
先日、映画『F1』のワールドプレミアがニューヨークで華々しく行なわれたが、主演のブラッド・ピットはその後オースティンへと飛び、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でマクラーレンF1のプライベートテストに参加していたという。チームがmotorsport.comに認めた。
ベテランドライバー、ソニー・ヘイズを演じるピットは、映画の撮影の中で“F1マシン”を本当に走らせたことでも話題になったが、そのマシンの正体はF2マシンをベースにF1風の改造を施したもの。正真正銘のF1マシンで走るのは、これが初めてとなった。
昨年のチャンピオンチームであるマクラーレンはソーシャルメディアを更新。“BP”のイニシャルが入ったウエアの写真と共に、『オースティンはSonny day(ソニー・デイ)だ』と、Sanny day(晴れた日)とかけた投稿でピットのテスト参加を匂わせていた。
ピットは月曜夜のワールドプレミアの後すぐにニューヨークからテキサスへ移動。マクラーレンのドライバーであるランド・ノリスも同じくニューヨークからオースティン入りしており、もうひとりのドライバー、オスカー・ピアストリもワールドプレミアに参加せずにテストに備えた。そしてピットはノリスの指導を受けた後、2023年のマシンであるMCL60でサーキットを走行したとみられている。
ハリウッドの大物俳優であるピットのF1初走行が、今回の映画制作に深く関わっていたメルセデスではなくマクラーレンだったことは興味深い。ピットと共演者のダムソン・イドリスが撮影で走らせたF2マシンは、メルセデスがF1風モディファイを手がけている。
メルセデスは映画制作のあらゆる面に関与しており、昨年まで同チームに所属していたルイス・ハミルトンも、共同プロデューサーとして貢献。その他多くのスタッフが裏方としてクレジットされ、チーム代表のトト・ウルフも映画に出演している。
また劇中に登場する架空のF1チーム『APX GP』のマシンにも、当時メルセデスがスポンサードを受けていたトミー・ヒルフィガー(現在アパレルブランドのパートナーはアディダスに変更されているが)などのロゴが掲示されていた。
ハミルトンは今季フェラーリに移籍したが、ピットはウルフやラッセルと今でも強固な関係を維持している。ウルフ代表は映画の撮影が始まる前段階からこの作品に関与しており、ピットにフランスのレーシングスクールでF4カーから段階的に訓練を受けさせていたことを明かしていた。
「我々は(APX GPの)ガレージやピットウォールのデザインなど、できる限りリアルに再現できるよう協力した」と言うウルフは、さらにこうジョークを飛ばした。
「数週間前に監督(ジョセフ・コシンスキー)と話して、『今どこにいる?』と聞いた。てっきりハリウッドだと言われると思ったが、『いや、ブラックリー(メルセデスF1の拠点)のアパートにいるよ』と。映画監督も楽じゃないね」
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