今回は渓流ヤマメ攻略を季節別で解説しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)
5月
大型連休中は釣り人が押し寄せ、魚影の濃い有名河川でもさすがに釣果も落ちくる。有名河川イコール釣れるという方程式は当てはまらないようだ。支流のまた支流などや日ごろから釣り人が多く入らないB級河川の渓流に入渓すると、オイシイ思いができる場合がある。
仕掛けは、周りの釣り人と同じだと貧果に終わりやすい。せっかく釣りに来ているのだからひと工夫して釣り上げたい。

以前経験した話だが、先行者もおり、スレたヤマメばかりで昼間はエサには見向きもせず、釣りにならない時があった。そこで再び薄暗い日没に訪れた。大きな目印が何とか目視できる暗さの中、釣り始めると昼間はどこにヤマメは隠れていたのかと思うほど流れの緩い淵で、25~27cmの入れ食いを経験したことがある。
このように、薄暗いマヅメ時は釣り荒れた釣り場でも荒食いする時合いがあることも考慮しておきたい。
他にも、釣行前までに漁協、国土地理院地図、水位、SNSなどあらゆる情報を入手して、数か所河川をピックアップしたい。
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連休後は源流域へ
騒がしい大型連休がすぎれば静かな渓流釣りが楽しめる。本流域では尺ヤマメがサオを絞り、一般渓流域では釣り荒れて一時的に魚影も薄く感じられる。このころになると、私は純天然物を求めて源流域を釣り歩くことが多い。
源流ヤマメは日ごろからエサも乏しく、エサに対して貪欲だ。警戒心を抱かさなければ簡単にヒットする。「見える魚は釣れない」と言われるが、浅い流れから見える天然物が無警戒でエサに食いつくシーンはスリル満点だ。釣り人は常に「石化け、木化け」を心掛けると釣果も伸びる。エサはブドウ虫。雨後の笹濁りならミミズに限る。
また、渓流域では、毛バリ釣りが面白い。梅雨前までの渇水期は膝下までのチャラ瀬にも定位しており、反応も良い。毛バリ釣りには、西洋毛バリ(リール付き)のフライと和式(ノベザオ)のテンカラがある。手軽さは断然テンカラがよいが、好みで判断すればいい。テンカラ釣りはサオと市販毛バリ、そして安価なラインだけで釣りが成立する。毛バリを打ち込み、3秒以内で流すと水面から割って飛びついてくる。エサ釣りのように手も汚れず女性でも気軽に楽しめるだろう。
梅雨(つゆ)
例年6月をすぎれば長雨続きの梅雨が到来する。増水中は危険なので減水中の時を狙う。平水から20~30cm増水の状態が釣りやすい。一般的に笹濁りと呼ばれる笹色の薄濁りが食いも良いとされている。しかし、シビアにならずとも増水気味であれば、濁りがなくとも高活性でよく釣れる。メインのエサはミミズが一番。濁りがなければ、ブドウ虫でもよい。

ヤマメにも馬力が出て水中イトも太めの0.3号以上、ハリは、8~9号の大バリを標準に使用する。大物も増水を利用して遡上する季節。堰堤、滝、大淵など遡上を阻む大場所は尺上ヤマメの有望ポイントだ。
増水期の釣行は国土交通省のHP「川の防災情報」で、釣行する水系の水位や雨量をチェックする。気象情報も複数の気象予報と組み合わせて釣行場所を決めていく。参考までに、雨後の取水ダム下の流域は平水であっても突然放水し、急激な増水が発生しやすく大変危険である。特に、退避困難な奥深い沢での釣行は注意すること。
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7月下旬~8月
例年、梅雨の明ける7月下旬、梅雨明け直後の減水期は今までの長雨で釣り人も少なく、ヤマメも高活性で一時的に釣果も上向き、ひと回り大きく、パワフルな魚体が交じってくる。仕掛けも春先の極細イト仕様では対応しづらくなる。仕掛けは水中イト0.25~0.4号、エサはミミズを標準と考えておく。
下流にダムを控えた河川や本流では30cmオーバーの戻りヤマメやサクラマスが魚止めまで差してきているので、エサ、ルアーの反応も大変良く面白い季節だ。
猛暑の8月に入ると一気に減水する。水温20度ともなれば冷水性のヤマメは活性も落ちて、昼間は釣りにならない。古くから「夏ヤマメ一里に一尾」と言われるほど難しい。少しでも水温の低い標高のある一般渓流域~源流域が狙いめ。また、時間帯は、涼しい早朝と日没前後がよい。

ポイントは少しでも水温の低くて溶存酸素量の多いポイントを狙う。落ち込みや白泡の多い瀬(荒瀬・平瀬など)、発電所放水口、堰堤、滝つぼが有望。エサは、陸生昆虫を意識して、ブドウ虫やミミズでよいが、クモやバッタでも釣れる。
ただ、この時期になるとクモの巣が多く、非常に攻略しづらい。さらにスズメバチが活発になってくる。黒系の帽子や服にまとわりついてくるので白系を着用し、防蜂ネットをお勧めする。ハチに刺された場合、命に関わる場合もあるので、アナフィラキシー症状対策で、エピペン注射液を病院から処方しておくと安心だろう。
9月
近年は9月に入っても残暑が厳しく、朝晩に涼しさが感じられるのは中旬くらいだろうか。ヤマメも産卵を控えて、ようやく食いも戻ってくる。
本流や開けた渓流は、まだアユ釣りが活発で、おのずと一般渓流域~源流域が中心になる。さすがに終盤の季節になると多くのヤマメが抜かれ、全体的に魚影も薄まっている。よって釣果にもムラがでやすい。しかし、外敵をかわしてきた百戦錬磨のスレヤマメや尺ヤマメも産卵に備えて遡上し、より上流の支流にも差してくる。エサ釣りには反応も良く、最後の大物シーズン到来だ。

エサはミミズ、ブドウ虫、イクラを使う。産卵を控えて流れの緩い淵尻に定位していることが多い。
シーズン最後の源流域で婚姻色のでた天然物を狙うのも面白いが、卵を抱いた個体も多く、来シーズンの楽しみのためにもリリースを取り入れながら、優しい釣りを心掛けたい。
<週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞/TSURINEWS編>
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