
F1スペインGPはマクラーレンがワンツーフィニッシュで勝利を飾った。その後方ではザウバーのニコ・ヒュルケンベルグがフェラーリのルイス・ハミルトンを交わして、“小さな勝利”と呼べる5位を獲得。チーム代表のジョナサン・ウィートリーも、今回の結果には驚いたようだ。
ヒュルケンベルグは前日の予選で16番手とQ2進出を逃したものの、決勝レースではスタートで11番手までポジションを上げてトップ10を争った。
そしてレース終盤のセーフティカー出動でヒュルケンベルグはピットへと戻り、新品のソフトタイヤに交換。レーシングブルズのアイザック・ハジャーやハミルトンを交わし6番手でチェッカーを受けた。
その後レッドブルのマックス・フェルスタッペンにタイム加算ペナルティが下ったことで、ヒュルケンベルグは5位に昇格した。
ヒュルケンベルグがハミルトンの乗るフェラーリをオーバーテイクする姿を見た感想を尋ねられたウィートリー代表は、次のように答えた。
「今回は2台のフェラーリを追い抜いた。正直に言って、自分の頬をつねるような状況だ。しかしその理由は、我々のペースにだ」
今回のスペインGPにザウバーは、新しいフロアやエンジンカバー、フロントウイングを投入。ウィートリー代表は“一流の仕事”ぶりを見せたヒュルケンベルグを労いつつ、自身が4月に代表として加入して初めて、チーム全体が正しい方向へ進み始めているという感覚を得たと明かした。
「アップデートが期待通りだったこと、ドライバーたちからのフィードバックが一貫していたこと、今回そのようなマシンが我々のもとにあったということに満足している」とウィートリー代表は言う。
「このような感覚はここに来てから初めてで、とてもいい気分だ。次のレースへ臨む前に、この瞬間に少しでも留まっていたいね」
またウィートリー代表は、2026年からアウディのワークスチームとなるザウバーにとって、重要な一歩だと続けた。
「みんながこれほど一生懸命に取り組んでくれていることをとても嬉しく思っている。我々はC45を理解しようとしている。だからこれは大きな一歩であり、ファクトリーのみんなをねぎらいたい。全ての分析、全てのハードワーク、全てのクリエイティビティ……全てが正しい方向に向かっている」
ウィートリー代表は、決勝日の夜はチームとささやかなお祝いをすると明かし、翌日からは再びチームの課題に取り組んでいくと語った。
「航空会社がフライトをキャンセルした、と言う必要がある。私がキャンセルしたのではなくてね」とウィートリー代表は言う。
「(アウディAG CEOのゲルノット)ドルナーとかから何か言われたくはない(笑) だから『キャンセルされた』と言ったんだ」
「チームにとってはお祝いの絶好の機会だ。私にとっても、プレッシャーの少ない状況でチームと過ごす良い機会だ。一瞬一瞬を楽しむつもりだが、飛行機を降りたら明日(月曜日)はファクトリーへ直行する。やらなければならないことは沢山あるし、今はシャンパンを2杯以上飲んでいる場合ではない」
そして会計は誰持ちか? と尋ねられたウィートリー代表はこう答えた。
「私が勘定をするよ……会社のカードでね!(笑)」
最後に表彰台を獲得した2012年以降、狂っていたザウバーの歯車が再び周り始めたのかもしれない。チームがアウディと呼ばれる2026年まで、残り半年を切った。
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