
アストンマーティンの今シーズンは、悪夢のような滑り出しだったが、エミリア・ロマーニャGPで投入されたアップデートをきっかけに、再生の兆しを見せ始めている。
ノーポイントが続いていたフェルナンド・アロンソは一気にパフォーマンスを上げ、連続して予選Q3進出を果たすと、スペイン・カナダと2戦連続でポイントを獲得。トンネルを脱した感がある。
そんなアロンソは、いつもの批判的・闘争的な口調で、F1における”不運”について次のように語った。
「いくつかのレースや、キャリアのある時点で、不運に見舞われたことは確かにあったと思う」
しかしアロンソはそれに不満を言うどころか、このスポーツで直面する真の苦悩について、客観的に語った。
「3、4回5位になっただけで、少し不満を抱いているドライバーたちがいるよね? 彼らは予選Q1で脱落したことも、1シーズンで12、13回もエンジンを壊したこともない」
アロンソが経験したそんな苦悩は、間違いなく彼がマクラーレンに在籍していた時代に経験したモノだろう。当時は2015年からF1に復帰したホンダがパワーユニット(PU)を供給していたが、ホンダPUはパフォーマンスと信頼性の両面で苦しんでいたのだ。
今季のアロンソは、その時ほどではないにしろ、不運にも見舞われた。たとえばモナコでは、ポイント獲得が狙える位置でエンジントラブルに見舞われている。
しかしアロンソは、そんな状況にも負けない、揺るぎない信念を持っている。
「精神的に強くなくてはいけない。そういう意味では、これはエクストリームスポーツなんだ」
「ドライビングだけではなく、闘争心を持って常に気力を維持しなければならないんだ」
2023年以降、シーズン中のアップデートによるパフォーマンス向上という点で足踏みしていた感のあったアストンマーティンだが、新たな風洞を使った今回のアップデートが成功したことは大きなポジティブ要素だ。
アロンソは来季から再び、ホンダのPUを使用することになる。かつて苦悩を味わった思い出のある組み合わせだが、今度は勝利を分かち合うことができるだろうか。