ツール・ド・フランス2025は現地7月8日に第4ステージを行い、終盤にかけて連続した丘越えで前線に残った8人の優勝争いに。ここで抜群のキレを見せたタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)が今大会初勝利。ツール通算18勝目、そしてキャリア通算100勝目の節目の勝ち星となった。
4人の逃げで始まったレース
開幕地リールを含むフランス北部・ノール県でのステージを終え、第4ステージからは西進する。この日はアミアン・メトロポールからルーアンまでの174.2kmに設定され、終盤にかけて連続する4つのカテゴリー山岳がポイントに。最後に上る3級山岳ランプ・サン・ヒレールは登坂距離こそ800mながら、平均勾配は10.6%。フィニッシュに向けても上り基調で、クラシックレースさながらのコースがセッティングされた。

10.5kmのパレード走行を経てリアルスタートが切られると、4人が抜け出すことに成功。集団は無理に追わず、2分前後のタイム差で進行した。
この形勢は長く変わらず、フィニッシュまで100kmを切ったのを機にタイム差が1分台となった程度。メイン集団では数件のクラッシュが発生したが、レース展開を極端に揺るがすものにはならなかった。

いよいよ終盤へと移り、本格的に丘陵地帯へ。128.2km地点が頂上の4級山岳コート・ド・ジャック・アンクティルでは、逃げメンバーからレニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)が仕掛けたが、カスパー・アスグリーン(EFエデュケーション・イージーポスト、デンマーク)がかわして1位通過。
この後からメイン集団のペースが急速に上がり、143.3km地点に設けられる中間スプリントポイントに向けた駆け引きが激化。先頭グループ4人の通過後にメイン集団がやってきて、ポイント賞のマイヨ・ヴェールを着るジョナタン・ミラン(リドル・トレック、イタリア)が全体の5位通過。得点を加算している。

上り、スプリントとも切れ味抜群のポガチャル
長く逃げてきた4人だったが、146.6km地点が頂上となる3級山岳コート・ド・ベルブフで崩壊。マルティネスがアタックを決めて独走態勢に入ると、そのまま山岳ポイントを1位通過。メイン集団もペースを上げ、UAEチームエミレーツ・XRGが前方を固めた。

こうなると勢いは完全に集団が上回り、先頭で粘ったマルティネスはたちまちキャッチ。ここからは集団が加速度を増す一方で、この日3つ目のカテゴリー山岳である4級にコード・ド・ボンスクールをハイスピードでクリア。直後の下りからはチーム ヴィスマ・リースアバイクが前に出て、さらにペースを引き上げた。
迎えた3級山岳ランプ・サン・ヒレール。再び主導権がUAEに移り、ジョナタン・ナルバエス(エクアドル)からジョアン・アルメイダ(ポルトガル)とつないでいく。そしてフィニッシュまで5.5km、頂上まで300mのところでポガチャルが満を持してアタック。これをチェックできたのはヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)ただひとり、ヴィンゲゴーは頂上手前で一瞬踏み込みが止まりかかったが、持ち直してポガチャルの付き位置へ。後続とは10秒差で下りに移った。
ポガチャルとヴィンゲゴーのマッチアップになるかと思われたが、ここは互いに協調はせず、合流を急ぐ後続ライダーを待つ形に。最終局面に向けて最前線に残ったのは、ポガチャル、ヴィンゲゴー、アルメイダ、マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)、マッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)、オスカー・オンリー(チーム ピクニック・ポストNL、イギリス)の7人。そこにロマン・グレゴワール(グルパマ・エフデジ、フランス)が追いついて、8選手でフィニッシュへの上りに差し掛かった。
互いにエースを引き上げたいジョーゲンソンとアルメイダが牽引を試みるが、第2ステージに続く勝利を狙うマチューもポジションを上げる。残り200mを切って最終コーナーを抜けると、スプリント開始。マチューが先頭に立つも、いまひとつスピードに乗せきれない。その脇から伸びたのはポガチャル。マチューやヴィンゲゴーが追ったが届かず、ポガチャルが今大会初勝利となるステージ優勝を決めた。

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マチューとポガチャルが総合同タイムで並ぶ
ポガチャルはこれで、ツール通算18勝目。キャリア通算では100勝目の記念すべき勝利となった。レース後には「マイヨ・アルカンシエルを着ながらツールの舞台でキャリア100勝目を挙げられたことは信じられないほど素晴らしいこと」と喜びを語った。

これにより、ステージ優勝のボーナスタイム10秒を獲ったポガチャルは、同2位で6秒ボーナスを得たマチューと総合で同タイムに。ここまでのステージ順位から、マチューが引き続きマイヨ・ジョーヌを着用することに。ステージ3位で終えたヴィンゲゴーも4秒ボーナスをゲット。2人との総合タイム差は8秒としている。

激しいレースとなったこの日、総合系ライダーの多くが後れを取り、エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)とプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)が32秒差でのフィニッシュ。フェリックス・ガル(デカトロン・AG2Rラモンディアール チーム、オーストリア)とフロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)が54秒差、ベン・オコーナー(チーム ジェイコ・アルウラー)が1分49秒で終えている。
大会序盤にして激動のツール。翌9日は第5ステージとして、33kmの個人タイムトライアルが行われる。平坦コースで各選手の走力が試される。そこで発生するタイム差が、その後の総合争いへどう影響するか見ものとなる。
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ツール・ド・フランス2025 第4ステージ 結果
1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)3:50:29
2 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)ST
3 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)
4 オスカー・オンリー(チーム ピクニック・ポストNL、イギリス)
5 ロマン・グレゴワール(グルパマ・エフデジ、フランス)
6 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ・XRG、ポルトガル)
7 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’03”
8 マッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)ST
9 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+0’07”
10 ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)+0’10”
個人総合成績
1 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)16:46:00
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)ST
3 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+0’08”
4 マッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+0’19”
5 ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)+0’26”
6 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+0’48”
7 オスカー・オンリー(チーム ピクニック・ポストNL、イギリス)+0’55”
8 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ・XRG、ポルトガル)ST
9 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’58”
10 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+1’02”
ポイント賞
ジョナタン・ミラン(リドル・トレック、イタリア)
山岳賞
タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)
ヤングライダー賞
ケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)
チーム総合成績
チーム ヴィスマ・リースアバイク
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