シーズン終盤に、最高潮を迎えるトンジギ。 水温が上がって、コトンの数釣りに加えて大型が混じるようになる。さらに、潮次第でキハダも当たってくるので、シーズン終盤ではあるが非常に楽しみな時期でもある。これを狙って4月1日に志摩の遊漁船トロ丸さんから出船した模様をお届けする。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター田中耕二)
志摩沖トンジギの最近の釣況
最近のトンジギの釣果は、2~29本とムラが激しい。どちらかといえば下り調子だが、うまく群れをとらえることができれば、お祭りとなるはず。
出船前に注意事項を聞いていると、どうやら予約人数を間違えたらしく、当日は9名のジガーとキャストマン。キャストマンもナブラがないとジギングをする。
通常は8名で満船なので、10名はちょっと多い。お祭りとなればオマツリは必至となりそう……。笑えない。
トロ丸でトンジギ釣行
深谷水道を抜けて外海に出てみれば、すばらしい朝日。運がよいと富士山が見えるのだが、春霞で見えなかった。
船は太陽を左にして走る。道中、鳥が舞う場所もあったが、遊漁船トロ丸さんは船足を緩めない。

1時間走ってやっとスローになったので、PEライン3号タックルを持つ。当日は、朝方は3m/秒と弱く、昼に向けて5m/秒の風が吹いてくる予報。
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朝イチは静かなスタート
「はい、やって~」の合図でシルバーゼブラグロー290gを投入。するするとラインが前に払い出されるのを見ていると、「ジグ400gでラインを100m~150m出してみて」とアナウンスがあった。
ありゃ、ジグが軽いかも知れないと思いながら、130mのラインを放出し、糸フケを取るとラインはほぼ真下を向く。どうやら二枚潮で海面だけが流れているようだ。両隣のアングラーのラインもほぼ同じ角度なので、とくに問題ないだろうと判断した。
ワンピッチジャークでトンボを誘うがバイトはない。船中だれもヒットせず、無線も静かなスタートとなった。
ワンピッチワンジャークが基本
トンボは、基本的に上げの誘いが効く。とくにコトンは、ワンピッチワンジャークをつづけているとバイトしてくることが多い。このワンピッチのスピードや、ジャークの強弱でお好みを探るので、電動リールが便利だ。
当日は、130mまでラインを出したら30mをワンピッチで誘い上げる。バイトがないのでフォールを80m入れる。すると、ライン角度が30度程度になるので、ジグのある水深は180m÷1.2で150mくらいとなる。ここからは、手元までワンピッチで巻き上げる。
船長は、ジグをタナまで落としたら毎回巻き上げることを勧める。棚ボケが防げることと、糸フケが抑えられることでバラシを減らせるからだ。
ただ、150mを毎回出して巻きとるには、手巻きではつらいので、角度が着いてくると入れなおすようにして、ワンピッチワンジャークとフォールで狙う。
船中単発バイト続く
ジグを交換していると、「ヒット!」と左隣のアングラーの電ジギがブチ曲がる。
ヒットはラインで130mと共有されたので、急いで400gのジグを投下した。ヒットしたアングラーはモーターを唸らせていたが、リーダーブレイク…もったいない。
嫌な雰囲気が流れたが、ミヨシのアングラーにヒット。これも130mらしい。後方に移動しながら、オマツリを交わしてコトンが上がった。私のジグも130mにあるはずなのに、ヒットはなくポイント移動となる。
ポイント移動でヒット連鎖
2発当たったので、すぐに再開するだろうと思っていたが、船は30分以上走る。どうも連発するエリアがあったようだ。
このように、僚船同士でヒット情報を共有することもトンジギには必要。広い海を自船だけで群れを見つけるのはむずかしい。
次のポイントでは、多くの船が集まっていた。水深80~100mで当たっているとアナウンスがあった。
期待してジグを投下し、80~100mをワンピッチで誘い、フォールを通すことを繰り返す。やがてミヨシから2番目のアングラーが100mでヒット。
つづいて、6番目のアングラーにもヒットしてコトンが上がる。
しばらくして、3番目のアングラーの電ジギにヒット。最初にヒットさせてブレイクとなったアングラーだが、なんとまたブレイク。しかし、逃げたトンボが、ミヨシのアングラーのフックに引っかかるというハプニングでコトンが上がった。2人がオマツリしていたからだろうが、こんなは初めてである。
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沖の潮目を狙う
単発のアタリがつづいていたが、再び移動。今日は移動が多く、時刻も11時を回り、いやな予感がする。
さらに沖に走って、潮目がくっきりしたポイントで再スタート。潮目を境に高い方は水温19.5度、低い方は19度を切るらしい。どちらがよいのかは一概にはいえないが、低い方から高い方へ流れるように、船の位置取りした。
180mに反応が入ったというので、PEライン4号タックルに、400gのシルバーグローをつけて投入。
筆者に待望の本命ヒット
200mまでラインを出し、ワンピッチで誘うと異常に重い。ひょっとしてエビ(リアフックがリーダーに掛かること)になったのかと思い、いったん回収することに。
巻き上げてくると、150mで急に軽くなった。どうやら、強烈な二枚潮の潮目で重く感じたようである。
これだけの潮目ならポイントになっているだろうと、軽くリズムをつけて巻いているとグンッ。ほとんど、ただ巻きのようなアクションでヒットした。一瞬ドラグが滑ったが、難なくコトンをキャッチできた。やれやれである。
トンボは、船長が〆てエラワタを抜いてくれるので、お任せしてすぐにジグを投入。200mからリズムをつけてただ巻きしているとグンッ。よし、パターン発見と喜んだが、すぐにバレてしまった。
恐らく150~200mにある潮目で糸フケが出ており、フッキングが決まらなかったのだろう。惜しいことをした。

ラストにフィーバータイム到来
ここで粘るのかと思ったが、またまた移動。ここが最後ですとアナウンスがあった。
まだ船中5本で、キャッチしていないアングラーが半数なので、疲れもあるだろうが、みんな懸命にしゃくる。最後まで諦めない、そんな気持ちが奇跡を起こす。
それまで沈黙していた、トモのアングラーにヒット。130mとタナが伝えられると二本、三本とロッドが曲がる。クロスするラインを交わし、釣り座を移動してトンボを仕留める。
船長の処理が間に合わず、船にトンボが並ぶ。ネットも間に合わないので、アングラー同士が協力し合ってネットに入れる。それからは、ジグが投下されるとヒットヒットヒット!

オマツリも頻発
船上はお祭り騒ぎだが、ラインもオマツリしてめちゃくちゃに。私はオマツリの方に参加してしまい、ぐちゃぐちゃに絡まったPEラインをほどこうとするが、トンボが引っ張る。とても解けそうもないので、切れたらごめんなさいとPEラインを手繰ってキャッチ…他人のですけどね(笑)。
タックルを持ち替えて、130mからワンピッチで探ったが、なぜかヒットせず。両サイドがヒットして2度目のオマツリに巻き込まれ、またPEラインを手繰ることに。
ストップフィッシング直前に、連鎖がはじまって延長戦となり、8本のトンボが上がったが、ヒットはその倍以上あっただろう。中にはリングを伸ばして逃げた大物もいたので、非常に残念だ。

連鎖ヒット時のコツ
港で船長と反省会。
あのタイミングでは、絶対に食わせないとダメだよね。と私。
ああいうパターンでは、焦りでワンピッチが早くなりがちなので、それを制御する心が必要だね。と船長。
おっしゃる通りです。いま思えば必要以上に力が入っていたと思います。
オマツリ対策
オマツリ対策は、ヒットしたアングラーのライン角度と自分の角度を見極める。ライン角度が異なれば、オマツリする可能性は低い。
それから、ラインが近づいてきたら、ラインが上か下かを見極めて、下をくぐるか上を越えて釣り座を入れ替わる。このとき、ラインを近づけると上下がわかりやすい。ラインが離れるのはダメで、ライン同士に角度がついて切れやすくなる。
それでも、オマツリした場合は無理に巻かずにドラグを緩め、ファイトにあわせて糸フケが出ないように巻く。無理に引くとPEラインが擦れてブレイク、巻きとらないと弛んだPEラインが巻きついてめちゃくちゃになります。
オマツリ回避術
最後に、オマツリを回避する冷静な判断力も必要。
両サイドがヒットしたら、巻き上げて待つぐらいの余裕が欲しいですね……とは自分にいい聞かせています。
おまけ、船長は予約人数をしっかりと管理して……嘘ですよ(笑)。トロ船長は志摩沖のマグロジギングの開拓者、ジギングマニアのよい船長です。
<田中耕二/TSURINEWSライター>
トロ丸
出船場所:
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