
2025年のインディ500で、最多ラップリードを記録しながらも9位に終わった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。彼はレース後の祝賀会でのスピーチで、敗因のひとつとなったピットでのミスについてユーモアを交えて語った。
今年はインディ500のみのスポット参戦となった48歳の佐藤は、練習走行から一貫して速さを見せると、予選でもフロントロウの2番手を確保。迎えた決勝レースは早々とトップに立ってレースを引っ張っていた。
しかしながら3度目のピットストップに向かった際にオーバーラン。本来の停止位置を約1.8m過ぎてしまったことでタイムロスとなり、大きく順位を落としてしまった。
このオーバーシュートに関して佐藤は「自分のミス」だったと認めているが、悔やんでも悔やみきれないミスだっただけに、佐藤としても居ても立っても居られず、AIに“答え”を求めたようだ。
「クルマの調子も良く、最初の方のピットストップもうまくいっていたのですが、3回目がうまくいきませんでした」と佐藤は語り始めた。
「6フィート(約1.8m)ほどオーバーシュートしてしまいました。周りの人は『あと1秒早くブレーキを踏めばよかったんじゃないの?』と思っていたようで、僕も『確かにそうかもな』と思ったんです」
「でもその時は細かい話をする必要もなかったし、しっかり計算できていたわけではありませんでした。それでChatGPTに聞いたんです。『ピットレーンの速度が時速60マイル(時速約96キロ)で、6フィートのオーバーシュートの場合、どのくらい早くブレーキを踏むべきだったのか?』と」
「すると、『100分の7秒』という答えが返ってきました。僕はコンマ1秒にも満たない時間だけ、早くブレーキを踏めば良かったんです。それで完璧に止まれたんです」
「“彼女”がそれだけだと言うので、今度試してみますよ(笑)」とジョークと飛ばして話題を締め括った。
3度目のインディ500制覇が確かに見えていた佐藤。実現すれば49歳を迎えて挑む2026年のインディ500では、AIも心強い味方となるかもしれない。
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