラグ防止に効果的で、調整機能が充実したこで、さまざまな場面や滑りのスタイルに合わせて細かなセッティングも可能。ハイバックは粘りと耐久性のあるスーパータフナイロン採用で可動域が拡がり、下部の厚みを増したことでレスポンスが向上している。
FLUXライダー「平間"RAMA"和徳」レビュー
スーパータフナイロンにより強化されたハイバックの反応、また、CVの特徴とも言える、前モデル中1番高く設定したヒールカップによって、ボードを極限まで立てる事ができます!
ヒールカップのホールド感はそのままに、新しく厚さが4ミリ増したニューフットベットにより、足の左右へのロールする動きに対応し易くなり、ハイバックのローテーションの調節量と合わせれば更なる可動域を作りだせます。
カービングターンからフリーライドまで死角なしの今季のCV是非楽しんで下さい。
GX
高速安定性に優れるレディースハイエンドモデル。 XFの要素を女性専用モデルに落とし込み、荒れたバーンでもキレのあるターンを実現する。さらに今期は通常のフットベッドより4mm高さをあげたBoost FootOn採用により、さらにクイックな切り返しと、安定したエッジングが可能に。振動吸収効果も高く、疲れを軽減してくれる。
FLUXライダー「広野あさみ」レビュー
GXは不整地も気にせずスピード出して滑れるほど安定感抜群。次これしたい!って思ったことを素直に即、板に伝えてくれる優秀バインです。
FLUXならではのアフターケアの取り組みがスゴい!
FLUXのコンセプトの一つに、“ストレスのないモノづくり”というものがある。これは、思うように滑れない、痛みがある、疲れやすい……など、道具に起因するストレスを感じないでスノーボードを楽しんで欲しいというもの。とりわけ一番のストレスは、道具の破損により滑れなくなることだろう。そのような事態を避けるために、FLUXでは耐久性を一番のポイントとして日々テストを繰り返してるという。
そのテスト基準も非常に厳しく、ここまでやっているスノーボードメーカーはほぼない。背景には、FLUXの会社が製品の破損がそのまま人命に係わる問題に直結してしまう車用品を扱うメーカーということがある。FLUXは、とても厳しい品質基準が設けられているチャイルドシートやキャリア、タイヤチェーンなどと同じ水準の品質基準を設け、そのテストをクリアして製品化されているというのだから、そのクオリティの高さにも納得だ。
ただ、残念ながらそのような品質基準をクリアしていても、壊れるときは壊れる。スキー場でそんな絶望的な状況になったときに対応すべく、FLUXではスキー場内のショップやスクール、また近隣のショップなどで広くパーツの取扱いを進めている。どこでもパーツが手に入る、ユーザーにとってそんなにも安心感があることはないだろう。
川場スキー場内にパーツセンターを開設
そんな現場からの声をお届けしよう。
「4年目を迎えるFLUXパーツセンターは、7階のプレミアムレンタルコーナーにて展開しております。
スキー場では毎日様々な用品の修理にてお問い合わせいただいておりますが、対応できるパーツが無くお困りの方も多数おられます。FLUXユーザーは不測の事態でも純正品にてその場ですぐに直すことができるため、ご利用いただいた方には非常に喜んで頂いております。こうしたお客様が安心して滑ることができる環境づくりは、スキー場とメーカーが手を組んでできる最高のサービスの一つと考えております。」
今後はさらに環境の整備を進め、一人でも多くの方が道具に起因するストレスを感じることなくスノーボードを純粋に楽しむことができる、そのようなモノづくり、環境づくりが期待される。
いつでも簡単に購入できるパーツ販売サイトも!
急ぎでない場合は、いつでも誰でも簡単に購入できるパーツ販売サイトの利用もオススメ。ビスやベルトなどの消耗品パーツも1個から手軽に購入できるので、予備を持っておくのも賢い手段だ。ここではあらゆるパーツが購入できるので、パーツのカラーを変えてみたり、違うモデルのパーツを組み替えてオリジナル仕様にするというようなマニアックなカスタマイズも可能(互換性などについては要確認)。
実際によく購入されるパーツ販売ランキングは以下のとおり。
長年愛用しているとどうしても消耗してしまうプラスチック製品の需要が高いことがわかる。逆にいうと、パーツを交換しながら大事に使うことで、より長くお気に入りのバインディングを使いつづけることができるということ。
パーツ販売サイトを利用して、より快適に、より自由にスノーボードを楽しもう!
FLUXが世界中で愛される理由が伝わっただろうか? 30年の歴史を経てさらに進化が加速するFLUXをぜひ体感し、その魅力を存分に味わってほしい。きっとFLUXがアナタのスノーボードの世界をより深く、面白いものにしてくれるはずだから!