
2026年シーズンのF1から、スペイン・マドリードに新設された半常設サーキット「マドリンク」がスペインGPの舞台としてカレンダーに加わることとなっている。
現在スペインGPを開催するバルセロナ・カタルニア・サーキットは、厳密に言えば2026年までの開催契約を結んでいるが、マドリードへの移行により、関係者から2025年大会が“お別れ会”として扱われている。しかし2026年以降もF1カレンダーに残留するべきだと主張する声もある。
バルセロナは1991年にヘレスから移って以来、スペインGPを開催してきた。14のコーナーを持つバランスの取れたサーキットはプレシーズンテストの舞台にもなり、チームから不動の人気を集めた。
ただ、特にインフラやアクセス性への投資を求めるF1首脳陣の声には届かず、マドリードと開催契約を2035年まで締結。F1にとっては1981年以来のマドリード再訪だ。
F1カレンダーは現在年間24戦と予定がぎっしり詰まっており、F1誘致を目指す国が列をなしていることを考えると、スペインの2都市で同じ年にグランプリが開催される可能性は低い。しかしスペイン出身であるフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、バルセロナがカレンダーに残ることを強く望んでいる。
「バルセロナを失うことはないと思う」
アロンソはそう語った。
「それが僕の意見であり、願いだ」
「新しい開催地があるのは良いことだと思う。この10年でF1が進出した新しい国々があるのも良いことだ。でも同時に、F1の歴史が刻まれ、創られてきた伝統的なサーキットも残していく必要がある」
「F1はバルセロナととても強い繋がりがあると思う。何十年もここでテストをしてきた。テストコースをひとつ選ばなければならないとなった時、どのチームもバルセロナを選ぶと思う。来年は新しいレギュレーション、新しいマシンが導入されるから、また冬にはここへ戻って来る」
「サーキットはF1の基準に合わせるため、いくつかの変更を加えてきたと思う。ここ2〜3年でパドック施設やグランドスタンド、全てが新しいレベルになった。バルセロナは過去20〜30年だけでなく、この先の10年〜40年とずっと留まるだろう」
「いくつかの開催地は一時的にカレンダーに載るだけで、おそらくまた消えてしまうだろう。だからバルセロナを失うわけにはいかない」
レッドブルのマックス・フェルスタッペンも、バルセロナがカレンダーから消えるのは惜しいと考えるひとり。2016年にはこの地でF1初優勝を果たした。それもレッドブル昇格後初レースという快挙だった。
「F1全体にとって、このコースが無くなってしまうというのは、ちょっとした損失だと思う。特にドライバーにとってはね。でもここでのファン体験も良いと思う」とフェルスタッペンは語った。
■マドリンクの準備も着々
全長5.4km、22つのコーナーを有するマドリンクで開催される2026年のスペインGP決勝は、57周の戦いとなる。
サーキットはマドリードとスペインの歴史にちなんだ数々の装飾が施され、全レイアウトの中で2番目に長い589mのストレートからスタートする。スタートラインからターン1までの距離は202mだが、レースではターン1〜2のシケインに向けて320km/hから100km/hのブレーキングとなるため、オーバーテイクも期待できる。
ウイリアムズのカルロス・サインツJr.はマドリード生まれ。新たなスペインGPの舞台となるマドリンクのアンバサダーを務めている。そのため、彼が地元レースの“成功”を信じていると語っても驚きはない。
「グランプリのアンバサダーに任命されたからには、サーキットやコミュニティを支え、最高のレースにするつもりだ」とサインツJr.は言う。
「マドリードが都市として大きな可能性を秘めていると信じているし、マドリードのような都市があることがどれだけ幸運か、世界中のより多くの人々が気づいていると思う。成功すると信じているよ」
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT