2023.10.1

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?

一年と通して人気沸騰中のケンサキイカやヤリイカをライトタックルで狙うイカメタルゲーム。その中で最近急速に広まってきたメソッドがオモリグだ。当初はイカメタルでは攻略できない場面での、お助け的なメソッドかと思われていたが、どっこい現在は専用ロッドも多く発売されており、イカメタルをしのぐほどの人気を博す主力メソッドになりつつある。今回はそのオモリグについて考察してみたい。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?

オモリグとは

オモリグとはその名の通りオモリを使った仕掛けで、リーダーの先には専用スイベル、もしくは小型のテンビンを結ぶ。そこに状況に応じた重さのオモリをセットする。さらにリーダー(ハリス)を1~2mほど取り、その先にスッテではなくエギを結ぶというもの。

アオリイカを狙うティップランが普及する以前の深場を攻略法は、中オモリ式エギングというメソッドが主流だった。オモリグはその中オモリ式エギングの派生型と思われる。

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?イカメタルと使い分ければ釣果もUP(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

このリグが発祥したのは、兵庫県の日本海側や鳥取県、島根県といった山陰地方だと言われている。夏の日本海は潮が速く、重くても25~30号までしか使えないイカメタルでは、釣りにならないことも多い。その速潮に対応するために使われ始めたと言われている。

実際、島根県出雲市の大社沖へ遠征した際、同船した人の全てがオモリグで、イカメタルの人は皆無だった。イカメタルタックルを持ってきていない人もおり、オモリグ一本勝負という硬派な人も多かった。

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タックル

前文にある通り、各メーカーからオモリグ専用ロッドが発売されている。イカメタルほど種類は多くないが、専用と銘打ってあるだけあって使い勝手は他のロッドの流用とは比較にならないほど良い。長さは7ft台が主流だが、最近では取り回しのいい6ft台前半のロッドも出ている。

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?オモリグのタックル(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

合わせるリールはスピニングリールで、ダイワなら2500~3000番台、シマノなら3000~4000番台がお勧め。ラインはPEライン0.6号をできれば200mは巻いておきたい。

リーダーはフロロカーボンラインの3号を2mほど取り、PEラインとは摩擦系のノットでしっかり結束しておく。大事なのはこのオモリから先のメインリーダーだ。このリーダーに求められるのが張りで、その素材が重要になる。ナイロンラインやフロロカーボンラインよりも硬くて張りのあるエステルラインがお勧めだ。ここはエステル一択といっても過言ではない。

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?テンビンを使うことも(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

その理由は、エギやメインリーダーが、テンビンやPEラインからのリーダーに絡まないようにすること。釣友が福井県の敦賀沖へ出た際、途中でオモリグ仕掛けをロストしてしまい、エステルリーダーの予備もなかった。仕方なくフロロカーボンラインで代用したところ、毎投エギはリーダーやテンビンに絡んで釣りにならなかったそうだ。

そして潮に乗せてナチュラルにエギをなびかせられること。

このメインリーダーの太さだが、4号前後が目安。イカメタルをメインでやっていた人にとっては、「太すぎるのでは?」と思われるかもしれないが、この太さを使うことでさらに張りを持たせられる。太いからイカの乗りが悪くなるなんてことはない。また張りがあることで、感度が上がり微妙なアタリを取りやすくなる。

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エギ

メインリーダーの先に付けるのは、スッテではなくエギ。浮きスッテとは違い、それ自体にシンカーが付いているので止めておくとゆっくりだが沈下していく。このフォール時にイカが抱くことがほとんどだ。

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?スローフォールのエギがおすすめ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

エギの大きさは2.5号をメインに2号、3号を用意する。最近はオモリグ専用のエギも多く発売されている。普通のエギングで使うエギとの違いは、フォール速度が遅いこと。

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?※画像説明文入2.5号メインに揃えよう(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

狙いのレンジ(タナ)で、じっくりイカにエギを見せてアピールするためだ。もちろんエギングで使うエギでも十分釣果は望めるので、最初は流用で構わないと思う。ただ選べるならシャロータイプのエギがお勧めだ。

オモリグのメリット

オモリグのメリットだが、まずやはり速い潮でも攻略が可能であること。オモリの役目も果たす鉛スッテとは違い、エギのサイズを変えることなくオモリの重さをどんどん重くできるためだ。鳥取方面の遊漁船では、オモリグシンカーは50号まで用意してくださいという所もある。

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?沈下速度の速い棒状のオモリ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

そしてスピニングタックルなので、ベイトタックルでは手を出せない集魚灯でできる明暗部を、キャストして攻めることができる。したがって船下にいるスレたイカとは違い、フレッシュなイカにアプローチできるのだ。

またイカメタルよりも良型がヒットしてくる確率が高いこともメリットのひとつ。これは警戒心の高い大型のイカを狙うとき、最も大事なことはいかにエギをナチュラルに見せるかということ。イカメタルの場合、縦にせわしなく動くスッテを大型のイカは見切ってしまうことが多い。潮に乗って横になびき、ナチュラルにフォールするエギは、それだけ大型イカを警戒させることなく抱かせることができる。

実際、大社沖で私1人がイカメタル、他3人がオモリグだった時、胴長40cm以上の大剣はオモリグにバンバンヒットするのに、イカメタルの私には新子~中剣までしか乗ってこなかった。

オモリグのデメリット

さてデメリットだが、何といってもアタリの取りにくさが真っ先に挙がるのではないだろうか。何も介さないイカメタルでは、集中していれば小さなイカパンチでもアングラーは感知できる。

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?タナが浅いときや新子が多いときはイカメタルに軍配(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

だがオモリを介して、横方向に漂うエギに触ってくるイカのアタリを感知するには、かなりの慣れを要する。オモリグに慣れていない人が、最初に当たるのがこの壁。よく言われるのが「シャクったら乗っていた」、「グーッと持っていくアタリしか分からない」など。

これを補ってくれるのが専用ロッドだ。しっかりしたバットと感度抜群のチューブラティップを搭載しており、オモリを通しても違和感を手元に伝えてくれる。

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?専用ロッドは必須(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

友人は専用ロッドを購入するまでタイラバロッドで代用していたが、オモリグの有効性をイマイチ実感できていなかった。ところが専用ロッドを購入した途端に「アタリが分かる!」、「オモリグの方が面白い!」と言っていたほどだ。

そして取り回しの悪さもデメリットの1つ。メインリーダーを長く取るほど仕掛け全体が長くなるため、イカを取り込む際もオモリを取り込んでから、メインリーダーをつかんでイカを船内に入れなければならない。

またキャストするときもオモリ単体なら何の問題もないが、その先に1m以上のメインリーダーをエギがあり、これが邪魔でキャストしにくい。そのため慣れないうちはメインリーダーを1m程度にとどめておいた方が無難だ。

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?メインリーダーが長い場合は手でつかんで抜き上げる(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

またオモリにも工夫を凝らしたものがあり、下部にアイが付いたものがある。ここにエギのカンナを引っ掛けてキャストするのだ。それではエギがオモリに付いたままなので釣れないのでは……と思うかもしれないが、着水して沈む際にオモリが逆向きになり自然にアイからエギが外れる。

そしてもうひとつのデメリットがオマツリだ。仕掛け自体が長いので、イカメタルに比べてどうしてもオマツリの頻度が上がってしまう。潮が速ければなおさらだ。

まとめ

以前は潮がぶっ飛んでイカメタルではどうしようもないときの苦肉の策……的な存在だったオモリグだが、今やメイン釣法といっても過言ではないほど、その有効性は広く認識されている。

ただし、オモリグが絶対的に万能というわけでは決してない。イカの活性が高いときやレンジが浅いときなどは、テンポの速いイカメタルにヒットが集中することもざらにある。

イカメタルゲームにおける【オモリグのメリットとデメリット】アタリが不明瞭?秋は新子の季節(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

さらに日本海のマイカ(ケンサキイカ)釣りにおいて、秋は新子の季節。警戒心が薄く好奇心旺盛な新子に対しては、イカメタルが圧倒的に有利な場面が多い。

この先、晩秋に向けて日本海の潮流が緩くなることも含め、オモリグの出番は少なくなるかもしれないが、新子の中にたまに交じる良型を狙う場合は、極めて有効なメソッドだともいえる。

よってこだわりがなければ、イカメタルとオモリグを状況に応じて使い分けていくのが正解だといえるのだ。

まだまだ人気沸騰中のツツイカゲームだが、従来のイカメタルタックルとオモリグタックルを携え、秋のセンシティブゲームを楽しんでいただきたい。

<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

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出典: https://tsurinews.jp/270897/
この記事を書いた人 TSURINEWS編集部

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