
20年近くにわたるF1キャリアの中で6度のコンストラクターズタイトル、8度のドライバーズタイトルに貢献した伝説的レーシングカーデザイナーであるエイドリアン・ニューウェイは、2025年からマネージングテクニカルパートナーとしてアストンマーティンに加入した。
ただ、以前務めていたレッドブルを退団すると発表した時は、次に何をするか明確なプランがなかったとニューウェイは言う。
レッドブルを去る背景にはいくつかの理由があったことを認めたニューウェイ。そのまま引退するか、それともF1であるかどうか関わらず、仕事を続けるかを決めるまでのプロセスを次のように語った。
「レッドブルを辞めた理由には色々あって、その時点では純粋に、次に何をするのか見当もつかなかった」
ニューウェイはSky Sportsのインタビューでそう語った。
「その時は、腰を落ち着けて考えたり、妻のマンディとどうすべきか話したりしていた。リラックスして日光浴に出かけたり、マルガリータをたくさん飲んだり、また仕事に戻ったり。もし仕事を選ぶなら、それはなんだろう? と考えていた」
アストンマーティン・ヴァルキリーを手掛け、レッドブルでもRB17の開発を主導したことから、市販車業界にも興味があったという。
「市販車にはずっと興味があった。ヴァルキリーのプロジェクトは楽しかったし、RB17のプロジェクトも楽しんでいる。でも私がキャリアの中で好きだったのは、人間とマシンの融合、スポーツ的な挑戦……つまり毎週のようにショーに出るということだ」
ニューウェイは、テンポの速いF1でのフィードバックが自身の喜びであると認めた。
「ブリティッシュ・エアロスペースやロールス(ロイス)のような企業で航空機の開発に携わっている大学時代の友人たちと比較すると、彼らは10〜15年も空を飛ばないようなプロジェクトに携わっている。フィードバックもあまりない。だから私は、人間と機械が再び競い合う必要があると感じた」
10年以上前にニューウェイは、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズとしてベン・エインズリー・レーシングとセーリングのアメリカズカップに参加。本人にとっては常に挑戦したいモノだったという。
「アメリカズカップはとても興味深く、パラレルワールドのようだった。テクノロジーはどれもよく似ている。アメリカズカップで唯一気に入らないのは、返答権がないこと。4年に1度の大会だ」
「ボートが海に入ってから競技に出るまで、長くて2ヵ月。設計が上手くいっていなければ、それを解決する時間はない。それに対してF1は、たとえシーズンのスタートが上手くいかなかったとしても、マシンの基本的な構造を正しく理解し、適切なパワーユニットと優秀なドライバーを手に入れれば、それを軌道に乗せることができる。マクラーレンはその良い例だと思う」
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