2024.4.1

爪に乗るくらい極小のカエルから小型犬に匹敵する大型まで!【世にも不思議なカエルの世界 vol.01】

小さくてかわいいニホンアマガエル

一口に「カエル」といっても、大きさはさまざまです。ちっちゃ過ぎるカエルや、夜道で会ったらびっくりしそうな大きなカエルなどについて、両生類・爬虫類に詳しい、カエル専門の動物園である体感型カエル館 KawaZooの白輪剛史館長に話をうかがいました。

爪ほどの大きさの世界最小カエル?

カエルは南極大陸以外のすべての大陸に存在し、その種類は7000種を超えるともされています。そして今でも新種が見つかることがあるそうです。その中には驚くほど小さなカエルもいるのだとか。

「現在発見されている一番小さいカエルがパプアニューギニアで発見されたパエドフリン・アマウンシスです。爪に簡単に乗るような大きさです」と白輪館長。

7.7mm程度の小さなカエルだそうで、世界最小の脊椎動物ではないかとされているそうです。1cmに満たない大きさで、虫と見間違えるかもしれません。しかし、よく見ればちゃんとカエルの姿をしています。

【DATA】
パエドフリン・アマウンシス
学名 Paedophryne amauensis 
分布 パプアニューギニア                               

日本にいる小さくてかわいいカエルといえば……

「日本の本州に生息しているカエルで小さいカエルといったらニホンアマガエルですね。個体差はありますがだいたい2cm~4.5cm程度です。家の周りにもよくいるカエルですが、面白いのは擬態をするということです。普段はみなさんが思い浮かべるような緑色をしていますが、場所によっては灰色になったりします」(白輪館長)

タゴガエルやシュレ-ゲルアオガエルも、他のカエルと比べると小型だといえそうです。

「タゴガエルは山の中の土の中で過ごしていることが多く、体調は3.5~4.5cm程度です。またシュレーゲルアオガエルは地面の下に巣を作って泡状の卵塊を産み付けます。オスは3~4.5cm、メスが4.2~5.5cm程度です」(白輪館長)

【DATA】
ニホンアマガエル
学名 Hyla japonica
分布 日本、中国、朝鮮半島

タゴガエル
学名 Rana tagoi
分布 日本の本州、四国、九州、五島列島

シュレーゲルアオガエル
学名 Zhangixalus schlegelii
分布 日本の本州、四国、九州

カエル界の横綱! 小型犬くらいの体形をしたゴライアスガエル

一方、びっくりするほど大きなカエルもいます。現在、世界で最も大きなカエルとされているのがゴライアスガエルです。

「当園では現在、展示は行っていませんが、運が良ければどこかで見られるかもしれません。カメルーンや中央アフリカの渓流にいて、ジャンプ力があって飛距離が出ます。甲殻類やエビ、カニ、大きな昆虫なんかを好んで食べています。大きさはA4くらいあり、長くのばすと60cmを超えてきます」(白輪館長)

柴犬は体高がオスで38cm~41cmといいますから、個体によっては小型犬よりも大きく成長するかもしれません。

【DATA】
ゴライアスガエル
学名 Conraua goliath
分布 カメルーン 赤道ギニア

強さを見せる大関! アフリカウシガエルも負けてはいない

ほかにも大きなカエルはいるのでしょうか。

「アフリカウシガエルというのが、やはり小さい犬くらいの大きさになります。どん欲なカエルで目の前に来る哺乳類でも鳥でもたべます」(白輪館長)

アフリカの湿地帯やサバンナに生息し、昆虫やサソリのほか、小型であれば鳥類や哺乳類も食べるそうです。ずんぐりとしたユーモラスな見た目と異なり、卵を守るためならば近づいてきた他の生き物に対して、嚙みつくなどの激しさを見せるそうです。

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【DATA】
アフリカウシガエル
学名 Pyxicephalus adspersus
分布 アンゴラ、ケニア、ザンビア、タンザニア、ナミビアなど

日本の大きいカエルの代表選手とは

日本に生息している大きなカエルというとヒキガエルがいるそうです。

「ヒキガエルは、大きいもので体長17cm程度にもなります」(白輪館長)

ヒキガエルは西日本に多く分布し、クックッツクッと鳴きます。ソメイヨシノが咲くころに繁殖期を迎えるので、その頃に耳を済ませたら鳴き声が聞こえてくるかもしれません。

【DATA】
ヒキガエル
学名:Bufo japonicus japonicus
分布:西日本に広く分布

ちなみに、大きなカエルとしてはウシガエルがいますが、外来種で生態系に大きな被害をもたらすことから、特定外来生物に指定されています。飼育や運搬は禁止されているので、見つけても触って動かすようなことはしないでください。

大きさも声も見た目も千差万別だから面白い

大きさも種類によって全く異なるカエルですが、その多様性がカエルの魅力の一つだと白輪館長は言います。

「カエルってゲロゲロ鳴いて、緑で、手のひらに乗るくらいの大きさというイメージがありますが、世界にはいろんなカエルがいます。色も鳴き方も生態も異なりますし、大きさも驚くほどそれぞれ違います。だから、知れば知るほど奥が深くて魅力を感じます」(白輪園長)。

ぜひ、体感型カエル館 KawaZooを訪れた際は多様なカエルの世界を観察してみてください。

【取材協力】
白輪剛史(しらわ つよし)
プロフィール:レップジャパン代表取締役、体感型動物園iZoo(イズー)園長、体感型カエル館KawaZoo(カワズー)館長、波勝崎Monkey Bay園長、動物園予備校アニマルキーパーズカレッジ校長、一般社団法人日本爬虫類両生類協会代表理事、ジャパンレプタイルズショーを主催。爬虫類両生類研究家として、講演、執筆、メディア出演など多数。 

■体感型カエル館 KawaZoo(カワズー)
住所:静岡県河津町梨本377-1
URL:https://kawazoo.jp/

出典: https://www.sotolover.com/2024/04/102661/
この記事を書いた人 平野智美

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