
5月28日、スーパーフォーミュラ参戦中のイゴール・オオムラ・フラガが都内の駐日ブラジル大使館を訪れ、オタヴィオ・エンヒッケ・ジアス・ガルシア・コルテス大使と面会した。
フラガは“オオムラ”というミドルネームからも分かる通り日系ブラジル人のレーシングドライバーであり、自身は3世にあたる。両親が出稼ぎで日本に来ていた1998年に石川県で生まれ、12歳まで金沢で過ごした。その後リーマンショックの影響で家族でブラジルへと渡り、ブラジル南東部・サンパウロから北東にある工業都市イパチンガに住んだ。
その後はグランツーリスモで世界王者になるなどeスポーツでも頭角を現し、リアルのレース界でもレッドブルジュニアに選出されるなど才能を高く評価されたフラガ。コロナ禍の煽りも受けて欧米でのレース活動は一時ストップしてしまったが、2023年から日本でレース活動を開始すると、今季はPONOS NAKAJIMA RACINGからスーパーフォーミュラにステップアップしてルーキーとは思えぬパフォーマンスを見せている、まさに赤丸急上昇中のドライバーだ。
スーパーフォーミュラを運営するJRP(日本レースプロモーション)は外国籍ドライバーの大使館訪問を次々企画しており、今回はサッシャ・フェネストラズのアルゼンチン大使館訪問、ザック・オサリバンのUK大使館訪問に次ぐ第3弾だ。フラガはコルテス大使との談話を通して「すごくアットホームで、包み込まれるような感じ。居心地が良かったですね」と語った。
フラガはその中で、7月に富士スピードウェイで行なわれる第6戦・第7戦にぜひ来場してほしいと呼びかけたが、フラガ曰くコルテス大使は「いらっしゃる気満々でした(笑)」とのことでかなり前のめりな様子。またブラジル大使館からの後援もリクエストしたが、これについても前向きに検討されるようだ。
大使との会談の後、記念撮影が終わると、大使館のスタッフが次々と列をなしてフラガに写真撮影をお願いしていた。これまでの大使館訪問では見られなかった光景だが、聞くところによると特に日系人のコミュニティの中でフラガはカートで活躍していた幼少期から知られた存在なのだという。久々に会った親戚を見るかのように皆目を細くしていたのが印象的で、フラガも日本語とポルトガル語を交互に操りながらフレンドリーに談笑するなど、なんともハートウォーミングな一幕だった。
余談ではあるが、フラガは今年の年初にブラジルで結婚式を挙げたばかり。ブラジル人の妻もこの春にようやく入国が叶い、千葉で新婚生活を送っているが、大使館との繋がりは新生活の困りごと解消などプライベートでも大いに活きてきそうだ。
訪問を終えたフラガは、「スーパーフォーミュラではすごく高いレベルでレースをしているので、もっと色んな人に知ってほしいです。自分はブラジルと日本のコミュニティの間にいる存在ですから、日本にいるブラジルの方にもレースを見に来てほしいですし、そのきっかけになれれば」と語った。
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