大阪湾、陸っぱりの釣り人から愛される釣り場といえば、泉南だ。周囲は自然に富み、随一に水質が良く、魚種にも富む。回遊魚の反応が非常に良く、地域によってムラがあるタチウオやアジも、毎年ほとんど間違いなく入る。魅惑の泉南。その海の特徴をお伝えしよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
美しい海「泉南エリア」
湾岸に工業地帯が林立する大阪湾。神戸港湾~泉大津くらいまでは、もうほとんど海沿いは工業地帯に埋め尽くされているといってもいい。入ることができる釣り場も限られている。ただ汚染に強いチヌやシーバスが着きやすい上、居着きの魚が大きくなりやすいので捨てたものでもないが。

それでも本当にナチュラルな澄んだ水質の、美しい海に憧れる気持ちは誰でもある。そんなときに訪れたいのが、泉南地域だ。
泉南といえば、一般にはりんくうタウン以南といったところだろうか。紀北方面に下るほど水質はクリアになり、とりわけ岬町以南からは他の陸っぱりの釣り場とは別世界といえる。穢れ多き大阪湾沿岸の、唯一の「良心」といえよう。
地形の特徴
泉南の陸っぱりの釣り場には、地形的にいくつかの特徴がある。
海底が砂地
泉南の海は、少なくとも釣り人がサオが出せるところでは、海底が砂地となっていることが多い。すなわち、底をとっても根がかりしにくい。メタルジグが投げやすく、水が透明なせいか、魚の反応も良い(見切られやすいともいえる)。

遠浅
泉南の海は、基本的に沿岸から100mくらいは遠浅になっている。遠浅といってもそれは釣り人目線で、おそらく10mくらいはあるが、要するに底を取るのに苦労しない。筆者の印象では、手前に投げても50m先に投げても、水質はそんなに変わらない。参考までに、深日港や谷川港では、PEライン0.5号で10gのジグで底が取れている。
手前は沈み根
主に泉南の沖向きの釣り場は、消波ブロックの一帯になっている。ご存じのように消波ブロックにはめちゃくちゃ乗りにくいもの(事実上「乗るな」と言われているようなやつ)と乗りやすいものがあるが、泉南の消波ブロックは比較的乗りやすい。
ただ、消波ブロックから沖に向かって投げるときの常であり、またこと泉南の釣り場において顕著なのは、手前の沈み根がえらく荒いことである。注意して釣っていても、「あれ?」というタイミングで根に捕まったりする。

ルアーや仕掛けの回収時には、保険を張って、手前から20m先からしっかり浮かせて巻き取ってしまおう。
泉南で釣れる魚種一覧
釣れる魚は本当にいろいろ。魚種に富む。回遊魚の反応が良いのが、何よりの特徴だ。
春夏秋冬の釣りものについて、簡潔に紹介しよう。
春:メバル、産卵のアジ
夏:キス、豆アジ、新子カサゴ、指三本クラスのタチウオ
秋:タチウオ、小型青物、アオリイカ
冬:メバル、良型カサゴ

その他、マゴチやヒラメやアコウも釣れる。ただ、必ずしもストックが多いわけではないので、パターンは作りにくい。ラッキーフィッシュというところだろう。
居着きの魚が大きくなりにくい
釣り人目線で見る泉南の海のちょっと微妙な点として、「居着きの魚が大きくなりにくい」というものがある。水質がきれいなので、メバルや湾内居着きのアジはお持ち帰りされてしまうのだ。魚影が非常に濃いメバルも小型が多くなりがち。

回遊魚のスピードが早いのも特徴だ。朝マヅメも夕マヅメも時合いは一瞬で、なかなか釣れ残ってくれない。昨年(2022年)のタチウオの時合いは、なんと日没から15分ほどだった。その他のアジ・サバの回遊魚も、潮が引くとアッという間に沿岸から消えてしまう。
地形の特徴を頭に入れて臨もう
以上、泉南の釣り場の雰囲気をお伝えした。特に覚えておきたいのが、地形の特徴。サーフ・遠浅・手前の消波ブロック。
この3点を頭に入れ、事前にハリを取ったジグか100均のメタルジグを投げて、ロストのリスクを軽減しながら地形をインプットしておくと、後々かなり釣りやすくなる。
<井上海生/TSURINEWSライター>
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