
バラトンパーク・サーキットでMotoGP第14戦ハンガリーGPの決勝レースが行なわれた。勝利したのは、ドゥカティのマルク・マルケスだった。
いわゆるWGP時代以来33年ぶり開催となったハンガリーGP。新設コースのバラトンパークで初ポールポジションを獲得したのはドゥカティのマルク・マルケスで、スプリントレースはライバルを寄せ付けずに勝利した。
2番手、3番手のフロントロウにはファビオ・ディ・ジャンアントニオとフランコ・モルビデリのVR46勢2台が並んだ。ランキング2番手のアレックス・マルケス(グレシーニ)はペナルティを受け、14番手グリッドからのスタートとなった。
ただジャンアントニオはサイティングラップ時にマシンに異常があったことで、ウォームアップラップでピットイン。マシンを乗り換えてピットレーンからのスタートを選んだ。
全26周の決勝はターン1でマルコ・ベッツェッキ(アプリリア)がマルク・マルケスに並びかけ、首位に浮上。続くターン2~3でマルク・マルケスが抜き返そうとしたが、ベッツェッキの後方に軽く追突するような格好となってしまい、4番手まで順位を落とした。
ターン12ではエネア・バスティアニーニ(テック3)が転倒し、マシンがコースを横断。あわや多重クラッシュ……という場面だったが、後続のライダーたちはこれを間一髪で回避していった。
先頭に立ったベッツェッキは好ペースで飛ばし、2番手はモルビデリ。マルク・マルケスは1台を抜いて3番手になり、4番手以下を引き離していった。
なおアレックス・マルケスは2周目に転倒してしまい、レースには復帰したものの上位争いに加わるチャンスが潰えた。スプリントでの苦戦と合わせ、ハンガリーGPはアレックス・マルケスにとって厳しいモノになった。
先頭を行くベッツェッキは、5周目時点で2番手モルビデリに1秒差。逃げの態勢に入ろうとしていた。
そんなベッツェッキを逃がすまいと反応したのがマルク・マルケスだった。5周目にターン9でモルビデリを抜くと、ファステストラップを刻みながら先頭のベッツェッキとの差をみるみるうちに削り取っていった。ポジションを落としたモルビデリには、4番手のペドロ・アコスタ(KTM)が急接近。アコスタは7周目にオーバーテイクを成功させ、モルビデリを表彰台圏内から蹴落とした。
マルク・マルケスはベッツェッキとの差をあっという間に全て削り、テール・トゥー・ノーズの距離に接近。8周目のターン1やターン5でオーバーテイクを仕掛けたが、ベッツェッキは上手くクロスラインを取り、ポジションを守った。
マルク・マルケスはその後2周をベッツェッキの後ろに留まって走行。しかし11周目のターン1で再び仕掛けた。コーナーを小さく回ったマルク・マルケスをベッツェッキは抑えきれず、ついに首位が入れ替わった。
先頭に立ったマルク・マルケスは一気にペースを上げ、一方で抜かれたベッツェッキはペースが落ちたため、ふたりのギャップは急拡大。その後も差はどんどん広がっていった。
レース折り返しを過ぎた14周目、フェルミン・アルデゲル(グレシーニ)がターン1で転倒。ペース良く4番手のモルビデリを追い上げていたが、上位フィニッシュのチャンスを失った。
マルク・マルケスが独走する中、ベッツェッキとアコスタによる2番手争いが激しくなった。そして16周目のターン1でアコスタがブレーキングでインを突き、オーバーテイクを成功させた。
マルク・マルケスはレース終盤になっても独走状態。ひとり淡々とハイペースで周回を重ね、最終的には後続に4秒以上の差をつけてトップチェッカー。33年ぶりに開催されたハンガリーGPを制すると同時に、今季10勝目を挙げた。2位はアコスタ、3位はベッツェッキだった。
なお4位には16番グリッドから追い上げたホルヘ・マルティン(アプリリア)が入った。日本人ライダーの小椋藍(トラックハウス)は、転倒多発のレースを乗り切って11位でフィニッシュを果たし、ポイントを持ち帰った。
アレックス・マルケスが14位に終わったことで、マルク・マルケスのランキング上のリードは175点まで拡大。第16戦サンマリノGPで今季の戴冠を決める可能性も出てきた。サンマリノGP終了時点で222ポイント以上の差となれば、その時点でマルク・マルケスはMotoGP最高峰クラス7度目の王座が決定する。兄の早期戴冠を止められるかどうかは、今後2戦の弟の走りにかかっている。
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