アラをはじめ、マダラやオキメバル、ソイの仲間など、釣っておもしろく食味抜群の魚たちが名を連ねる日本海のスロージギング。そのフィールドのひとつ能登半島沖は、希少魚のアラと高確率で出会えるため注目を集めている。今回、このゲームの攻略ノウハウや実釣のほか、スロージギング入門にお勧めのロッドとしてオリムピックのプロトンUX-SJシリーズを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:遊心丸)
アラ&タラ狙いのスロージギング
北陸を中心としたアラやタラのジギングは、初夏から夏にかけて好期を迎える。タラに狙いを絞って冬場にも行われるが、状況が異なるため今回は省略する。
使用するジグは250~400gが使われるが、300g以上は必ず持参したい。ラインやリーダーに関しては、船によって推奨値があるので釣行時に確認すること。

ターゲットは上述の2魚種のほか、オキメバルやタヌキメバル、オニカサゴやカガミダイなど、非常に美味と評される魚が名を連ねる。
「家族が青物やマダイに飽きてしまった…」そんな悩みを抱えている人は、迷わず挑戦するべき。事務的に魚を消費していた食卓に笑顔と感動が復活する。かく言う筆者の家もそうだ。

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ジグの形状
沈みの速いロング系のスロー用ジグが主流。ベイトや魚の状況によってはショートタイプの出番もあるが、ロングは必須。
主なベイトはスルメイカやメギス。いずれも細長いシルエットをしており、マッチ・ザ・ベイトの点でも理に適う。
ジグのカラー
カラーについては、深い場所での釣りゆえグローが主軸。オールグローや反面グロー、ゼブラグローやドットグローを自然条件により使い分ける。
曇天時のほか、クラゲやプランクトンの大群が中層に滞留しているときは、海底に届く光量が減るのでグローの面積が大きいものがアピール面で有利だ。
なお、アラは個体や接餌条件によってグローを拒むと言う船長もいる。そんなときはドットグローやブルーグローなど刺激を抑えて対処すると良いそうだ。
フック
フックやアシストラインの設定が不適切だと、残酷なほどフッキングミスやバラシが連発する。フトコロが広くハリ穴のホールド性に優れた細くて強度のあるフックが必須となる。
ジグとアシストフックのサイズのバランスは本稿画像を見て判断してほしい。

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誘い方
ハーフや4分の1ピッチなど小刻みなジャークで誘い上げるか、ロングリフトからのテンションフォールがパターンとして実績を上げている。このほか誘い上げからフォールに切り替える動きも有効だ。
なお、ボトムから数mまでを密に攻めるパターンもあれば、10m以上誘い上げて食わせるパターンもある。アラもタラも底層にいる魚だが、これに固執せず船長のアナウンスや状況に合わせ柔軟に対応していこう。
遊心丸でスロージギング釣行
さて、ここからは実釣を通してこの釣りの実像に触れたい。フィールドは能登半島外浦の入り口にあたる富来沖。訪れたのは6月の頭。乗船したのは石川県羽咋郡志賀町にある富来漁港の遊心丸。当地のアラジギングのパイオニア船だ。
今回はスロージギングのエントリーユーザーにお勧めしたいロッドによる実釣を兼ねての釣行。釣りを担当するのは同船の女将で、これまで数えきれないほどのアラをキャッチしている凄腕アングラーの佐都美さん。
プロトンUX SJ
使用したロッドはオリムピックから今秋リリース予定のPROTONE(プロトン)UX SJ(スロージギング)シリーズ。3つのラインアップのうち、使用するジグの重さに合わせ67-3-SJ、67-4-SJをメインにゲームを展開した。

船中タヌキメバル連発
まず入ったポイントは、水深150m強の砂泥と岩礁が交じる場所。スタートしてすぐ、佐都美さんをはじめ各アングラーがタヌキメバルを次々にキャッチ。サイズは大きなもので40cmほど。
ヒットパターンは先述の小刻みなジャークによる誘い上げ。アラもそうだがタヌキメバルは特にこの誘いに反応が良いとのことだ。

オキメバルが顔出し
しばらく探ったあとポイントを移動。ここでは佐都美さんはオキメバルを連続でキャッチ。誘い上げからテンションフォールに切り替えたところでアタリがあり、ヒットさせたという。
先述したタヌキメバルのケースもそうだが、佐都美さんは重いジグにじゃれつく魚のアタリを逃さずヒットさせた。プロトンUX SJのブランクスは感度も良く、海中アンテナとして微かなアタリを手元にしっかり伝えてくれた。

深場のゲームに必要なロッド特性
ジギングではロッドを通して手元に伝わる情報を頼りに、ジグの泳ぎや姿勢を把握して状況に合ったものに変えたり、潮の抵抗の変化から捕食層を特定して集中的に誘うなど作戦を練る。
浅海域のゲームに比べ深場ではすべての情報が漠然としてくる。ゆえに、ロッドの感度はアタリを取る以外に重要な役割を果たす。
また、スロージギングはロッドの弾性を利用して、サオにジグを操作させる要素が強い。対象魚の捕食嗜好やジグの演出ごとに、マッチするロッドを選ぶことが重要だ。
特大カガミダイ登場
オキメバルがポツポツと上がったころ、船中に小型アラが登場。いよいよ本命の時合い到来か?その矢先に佐都美さんのロッドが大きく曲がった。

これまでとは大きく異なる重量感。アラであれば独特の首振りと中層まで来たところで再び抵抗する。ゆえに、この魚と対峙するにはパキパキの高反発ロッドは不適で、粘り強く曲がるロッドが有効だ。
筆者も固唾をのんで見守っていたがどうも様子が違う。現れたのは特大サイズのカガミダイ。見た目は今一つだが、大型のものは脂ものって刺身やムニエルなどどう料理しても美味な魚でそのキモは絶品。おいしい魚がそろうのもこの釣りの魅力なのだ。

別日に9kg大型アラ浮上
その後、昼前に少し潮が動きだしたが好転せず・・・。お土産こそ増えたが本命を手にすることなくゲームセットとなった。直前まで船中20匹を超えるアラが上がり、8~9kgの大物も出ていただけに船中一同かなり凹んだ。前日にあった地震が影響したのかもしれない。
とは言え、日本海のスロージギングの好期は始まったばかり、憧れのアラをはじめ、美味なゲストたちが挑戦者を待ってるぞ。

スロージギング始めるならこの一本
さて、スロージギングを楽しめるのも専用ロッドがあってこそ。今回の実釣で使用したプロトンUX SJシリーズは、手頃な価格ながら必要な性能をしっかり備えた質実剛健モデル。エントリーユーザーはもちろん、廉価品からワンランク上のロッドに強化したい人にもお勧めだ。
ラインアップは先述の2モデルのほか、67-2-SJがあり、近海のスロージギングから、中深海ジギング、トンジギまでカバーする。

3モデルの詳細
ここからは、プロトンUX SJシリーズの各モデルのコンセプトについて解説する。

67-2-SJ
最もライトな67-2-SJは、近海のスロージギングにマッチしたモデル。対応ジグウエイトはMAX200g。
140g程度のジグをテクニカルに操作することに長けるが、あえて重めのジグを背負わせてジグの跳ねを抑え、魚がオーバーアクションを嫌う状況や、底物など捕食領域が狭い魚にじっくり見せて誘いたいときに効果的。
67-3-SJ
67-3-SJは、中間的なパワーのモデル。近海の釣りで青物などをアクティブに誘いたい場合や、沖合いの深場などで重いジグを使いたい時が出番。
MAX280gのジグに対応する一方、近海で160g程度のジグをキビキビと動かすのにも最適。オールマイティに活躍する一本だ。
67-4-SJ
67-4-SJはMAX350gまでのジグに対応。潮の速いエリアでロングジグをメリハリを効かせて操作したいときや、中深海ジギングで活躍するモデル。タチウオパターンの青物のほか、人気のトンジギやアカムツにマッチする。

なお、いずれのモデルも最大ウエイト程度のジグをリフトし、ピンと横を向かせるのに必要な張り感は十分。
感度に優れつつ、負荷時はしっかり曲がって粘るためバラシを防いでくれるので、実釣はもちろんスロージギングを教えてくれる良きパートナーになってくれるだろう。
<五井貴文/週刊つりニュース中部版編集部>
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