
2025年のル・マン24時間レースに向けて各車の性能調整(バランス・オブ・パフォーマンス/BoP)が6月5日(木)の夕方に発表され、少なくともスペック上では複数のハイパーカーメーカーによる熾烈な総合優勝争いが予想されている。
そして今年6回目のル・マン制覇を目指すトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)は、直近の世界耐久選手権(WEC)で2連勝中のフェラーリに反撃を繰り出すことを期待している。
レギュレーションでは「BoP設定に影響を与える」いかなる行為も禁止されているため、どのチームも数値に関する発言には慎重を期している。またトヨタ勢はBoPが過大解釈できないと十分に理解しつつ、8号車GR010ハイブリッドに乗るセバスチャン・ブエミはル・マン市街地での公開車検の際、楽観的な姿勢を見せた。
「他が何をしているのかわからないから、なんとも言えない。去年を基に考えると、トリッキーだね」
「(前戦)スパより良いのは確かだ。昨年と似たような感じだから何ともに言えない。問題は、常に他との相対的なモノだということだ」
「BoPでみんなが速くなりそうだ。特にコースの一部が再舗装されたから、ポールポジション(タイム)は昨年よりも速くなると予想できる」
「しかし、やはり他と比べてどうなのか、というのが全てだ。スパとここでは間違いなく大きな開きがある」
4度のル・マン優勝経験があるブエミが信じて疑わないのは、レースの激しさと、最後の数時間に優勝争いを展開するためトップ集団に留まり続けることの重要性だ。
「数多くのバトルが繰り広げられるだろう」とブエミは言う。
「天候がどうなるのかまだ分からない。安定して信頼できて、そして本当に重要な時にパフォーマンスを発揮する必要がある。序盤でラップを失わない限り、終盤の3周までは全てを完璧にこなす必要はない。終盤はピットストップも含めて、全てが完璧でなくてはならない」
「今は少し違うというのは本当だ。以前は一貫性でレースに勝つことができた。今は荒れたレースになっても、セーフティカーのおかげで戦線復帰ができる。そして最後に強いこと。それが重要なんだ!」
トヨタは開発が進んだGR010と共に今年のル・マンを迎える。7号車をドライブするニック・デ・フリーズは、そのポテンシャルを最大限に引き出すことが重要だと語った。
「自分たちが持っているモノを最大限に引き出すこと、それが僕らの仕事だ」とデ・フリーズは語った。
「もし7位が限界なら7位でフィニッシュする必要がある。勝てるなら勝たなければならない」
トヨタは今年でル・マン24時間レース初挑戦から40周年を迎えた。これに際して7号車は、1990年代後半を戦った伝説的なTS020(GT-ONE)に敬意を表した特別カラーリングと共にサルト・サーキットを駆け抜ける。
「信じられないほど、ゴージャスだと思う」とデ・フリーズは言う。
「今週末、このマシンを代表する形で参戦できることを非常に光栄に思っている」
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