
アルピーヌのピエール・ガスリーは、F1イギリスGPを6位でフィニッシュ。貴重な8ポイントを手にした。レース中にはレッドブルのマックス・フェルスタッペンを追いかけるシーンもあったガスリー……「一体何が起きているんだ?」と思ったこともあったという。
そもそも今年のイギリスGPは、ガスリーにとっては最悪のグランプリになるのではないかと見られていた。FP1では19番手、FP2では18番手、そしてFP3では最下位……チームメイトのフランコ・コラピントも下位に沈んでおり、好材料と呼べるモノは一切見られなかったというのが実情だ。
しかし予選でガスリーは奮起。15番手でギリギリQ1を突破すると、Q2も10番手でギリギリながらQ3に進出。他車にペナルティがあったこともあって、8番グリッドというポジションからスタートすることになった。
そして決勝レースは雨。しかも彼の前に並んでいたジョージ・ラッセル(メルセデス)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)がフォーメーションラップを走っただけでピットインし、ドライタイヤに交換することを選んだため、ガスリーは前がぽっかりと空いた状態でスタートすることができた。
その後は道中フェルスタッペン……つまりこのレースをポールポジションからスタートした車両と争うシーンもあり、最終的には6位入賞を果たした。
「ポールポジションを獲得したマックスとバトルを繰り広げた。レース中、一体何が起きているのかと、疑問に思った瞬間もあったよ」
ガスリーはレース後にそう語った。
「僕は本当に全力でプッシュしていた。何度か捕まえられたシーンもあったけど、彼らはストレートではものすごく速かった。最終コーナーですごく近づいても、引き離されてしまった。DRSの検知ゾーンはストレートエンドにあったんだけど、そこでDRSを作動できる1秒以内に近付くことができなかったんだ」
「(超高速S字コーナーである)マゴッツ-ベケッツの直後に、一度DRS圏内に入ることができた。そして数周にわたって、それほど離されたわけじゃない。だから、自分たちのパフォーマンスには満足している」
「彼はポールポジションを獲得し、今年何度も表彰台に上がっている。だから、彼をオーバーテイクすることが、頭をよぎった。でも、それを成し遂げられるような状況ではなかったんだ」
ガスリーは、今あるマシンを最大限活かすことができたと感じているという。
「リスクは負ったけど、それは正しい選択だった。判断も、戦略も素晴らしかった。ピットストップにも問題はなかった。こういうコンディションの中で、最大限のパフォーマンスを発揮できたはずだ」
そうガスリーは言う。
「チームの全員のことを、とても誇りに思う。今年は非常に厳しいシーズンで、マシンが理想的なモノじゃないことは承知している。でも、いつも全力を尽くしてレースに挑んでいる。今回は、チャンスが訪れた時に最高のパフォーマンスを発揮し、それを活かすことができることを証明できた」
「毎回全力を発揮し、ベストを尽くし続けなければいけない。それがチームのモチベーションになるんだ。僕はファイターであり、戦士だ。だから常に彼らをプッシュし続けるよ」
ただレースがドライコンディションだったら、こういう結果を手にすることはできなかっただろうと、ガスリーは言う。
「ドライコンディションでは、厳しい戦いになることは分かっていた。このサーキットの特性は理解している」
「でも刻々と変化するコンディションの中で、タイヤをケアし、ウエットタイヤ、新品タイヤ、そして劣化したタイヤでプッシュしていった。今できる中で最高のパフォーマンスを発揮できたと思う。簡単ではなかったしたくさんの罠もあったけど、なんとか全てを回避することができた。僕らにとっては完璧な1日だったと思う」
そして今回の好結果が、来季から新体制で挑むことになるアルピーヌF1にとって、大きな力になるとガスリーは言う。
「僕らは来年を見据えている。だから後押しは絶対に必要なんだ。しかし全員がこれまで以上のハードワークをするためには、少しばかりのエネルギーとモチベーションが必要だ……今回の結果が、彼らにそういう力を与えてくれることだろう」
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