2024.5.11

「静岡県の海釣りでは引っ掛け釣り禁止!」該当する釣法・罰則・エリアを徹底解説

『引っ掛け釣り』という釣りがある。『ギャング釣り』や『サッカケ』とも呼ばれ、魚の魚体に直接針を引っ掛けて釣り上げる釣法である。これは静岡県の海釣りではショア・オフショア問わず禁止されている。

筆者は引っ掛け釣りが禁止なのははマナーの問題と捉えており、規則として禁止されていることを恥ずかしながら最近になって知った。この機会に詳しく調べてみたいと思い、静岡県経済産業部水産・海洋局水産資源課に問い合わせ詳細を教えてもらった。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)

「静岡県の海釣りでは引っ掛け釣り禁止!」該当する釣法・罰則・エリアを徹底解説

引っ掛け釣りについての質問事項

電話とメールで問い合わせを行い、以下の内容を質問させていただいた。

・引っ掛け釣りはなぜ・いつ頃から禁止されているのか
・どのような根拠で禁止とされているのか
・ルアーやエギはから鈎に該当するか
・(県下では主流では無いが)フグの『カットウ釣り』は禁止なのか
・禁止エリアはどこまでとなるか
・許可された釣法で結果的に引っ掛けてしまった場合(スレ掛かり等)も違法となるか
・罰則と、取り締まる部署について教えて欲しい
・その他釣り人に知っておいて欲しいこと

お返事いただいたメールをそのまま掲載することはできないので次の項から一つずつ解説していく。

「静岡県の海釣りでは引っ掛け釣り禁止!」該当する釣法・罰則・エリアを徹底解説再現した引っ掛け釣りの仕掛け(提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)

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引っ掛け釣りはなぜ・いつ頃から禁止されているのか

静岡県の海で釣り人が行うことができる釣法は『静岡県漁業調整規則第43条』という規則に定められている。この中に『さお釣又は手釣り(空鈎を除く。)』とあり、引っ掛け釣りはこの空鈎に当たるので禁止されているのである。

静岡県漁業調整規則は昭和26年に初めて制定され、その後、改正・統合が行われてきたが、この条文は、昭和47年に追加されたようである。

ではいつからこの条文があるかというと、改正・統合をされているものの古くは昭和39年の条文に記載されていたようである。よって、少なくとも【50年以上前から、条文に記載されているため禁止されている】となる。

ではいつからこの条文があるかというと、改正・統合をされているものの古くは昭和39年の条文に記載されていたようである。よって【条文に記載されているため、60年以上前から禁止されている】となる。

どのような根拠で禁止とされているのか

『釣り』には釣漁業という定義がある。どのような定義かというと『釣りは、釣糸の先に釣針をしばり、餌または擬餌等を用いて、魚類をはじめとする水産動物を誘い、釣針にかけて漁獲をおこなう一つの漁法』とあり、具体的には

手釣漁業
さお釣漁業
引縄釣漁業
立縄釣漁業
はえなわ釣漁業
機械釣漁業

に分類される。引っ掛け釣りは水産動物を誘っていないためこの分類のいずれにも含まれない。よって【水産動物を誘っていないので釣りとして認められていないから】となる。

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ルアーやエギはから鈎に該当するか

ルアーやエギは、前項にある定義の『疑餌』に当たる。また、魚を誘って釣果に結び付けている事は読者の皆さんがご存知の通りである。よって【ルアーやエギはから鈎に該当しない】となる。

「静岡県の海釣りでは引っ掛け釣り禁止!」該当する釣法・罰則・エリアを徹底解説ルアーは「から鈎」に該当しない(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

フグの『カットウ釣り』は禁止?

カットウ釣りはエサで誘う釣法なので釣りの定義に該当する。よって【から鈎では無いので禁止ではない】となる。

禁止エリアはどこまで?

これが非常に難解である。『陸の県境の延長線で挟まれた静岡県地先海面とその沖合』とのことなので、県境が海の上にもあるイメージでその静岡県内が規制対象となる。ただし、沖合の距離や県と県の境が明確に決まっている訳ではないらしく、そこは常識的な判断が必要になってくる。

陸地側は『内水面との境目』が境界線になる。内水面とは河川や湖沼の事で、その境界線は厳密なルールがあり一つ一つの川に境界線が明示されている。ちなみに内水面は管轄が違う為、例えば禁漁期があるように釣りのルールも異なってくる。よって雑なまとめになってしまうが【県内の海全域が禁止エリア】となる

スレ掛かりも違法?

エサやルアーなどで誘った結果引っ掛かってしまった場合は問題ないとの事。ただし、それらに引っ掛けるための仕掛けを付けて引っ掛ければ違反となる。よって【引っ掛かってしまっても違反ではない】となる。

「静岡県の海釣りでは引っ掛け釣り禁止!」該当する釣法・罰則・エリアを徹底解説スレ掛かりはOK(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

罰則と、取り締まる部署について教えて欲しい

これは第58条に規定されており『科料(かりょう)』となっている。科料とは『刑法の規定する主刑の一。軽微な犯罪に科する財産刑で、刑の序列としては罰金より軽い。』とあり、刑罰のなかではもっとも軽い刑罰となる。しかし前科となってしまい罰金も収めることになるので注意されたい。取り締まりは海上保安庁や警察の管轄とのこと。よって【科料となり、海上保安庁や警察が取り締まる】となる。

釣り人に知っておいて欲しいこと

こちらはメールにいただいた文章をそのまま記載したい。

『釣りをする際の注意点としては、堤防や離岸堤、港湾等では、安全上の観点等から施設管理者が立入制限をしている場所が多いので、十分ご注意ください。また、沖でミニボートやシーカヤック等で釣りをされる場合は、漁船等から見えにくいことから、安全のために船の通り道をさけて釣りをしてください。』

まとめ

ちょっとでもわかりやすく伝えたいと思いまとめたがいかがだろうか。色々書いたが、要するに『静岡県の海で引っ掛け釣りはやってはいけない』ということである。色々な考え方や思いもあるとは思うが、禁止事項を破ると結局は釣り人自身の首を絞めて行く事になる。

また、静岡県の海では禁止とされている引っ掛け釣りだが、禁止ではない地域もある。ルールを守って釣りを楽しみたいと思う。

今回の記事執筆に当たって担当者の方にはとても丁寧にご対応いただいた。この場を借りてお礼申し上げます。

参考

・海面における遊漁のルールについて

・静岡県漁業調整規則

・海面と内水面の境界線について

・内水面の遊漁に関する制度

・釣漁業・科料について

(TSURINEWSライター・黒犬ちこり)

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出典: https://tsurinews.jp/298912/
この記事を書いた人 黒犬ちこり

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