
ピットストップ2回が必須となったことで意図的なスロー走行戦略が横行し、波紋を呼んだ2025年のF1モナコGP。元F1ドライバーのマーティン・ブランドルが、Sky Sportsの最新コラムの中でこの規則について見解を述べた。
Sky SportsのF1中継で解説を務めるブランドルはレース中にも、ドライバーたちがスロー走行で後続を抑えることで前方とギャップを作り、前を走るチームメイトが順位を落とさずピットストップできるようアシストした光景をよく思っていないようだった。
そしてその後公開されたコラムの中でブランドルは、3セットのタイヤ使用を義務化したこの特別ルールに関してより深く考察した。彼は「ショーを良くしようと善意で試みる人々を非難するつもりはない」としつつも、ピットストップのタイミングに関するルールのさらなる改良が必要だったと感じたと述べている。
ブランドルはこう綴った。
「ピットストップのうちの1回を、例えばレースディスタンスの半分まで、あるいはそれ以前に消化することを義務付けなかったことには少し驚いた」
「後方のいくつかのチームは早い段階で2回のピットストップを済ませても失うものがほとんどない状態を作り、前方のチームはセーフティカーや赤旗を待ちながら、2回目のピットをできるだけ遅らせようとしていた」
「また、チームが1台のマシンを生贄にしてゆっくりと走らせることで、(前を行く)もう1台のマシンに対してピットストップ1回分に相当する21秒のギャップを作りだせる……これもすぐに明らかとなった」
こういったスロー走行作戦を実行したのが、レーシングブルズやウイリアムズといった、中団で2台が近い位置を走っていたチームだ。ただ作戦を実行した当人たちにとってもこれは不本意なものであった。メルセデスのトト・ウルフ代表は、レース中にウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表とテキストメッセージのやり取りをしていたことを明かし、次のように述べていた。
「彼(ボウルズ代表)はレース中にテキストを送ってきた。『申し訳ない。この状況ではそうするしかなかった』とね。私は『分かっている』と返した」
ブランドルは、このようなスローペースを「憂慮すべきもの」と評したが、「2台のマシンでポイントを狙うという全体の目標を考えれば、彼らを責めることはできない」とも語った。
そしてブランドルは最後にこう締めくくった。
「後続に腹立たしい行列ができるほどペースが遅いマシンがいるのは、見ていて気持ちのいいものでもないし、感心するものでもないが、一部にとっては効果的だった。ただ、それはF1の本質ではない」
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