2023年5月、関西の超人気釣り場の武庫川一文字に2度釣行。結果的に私(筆者)自身の釣果は良型小アジが10匹と物足りなかったが、他の釣り人の中には大物を仕留めた人も複数いて、今後の釣行に向けて大きな参考になった。今回の釣行記は、6月に向けての展望も添えて綴ってみたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)
武庫川渡船で沖の一文字へ
武庫川一文字は2023年現在、9か所の船着き場があり、3店の渡船店が渡しているが、2番から6番の船着き場に渡す最大手の武庫川渡船では、早朝便は事前予約制を導入している。

特に土日祝の予約は、武庫川渡船の会員でないと受付しない場合があり、6月からは紙製の会員カードからスマートフォンアプリに移行するとのこと。
早朝便予約制の詳細や会員制度、スマートフォンアプリについての詳細は武庫川渡船のホームページで確認してほしい。
事前予約がほぼ必須
参考までに、2023年5月の土日祝は大半の日が事前予約分でほぼ満杯となり、予約のない人の送客は、帰り客待ちの状況次第で、昼前まで足止めまたは打ち切りとなっている。
なお、武庫川一文字の詳細については、以前の投稿「大阪湾の沖波止紹介:武庫川一文字 管理行き届いた運営で安心安全釣行」で紹介しているので、まだご覧になっていない方はそちらも参考にご覧いただきたい。

ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT
乗船名簿について
早朝便の事前予約枠は約300人分、乗船定員は約40人余りなので、予約していても全員が始発便には乗船できず、目当ての場所に釣り座は構えられない。
乗船受付は長蛇の列で、私の釣行時も4番船と3番船に甘んじ、釣り座の確保に多少苦労した。乗船受付待ちの並び列に並ぶ際には、記入済みの乗船名簿を持参しておく必要がある。
乗船名簿の用紙は店舗前にも置かれているが、釣行前に自宅でホームページからダウンロード・プリントアウトして記入しておくことをおすすめしたい。

ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT
ライフジャケット着用について
受付前にはスタッフから予約の有無の確認とともに、着用するライフジャケット(桜マークまたはCSマークの救命胴衣)のチェックが行われる。
クーラーの持ち込みについて
乗船時に持ち込めるクーラーの大きさも一辺50cm以内のものに制限されており、サワラやメジロが丸々入る大型クーラーは持ち込み不可なので注意いただきたい。
5月13日は丸ボーズ
今回の釣行は、5月13日と5月20日の2回。両日とも早朝にサビキで小アジを狙い、それをエサにしたエレベーター仕掛けでのノマセ釣りでメジロ(ワラサ)を狙う。合間には、波止の内向きでイ貝を採取してのチヌ(クロダイ)狙いの落とし込みも試みた。
5月13日は当初望んでいた5番の船着き場が先客で溢れていたので、4番の船着き場へと回避して釣り座を構えた。しかし、小潮の下げ潮と潮がほとんど動かなかったことが災いし、小アジは回って来ずノマセ釣りも断念。波止上のルアーマンはほぼ全員がノーバイトの惨状だった。
釣り座選びで明暗分かれる
釣果が安定している5番、6番の船着き場ではブリ、メジロが数は少なめながらも釣れていたほか、内向きで係留船付近を攻めていたルアーマンがシーバスをヒットさせるなど、釣り座選びで明暗が分かれたようだ。
一方、落とし込み釣りのほうは、波止の壁面に着生するイ貝の層が薄くまばらで、エサに使えるイ貝の稚貝の房をかき集めるのに一苦労。それでも釣りを始めることはでき、2度の引き込み当たりに遭遇したものの、アワセに失敗。結局この日の釣果はなく、丸ボーズに終わった。
小アジのサビキ釣り
小アジのサビキ釣りは、波止の内向き(陸向き)で置き竿にしてアタリを待つ竿下サビキのスタイル。
タックルは、磯竿5号5.4mに、ミチイト4号を巻いた両軸リールをセット。撒き餌カゴはサビキの上下それぞれに付けるダブル方式とし、上カゴとサビキの間にクッションゴムを介する。
サビキは白色のケイムラタイプの7号針スキンで、ハリス2号のものを選択。撒き餌カゴはカゴテンビン仕様にして、テンビンの先にもサビキをセットし、アクセントとして3つの針にオキアミを付ける。タナは底ギリギリが定番だ。
武庫川渡船の店舗には、武庫川サビキのオリジナルブランドのサビキを販売しているので、そちらを使用してみるのも一策だ。

落とし込み釣り
タックルは、落とし込み専用竿3.9mとリールに、ストライプカラーの落とし込み・ヘチ専用の2号ライン。ラインの先には市販の目印仕掛けとハリスは1.7号を直結する。
ハリスは硬めのものがよい。針はチヌ針3号で、チモトにはガン玉2Bをかませる。エサは波止際で採取したイ貝ダンゴの繊維に針先を絡ませて針先を出す。
釣り場は波止の内向きの壁面ギリギリを、2ヒロまでのタナでゆっくりと一定の速度で落としていき、探り歩く。落とし込み釣りの釣果は歩いた距離に比例すると言われており、広く数多く探り歩くことが肝要だ。

エレベーター仕掛け
エレベーター仕掛けのタックルは、オモリ20号まで耐用できる投げ釣り用の竿に近い特殊な磯竿10号5.4mに、ミチイト5号を巻いたスピニングリールの組み合わせ。
エレベーター仕掛けはミキイト8号約10mにウキ止めゴムとセル玉を、海面から3ヒロあまりの深さで止まるように調整する。ミキイトの下には捨てイト2号1mにオモリ15号をセットする。
ミキイトには8の字スナップを通し、ハリス4号1.5mに管付丸セイゴ12号の親針と管付チヌ1号の孫針を結んだ活きアジを泳がせるラインを接続する。
タナの関係で仕掛けの全長が竿5.4mよりも長くなるが、テクニックを駆使して仕掛けを沖目に投げ入れ、あとは活きアジが沖目で海面から3ヒロまでのタナを自由に泳いでいる間に、メジロの群れが回ってきてアタックしてくるのを待つばかりという算段だ。
この釣り方は同じノマセ釣りでも、ウキ流しの泳がせ方式と違って、キャストを繰り返すルアーマンとのおまつりトラブルを避けやすい利点がある。

5月20日は良型の小アジラッシュ
5月20日のリベンジ釣行は、3番船に辛うじて乗船。釣果が安定している5番の船着き場で降り、やや東側に釣り座を構えることができた。
当日は朝6時半前後の大潮と潮回りが良く、波止上では先客のルアーマンが早々とメジロをヒットさせ、外向き(沖向き)に居並ぶ他のルアーマン達もヒートアップ。潮回りの良さは私にも恩恵をもたらしてくれた。
5時半頃、置き竿にしていた竿下サビキに反応が。竿先がブルブルと震え、慎重に巻き上げると良型の小アジが2匹掛かっていた。これでノマセ釣りに参戦できると気持ちは昂る。
隣の親子も小アジを手中にして微笑ましいひと時が訪れた。アミエビを詰め替えて置き竿にした途端、一瞬で竿先が反応し、この後もこうした繰り返しとなった。

活きエサとした小アジは2匹
こうして6時までに10匹の良型小アジの確保に成功した私は、海水バケツの海水を入れ替えて、エレベーター仕掛けの準備にかかる。
朝7時前にエレベーター仕掛けのセッティングを完了し、いよいよ小アジを針に付けて仕掛けを投げ込むだけと意気揚々としたが、ここで予期せぬ落とし穴が。
せっかく捕獲した10匹の小アジが、海水バケツの中で8匹がストレスで弱ってしまい、結局活きエサとして使えるのは2匹だけになってしまった。
それでも何とか生き残った2匹の小アジのうち1匹を針に刺して投入し、メジロ狙い戦線に遅まきながら参戦することが出来た。
メジロ2本をキャッチした名手現る
時間が経ってもエレベーター仕掛けに反応がないので、片手間に落とし込み釣りを試みるが無反応。他の落とし込み・ヘチ釣り師たちも同様で表情は曇りがちだ。
そうした中、一旦釣り座に戻った8時過ぎ、驚きの光景を目の当たりにした。早朝にサビキ釣りで微笑ましい姿を見せていた親子が、何とメジロを〆ていたのだ。
父親は釣り座に復帰し、ウキ流しの泳がせ釣りスタイルで追釣を狙っていると、程なくして子供にタモ網を持って来てくれと声をかけた。
海面に視線を向けるとウキが無い。子供がタモを持って来ると、父親が竿を煽りアワセてクリーンヒット。竿は満月にしなったが、父親は手慣れた所作で獲物を寄せてくる。ノマセ釣りの経験が豊富な名手のようだ。
海面に魚体が一瞬見えた瞬間「前のよりデカいんとちゃう?」と子供が叫んだ。これは子供の手に負える魚体ではないと、別の釣り人がタモ入れの助っ人を買って出た。
ここから数分の格闘状態を制し、丸々と太ったメジロが助っ人のタモに収まった。私を含む周りの釣り人達の羨望の眼差しの中、1時間足らずで2匹のメジロを仕留めた親子は、9時便の船で獲物を持ち込みお預かりサービスを利用。釣果情報にも掲載される見事な大捕り物を演じた。

6月に向けての展望
この後、2匹目の活きアジを使い切ったので納竿。10時の便で引き上げた。最終釣果は早朝に釣れた良型小アジ10匹にとどまった。釣果は唐揚げにして夕食のお惣菜として賞味したが、メジロが回ってきたのに釣れなかったのは心残りの釣行となった。
6月に向けての展望を私なりに予想してみると、6月も同様にルアー中心で、ノマセ釣りは状況次第の青物狙いが続くと思われる。
ノマセ釣りのエサとなる小アジのサビキ釣りは釣況にかなりムラがあり、6月は梅雨入りするので雨天後の水潮の影響も受けるので、直近まで釣果情報のチェックは欠かせない。
土日祝は釣り人の大半がルアーマンで混雑するので、ノマセ釣りは決して強行せず周りの状況次第と心得たほうが賢明だと思う。チヌの落とし込み、ヘチ釣りは壁面のイ貝が成長するので期待できる。特に夕マズメは狙い目だ。
イ貝の成長に伴い浮上するのがタコ釣り。昨年は極端な不振の年だったが、例年は6月中旬から徐々に釣れ始まっているので、落とし込み釣り・ヘチ釣りとの共存共栄で楽しんでみてはいかがだろうか。

<伴野 慶幸/TSURINEWSライター>
武庫川一文字
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT