2025.6.5

険しく猛々しい山には「岳」の名が付く! 六甲山地唯一の山“標高565,6m”の「ゴロゴロ岳」登山

矢穴のある岩と眺望

東西約30km、南北約10kmの規模で大阪湾に面して屹立する六甲山。西は神戸市須磨区、東は宝塚市、西宮市、芦屋市にまたがっており、最も高い「六甲最高峰(標高931m)」以下、無数のピークが集まる山塊です。須磨アルプス、高取山、菊水山、鍋蓋山、再度山、摩耶山など、多くの山がありますが、その中で唯一「〇〇山」ではなく、「岳」がつく山名なのが「ごろごろ岳」。

「岳」がつく山名でよく知られているのは、剱岳、槍ヶ岳、穂高岳など、険しく猛々しい山ばかりです。それでは、六甲山地唯一の「岳」がつく山はどんな山なんでしょう。先日、登りに行ってきたので、ご紹介します。

超高級住宅街として知られる芦屋のウラヤマ

ごろごろ岳の山頂へは、いくつものルートがあるのですが、先日は阪急電鉄芦屋川駅を起点に登りました。駅の東には芦屋川。そこから山側を見ると、すぐ近くに山が迫っています。

芦屋川駅北側

登る前に、まずは行動食をゲットしましょう。駅から徒歩2分と、すぐ近い場所なのに、ちょっとわかりにくい隠れ家のようなお店に立ち寄ります。

あげパンの店

「パイクとそら」というちょっと変わった店名で、同名の絵本が店内に置いてあります。かわいらしい紀州犬が主人公なのですが、このあたりの山であった実話が元になっています。内容については、ぜひお店を訪れたときに読んでみてください。

お買い物がすんだら、山手の高級住宅街を邸宅ウォッチングしながら登ります。見た目もすごい浮世離れしたお屋敷ばっかりなんですが、さすがに個人宅を勝手に撮影するわけにもいかないので、画像はなし。街はずれの公園からウラヤマへと入ります。

山道入口

公園の裏手から、山へ入る道が続いています。たぶん地元民しか知らないマイナーな道。でも、山道に入るととても気持ちのいい新緑の森の中にトレイルが続きます。

トレイル

この季節は、コナラなどの落葉樹が展葉を始めていて、コバノミツバツツジが花を咲かせているので、山道はとても鮮やかな色で彩られています。木々を渡る風が心地よく、鳥のさえずりに心癒されます。
しばらく歩いて、小腹が空いたのでおやつタイムに。先ほど購入したあげパンをいただきます。

あげパン

あんこが入ったもの、クリームチーズ入りのカスタードクリームが定番で選ぶのが悩ましい。どちらも大好きなのですが、この日はクリームパンにしました。パン粉ではなく、穀物の粒を衣にしているので、揚げ物だけどさっぱりとしていて、いくつでも食べられそう。

今日目指しているピーク「ごろごろ岳」は、ちょっと変わった名前ですが、その由来にはいくつかの説があります。

「岩がごろごろしているから」、「雷がよく落ちて、ごろごろ言うから」という説もあるのですが、「標高が565.5mだから」とも言われていて、ほかの2説も間違いではないのかもしれないけれど、標高はたしかにその通りなのです。いわゆる「低山」のなかでも本当に標高の低い山なのですが、海に面した六甲山の南斜面。少し登ると、標高の割に素晴らしい絶景が楽しめます。

眺望

六甲山地でも東側のエリアなので、東側を見ると大阪の街並みが見えます。ビルが密集する大阪市内がほぼ一望できて、空気が澄んでいれば奈良方面の山も見えます。そして、緑の中に花崗岩が点在する六甲山らしい景観が魅力だと思います。

岩と新緑

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ミステリアスな謎の岩を経ていよいよ「ごろごろ岳」ピークへ

このエリアには、「大坂城の残念石」と呼ばれる石があります。登山道の脇にも点々とあるのですが、
山頂のちょっと手前に、その残念石の巨大なものがある、ナイショのビュースポットがあるので立ち寄ってみます。

矢穴のある岩と眺望

大坂城を築城するとき、各地の大名に石材の供出を命じたのですが、このあたりからもたくさんの石が運ばれました。運ぼうとした形跡はあるけど、現地に残されている石を「残念石」と呼んでいます。

石の表面に、「矢穴」と呼ばれる穴が穿ってあります。巨岩を割って運びやすくするためにつけられたものです。割ろうとしたけど、なんらかの理由でそのまま放置されたということのようです。奥に見えているのは六甲山の南麓、東側寄りの芦屋や西宮あたりから大阪エリアです。

矢穴

電動工具や重機がない時代に、岩に穴を穿ったり、割って運んだりした人たちの技術力ってすごいなと思います。登山道に戻り、ひと登りすると山頂。芦屋奥池という別荘街の外れ、お屋敷の庭のすぐわきに山頂があります。

ごろごろ岳山頂

「猛々しい」とか、「険しい」とか、そんな言葉とはまるで無縁の、なだらかな山頂部。なんなら、ハイヒールで来ることだってできそうなピークです。初めて来た人はちょっとがっかりするかも? 山頂からは、別荘街の車道を下ると30分ほどで、バス停へも近い奥池のほとりへ。

芦屋奥池

かつては山麓の農民たちが農業用水を確保するために重要だった池ですが、今は山麓住民の大切な水源となっています。景観の美しい場所で、夏は涼しくて最高です。

【データ】
芦屋あげパン パイクとそら
公式Instagram
https://www.instagram.com/paikutosora/?hl=ja

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出典: https://www.sotolover.com/2025/06/164390/
この記事を書いた人 根岸真理

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