
F1スペインGPからは、フレキシブルウイングに対する監視が強化され、フロントウイングのたわみ検査が厳格化された。しかしルイス・ハミルトン(フェラーリ)はこれが「カネの無駄」だったと考えている。
これまでは、マクラーレンやメルセデスが規則で許されたギリギリの範囲までたわむフレキシブルウイングを活用することで、高速域・低速域でバランスの取れた空力パフォーマンスを実現してアドバンテージを得ているとの見方が強かった。ただ昨年レッドブルとフェラーリがライバルのウイング設計についてFIAに明確な説明を求めたことを発端に、ウイングの耐荷重テストは段階的に厳格化されていった。
今回のスペインGPからは、FIAの耐荷重テストにおいて許容されるフロントウイングのたわみ量が5mm減少。新基準に準拠したフロントウイングが登場することによって、マクラーレンとライバル勢の差が縮まるのではないかとの指摘もあったが、蓋を開けてみれば、予選でオスカー・ピアストリとランド・ノリスがフロントロウを独占するなど、マクラーレンが他を圧倒した。
ピアストリにコンマ5秒近い差をつけられて5番手となったハミルトンは、他のドライバーと同様にフロントウイングが新しくなったことで全体的なマシンバランスがわずかに損なわれてしまったと語ったが、その影響は非常に小さく、新しいウイングを開発する意味はなかったとの見解を示した。
「バランスは間違いなく前よりも良くない。でも(ライバルとの差は)特に変わらなかった。カネの無駄だよ。みんなが無駄金を使ってしまった」
ハミルトンはそう語る。
「文字通り何も変わっていない。みんなのウイングは相変わらず曲がっているし、その曲がり具合がちょっと減っただけ。みんなが新しいウイングを投入するためにお金をかけたわけだけど、これじゃあ意味がない。でもこうなってしまった以上、前に進むしかない」
「シミュレータで走った時も、ほぼ同じ感覚だった。高速域で少しオーバーステアが増えたくらいだ」
またハミルトンのチームメイトであるシャルル・ルクレールも、同じく高速域での違いはわずかに感じたとしつつも、各チームは主にセットアップでそこに対応していると話した。
ルクレール曰く、単にマシンバランスにおけるフロントウイングの依存度が減り、代わりに他の部分で補っている状態だと感じているという。彼は「そうだね、特に高速域で(違いを)感じる。ちょっと運転が難しくなるけど、嫌なレベルではないよ」と感想を述べた。
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT