2024.10.21

長瀞と皆野の2大「里山アルプス」が聳える! 意外な急登とクモの巣と格闘する前原尾根を行く

皆野橋から望む皆野アルプスの山並み

関東首都圏で人気の山域といえば奥多摩、丹沢、そして埼玉の秩父山塊。奥多摩には1000m級から最高峰の雲取山2000mまでの高山が揃っています。また神奈川の一大山塊である丹沢には日本百名山の丹沢山を中心に東西に巨大な2ブロックを敷いています。一方の秩父はいずれも一癖も二癖もある名低山ゾーンといえます。秩父のコアブロックの長瀞ゾーンには、長瀞と皆野の2大里山アルプスが控えています。

秩父の観光名所「長瀞」の先約5.5kmの低山アルプス

皆野アルプスは秩父盆地の北側にある破風山(はっぷさん・標高626m)を主峰とする関東ふれあいの道(関東一都六県を一周する長距離自然歩道)を、秩父鉄道・皆野駅側から伸びる前原尾根コースと西側にある如金峰(にょっきんほう)コースとで挟んだ、東西約5.5kmのご当地アルプスの登山道です。

もちろん、破風山の単座でもこの皆野アルプスルート以外にも南北から3〜4本のコースが選べるという人気の山でもあります。

皆野アルプス最奥部の如金峰コース標識

公共交通機関を利用する場合は秩父鉄道の皆野駅から歩いて大渕登山口、もしくはバスで風戸(ふっと)か秩父三十四番札所で知られる水潜寺、ないしは上沢辺からの登頂となります。

またクルマ利用なら大渕登山口近くと、風戸登山口近くの秩父温泉前町営駐車場、そしてルート上では最奥部になる秩父華厳の滝近くの駐車場の3カ所と、マイカー派にも利便性が高いことも人気の理由かと思います。ここでは破風山を目指す皆野アルプスルートの前衛峰・前原尾根をまずは取り上げます。

迫力ある秩父華厳の滝

大渕登山口手前にある国指定天然記念物に寄り道見学

皆野駅を降り立って、駅右手の脇道を回り込んで踏切を渡ります。ロードサイドに商店が並ぶ県道43号を西に進み荒川に架かる皆野橋を渡り県道44号を北上。皆野橋からは隣の宝登山や破風山が見えます。程なく右手に広い破風山登山口駐車場があります。砂利敷きの30台前後駐車可能なスペースがあります。

皆野駅の駅舎

この駐車場から5分ほど歩いた先の大渕集落に大渕登山口がありますが、その途中に皆野の名所でもある「前原の不整合」があります。駐車場からは20mほどでしょうか。荒川に合流する赤平川手前の河原に降り立ったところにある崖が、それです。

前原の不整合

「前原の不整合」は上下の2つの地層で形成されています。下部の黒っぽい岩が頁岩の層で約2億年から1億5000年前の中生代ジュラ紀のもので、上部に約1700万年前の新生代第三紀の礫岩や砂岩で構成された層が重なっている、大きな時間差のある地層を不整合と呼ぶそうです。国の天然記念物でもあります。寄り道しても十数分程度なので一度は見学しておいてもいいかもしれません。

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ロープ場もある急登の前原尾根コースで男体拝まで

「前原の不整合」の交差点から県道が走る集落の果樹畑が並ぶ中に大渕登山口の標識があります。果樹畑の間道の先に登山者カウンターが置かれています。ここから前原山への急登が始まります。

登山者用のカウンター

樹林帯を縫うように走る登山道は意外なほどの急登で、時折ロープも散見できます。ロープに頼るほどではないとは思いますが、ハイキングシューズ程度だと手こずるかもしれません。また、破風山登山ルートとしては妙に距離も長いせいか、時期を外すと登山者数も少なくなるのか、登山道にはクモの巣がバリケードのように広がっていたりします。クモの巣への留意は必要かもしれません。

登山道のロープ場

登山口から30分ほどで標高347mの前原山です。木々に囲まれた山頂からの眺望は、残念ながら皆無。さらにアップダウンをこなしながら10分も進んだ先の前原岩稜と呼ばれる岩のあるヤセ尾根で秩父盆地への眺望が開けます。樹間に見える独特な山頂は武甲山でしょうか。ちなみに皆野駅のホーム南側から武甲山の超三角形な山容を眺めることができます。ここは前原尾根コース上の絶好の休憩ポイントかと思います。

前原岩稜からの展望と左端に三角形の山が武甲山

さらに進んで国頭登山口からのルートと合流し、ロープが設置されたプチ岩場を乗り越え標高399mの三又ピークへ。この辺りからは春はミツバツツジやヤマツツジの鑑賞ポイントでもあります。

小さなアップダウンのロープ岩場

小さなアップダウンを繰り返し、再度ロープのある岩場を乗り越えて、北側の眺望が開けた男体拝(なんたいおがみ)にたどり着きます。日光方面にひらけた展望ポイントです。残念ながら男体山は木々が邪魔をし展望は良くありませんが、隣の宝登山の緩やかな山並みを見ることができます。

男体拝のピーク

この先で風戸からの関東ふれあいの道と合流します。風戸側に下るもよし、そのまま登山道を進んで破風山を目指すのも、もちろんオススメです。破風山頂からの遠望も見応えあります。

風戸の分岐

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出典: https://www.sotolover.com/2024/10/133792/
この記事を書いた人 ソトラバ編集部

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