
特別ルール適用によって戦略的にペースを落とすドライバーも現れた今年のF1モナコGP。ライバルの策に翻弄されたひとりであるメルセデスのジョージ・ラッセルは、抜本的なフォーマット変更を求めている。
長年モナコGPは決勝レースが面白みに欠けると批判を受けてきた。そこでF1とFIAは今年、78周のレースに事実上2回のピットストップを必要とするべく、3つの異なるタイヤセットの使用を義務付けるという実験的なルールを適用した。
しかし結局は予選トップ4と決勝のトップ4はメンツも順位も変わらず。戦略的な駆け引きが生まれたが、オーバーテイクができないという本質は変わらない。
レーシングブルズとウイリアムズは、トラックポジションを落とすことなくタイヤ交換義務を消化するため、チームメイトがあえてペースを落として後続を封じ込めるという戦略を取り、予選でマシントラブルに見舞われて後方スタートとなったメルセデスのラッセルを大いに苛立たせた。
入れ替わり立ち代わり防戦を続けたウイリアムズ勢の後方で封じ込められたラッセルは、ヌーベル・シケインを直進し、ポジションを戻さずペナルティを受けることを決めた。ただ、ラッセルに科されたのは、5秒のタイム加算ペナルティではなく、ドライブスルーペナルティという重い罰だった。
ラッセルは、F1がこれまでと異なる試みをしていることを評価しながらも、手狭なモナコGPをより良くするためには、抜本的な改革が必要だと感じている。
「このモナコで何が解決策になるのか、真剣に考える必要がある」
ウイリアムズ勢に次ぐ11位フィニッシュとなったラッセルはそう語った。
「今年、2ストップで何かを試みたことは評価したい。全く機能しなかったことは明らかだけどね」
「全てのドライバーにとって、予選は週末で最もエキサイティングな瞬間だ。それを受け入れるのか? 決勝ではなく、予選レースになる。土曜日に1回、日曜日に1回。予選でポールポジションを獲得したドライバーにはポイントが与えられ、日曜日では少し多めにポイントが与えられる」
「僕らが一番好きなことはそれだし、みんなが観ていて一番楽しいことだと思う。モナコにいる他の99%の人たちは、ヨットの上でシャンパンを飲んでいるんだから、そんなことは気にも留めないよ……」
「ここでペースを4秒落として走るのは簡単だ。つまり、F2マシンを走らせても、F1マシンを封じ込めることができるかもしれないということだ。解決策は分からない。2022年と2023年は幸い、ウエットレースでエキサイティングだった」
またコース外からウイリアムズのアレクサンダー・アルボンを抜いた件について、ラッセルは次のように語った。
「正直に言って、ポイント圏外だったから気にしていなかったんだ。土曜日はモナコを楽しむチャンスがなかったからね」
「僕はモナコを楽しみたかった。サーキットを全開で走りたい。世界最高のサーキットのひとつだからね。だからそうしたんだ」
「最後の25周は、この週末で一番楽しかった。とても爽快だった。限界に挑戦し、自分を試した。皮肉なことに、こうしていなければ15位か16位でフィニッシュしていたはずだ」
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT