2025.7.9

F1の”V8”エンジン回帰計画が再始動!? FIA会長「2029年までに形にしたい」はどこまで本気?

Rainer W. Schlegelmilch

 FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、2029年シーズンからF1がより安価なV8エンジンに移行することを支持する姿勢を改めて表明し、F1グリッドに12番目のチームが参加する可能性についても語った。

 先週末にシルバーストンで開催されたF1イギリスGPでスレイエム会長は、F1が可能な限り早く、より安価なエンジン型式に移行すべきだと主張した。そして、それは2026年のレギュレーション変更で新型パワーユニット(PU)を導入してからわずか3年後となる、2029年にも実現する可能性があるという見解を示した。

「我々にとって、V8は実現しつつあるものだ」

 そうスレイエム会長は述べた。

「現在のチームの状況について、私は非常に楽観的で、嬉しく思っている。FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)は協力的で、チームもこれが正しい方向だと気づき始めている」

「早急に行動する必要がある。3年が必要だ。2029年までに何か形になることを願っているが、(持続可能)燃料は非常に高価であり、その点にはかなり注意が必要だ。トランスミッションも非常に高価だ」

「現在のエンジンは想像を絶するほど複雑で、コストも高い。研究開発費は2億ドル(約294億円)に達しており、エンジン自体のコストも180万ドルから210万ドル(約2億6千万~3億円)かかっている。シンプルなV8を採用した場合、どうなるか見てみよう」

 スレイエム会長のコメントは、以前に彼と他のFIA関係者が述べた内容とほぼ一致している。持続可能燃料を使用して、安価な大排気量の自然吸気エンジンを復活させようと呼びかけ、それがバーレーンGPで既存および将来のPUマニュファクチャラーとの会合を実施するに至った。

 この会合の主な結論は、 F1が将来のエンジン規制において持続可能燃料の使用は必須であること、電動化のレベルは将来的に考慮する事項の一部であるということ、技術的方向性に関する議論を継続することだった。

 バーレーンでの会議以降、将来のPUに関する正式な議論は行なわれていない。そしてレギュレーションの決定にはFIAと商業権保有者であるFOMの支持、およびPUメーカーの過半数以上の賛成が必要となる。

 またスレイエム会長は以前、V8ではなくV10エンジンの復活を訴えていた。だがより安価であり、ハイブリッドシステムと組み合わせて使用するという点でも、より軽量であるという点でも、市販車と関連付けやすい点でもV8の方が適切だろう。

「多くのメーカーが市販車にV8エンジンを搭載しているため、商業的には正しい判断だ。価格はどれくらいか? 目標はすべてにおいて50%以上安価にすることだ」とスレイエム会長は付け加えた。

 スレイエム会長はまた、グリッドに12番目のチームが加わる可能性についても言及した。F1は2026年にキャデラックを新たに迎え入れるが、次は中国からの参画を目指しているようだ。

 現時点では入札はないものの、スレイエム会長は興味を示したいかなる入札者も、持続可能でありF1に価値をもたらすことができるチームであることを確認するため、FIAとFOMの厳格な手続きを経る必要があると述べた。

「適切な時期が来れば、(F1への)参加意向表明の募集を開始するだろう」と彼は述べた。

「我々は他のチームを混乱させるためにここにいるわけではない。我々にとって(F1に参入する新チームは)価値があるものでなければならない。チームはF1のビジネスを維持するために価値を加える必要がある」

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出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/momentum-growing-for-cheaper-v8-engines-says-fia/10740646/
この記事を書いた人 Filip Cleeren

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