
ル・マン24時間レースの予選では、キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAの12号車、38号車がフロントロウを独占したが、38号車のドライバーであるセバスチャン・ブルデーは、ストレートスピードの遅さが、レースでの致命的な弱点になると考えている。
ハイポーポール1でも、アクション・エクスプレス・レーシングが走らせるキャデラック・ウェーレン311号車がトップ、38号車が2番手となっており、キャデラックは1周アタックではライバルの追随を許していない。
しかしブルデーはセッション後のメディア対応では暗い表情を浮かべていた。レースでの好結果への希望が薄く、ライバルが意図的にパフォーマンスを隠蔽している可能性や、現在のバランス・オブ・パフォーマンスの影響への不満をにじませていた。
「一部の人々は、自分が何をしているのか、何ができるのかを明らかにしていない」と、ブルデーは主張した。
「一部のドライバーのパフォーマンスに関して、僕たちが見たくないことが2、3件あった。明らかに、彼らは手札を胸に抱えたままにしている」
「昨年と同じような状況がストレートで再発するのではないかと心配している。パフォーマンスについて不満を言っているわけではない。ただ、戦う機会が欲しいだけだ。残念ながら、ル・マンは最高速度が全てだ。もし、ラップタイムに依存しない形で戦う機会を少しだけ与えてくれれば、ありがたいんだけど」
「問題は、レース中にラップタイムで差を作るならポルシェコーナーなんだけど、10回中9回はそこにトラフィックが発生するため、そのラップタイムは諦めるしかないんだ。もし誰かにスリップストリームを使われて簡単にオーバーテイクされるのに、自分が同じようにできないなら、それはレースにならない」
キャデラックのフリープラクティスでのロングランペースはまずまずで、主要なライバルとほぼ同等だ。しかし走行台数が減り、スリップストリームの影響が少ないハイパーポールでは、キャデラック勢の最速が331.8km/hだったのに対し、ポルシェとフェラーリは338.1km/hで最速を争っていた。
予選前の段階で、本命はフェラーリで対抗馬はトヨタだと予想されていたのに対し、予選ではフェラーリ勢は7番手が最上位。トヨタも8号車が10番手、7号車はハイパーポールに進めず16番グリッドからのスタートとなる。
フェラーリとトヨタがこんなに後ろに落ちることを予想していたか尋ねられたブルデーは、次のように返答した。
「いいや、今でも信じられない。彼らは僕たちをおちょくっていると思う」
「トヨタはミスを犯した。誰でもミスはするものだ。でもフェラーリは僕たちをからかっている。それは確実だ。83号車のイー・イフェイがまだ汚れたトラックで、45kgか50kg重い状態で3分23秒9を記録したのを見れば分かる。どこかの時点で、いい加減にしろってなるかもしれない。面白いストーリーにはなるかもしれないが、彼らは馬鹿にしているんだ」
ブルデーはレースでの展望について、すでに優勝する期待はほとんどいだいていないようだ。
「ポディウムフィニッシュできれば素晴らしいが、3台フェラーリがいるので難しいね」
「トヨタがレースで強いのはよく知られている。ミスを犯さず、信頼性が高く、タイヤの摩耗がなく、24時間もの間、超高速ペースで走り続けることができる。そのため、誰にもトラブルがなければトップ5を争うのは難しいだろう」
「ポルシェのことは忘れがちだが、週の初めからストレートで非常に速い3台を擁しているし、パフォーマンス面でそれほど差はないから、レースでも非常に活躍するだろう。BMWは昨年の予選のような勢いはないが、レースでは非常に速いと思う」
「レベルは非常に高いんだ。正直、トップ5に入れば本当に素晴らしい。もし表彰台に上がれれば、少し信じられない結果だと言えるかもしれない。だけど、優勝は本当に期待していない」