
ここ数年に渡ってF1パドックで撮影が行なわれてきたブラッド・ピット主演の映画『F1』がついに完成、6月末に公開される。それに先立ち、現役のF1ドライバーやチーム代表たちが、モナコで行なわれたプライベート試写会で本作を初めて鑑賞した。
試写会には、個人的な理由で欠席したレッドブルのマックス・フェルスタッペンとアストンマーティンのランス・ストロールを除く18人のF1ドライバーが集結。主演のピットは不在だったが、F1 CEOのステファノ・ドメニカリが登壇し、続いて監督のジョセフ・コシンスキーとプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが挨拶を行なった。会場は和やかな雰囲気に包まれていたが、ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグは「ポップコーンがなかったのは残念だった」と冗談交じりにコメントした。
以下はF1ドライバーたちの映画に対する感想だ。
ランド・ノリス(マクラーレン)
「僕がすごくカッコよく映ってたのが一番良かったね。とても良い映画で、ストーリーも良かった。どこまで言って良いのか分からないけどね」
「ストーリーも良くて、すごくインスピレーションをもらえる内容だったよ。いろんな意味が込められていたし、若い世代にも響く作品になると思う」
オリバー・ベアマン(ハース)
「この映画は本当に素晴らしいと思った。僕らが普段体験していることを、ハリウッド風ではあるけど、うまく描いていたと思う。F1に興味を持ってもらえることが真の目的だからね。オンボード映像の技術もすごかった。彼らの技術を目の当たりにして感動したよ」
「ちょっと笑っちゃうようなところもあったけど、そこはそういうものだよね。もちろん完全に正確ではない部分もある。例えば、ストレートでサイド・バイ・サイドになった時に突然相手がギヤを上げて(加速する)、というレース映画のお決まりのシーンとかね。でもそれは映画ならではのことであって、それが観客を魅了しているんだと思う」
「そういうところをちょっと嘘くさいと思うような僕たちのような人もいるけど、それは少数派だろうし、大多数にとっては素晴らしい映画になると思う」
カルロス・サインツJr.(ウイリアムズ)
「とても楽しめたよ。僕らのようなF1の“専門家”から見ると、これまでにも(Netflixのドキュメンタリー等で)あったように少しハリウッド風ではある。それでもF1を知らない新たな層にとってはきっと魅力的に映るはずだ」
「コアなファンやジャーナリストにとってはアメリカ的だとか、ハリウッド的だと感じるかもしれない。でも僕はこの映画を楽しめたよ」
「本当に驚かされたし、制作陣はハリウッド映画に仕上げる上で素晴らしい仕事をしたと思う。あとはみんながどう思うかだね」
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
「良い映画だったと思うよ。F1のことをかなり正確に表現していたと思う。特にこういう映画では必ずしもそうとは限らないからね」
「この映画を観た人は、F1のレースを見たいと思ってくれるだろうし、F1にとっても良いことだ。ドキュメンタリーじゃなく映画だから多少は(事実と異なる点が)あったけど、レースシーンは独創的かつ非常にリアルで、そこが良かった」
エステバン・オコン(ハース)
「すごく没入感があったよ。走行シーンは素晴らしかったし、今まで見たことのない映像だった」
「パドックの中にいるドライバーとしては、ちょっと違うかなと思うところもあったけど、できる限りリアルにするためにルイス(ハミルトン)が監修しているのもよく伝わってきた。多少ハリウッドっぽい演出もあるけど、みんなの目をひくものでないといけないからね」
「僕たちとしては、もう少しレースにフォーカスしたり、クラッシュを減らしてくれればと思うところもあったけど、それでも全体的にはこれまでで最高のレース映画だと思うし、大成功すると思うよ」
リアム・ローソン(レーシングブルズ)
「公開されたらかなりのヒット作になると思う。今年最高の映画になるポテンシャルを秘めている。F1の一員であるという感覚をうまく捉えていて、とてもクールだ」
「僕がF1に出始めた時には撮影がほとんど終わっていたから、自分が映っていたことに驚いたよ」
「この映画を通してF1を初めて見る人にとっては、『すごい!』と感じる内容になっている。細かい突っ込みどころはあるけど、映画ってそういうものだし、それは戦闘機パイロットがトップガンを観る時だって同じだろうからね」
ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)
「ハリウッド映画だから、一歩引いて大きな視点で楽しむべきだよね。ディティールの部分はさておき、新鮮なアングルからF1を見られる。著名な俳優も出てたし、ブラッド・ピットは僕の憧れだ。新しい目標(61歳でF1を走ること)ができたよ」
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
「初めてこの映画を観られてすごくよかった。F1の世界を体感できる貴重な機会だと思う。ハリウッド映画としても完成度が高いし、僕の大好きなブラッド・ピットもF1ドライバーとしてすごくカッコよく描かれていた」
「制作陣は素晴らしい仕事をしたと思う。F1を知らない人たちにも届いてほしいね」
シャルル・ルクレール(フェラーリ)
「僕らはF1ドライバーだから、厳密には正確ではない細かいところを見つけがちなんだけど、ハリウッド映画としてはすごくうまくできていたと思う。F1ドライバーのための映画ではなく、もっと幅広い人たちに観てもらうための映画だからね」
「ドライビングのシーンは本当に素晴らしかった。カメラワークが印象的で、ブラッドが自分で運転していたのもすごい。すごいことだし、彼も楽しんだと思う」
「この映画がなければリーチできない人に届くことになるだろうから、F1にとって素晴らしいことだ」
アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)
「F1の映画を観るっていうのは少し変な感覚だった。でもF1をさらに広める力があると思う。このスポーツをさらに大きくできるのは良いことだ」
「ドライバーとしては批判的になりがちだけど、F1のことをよく知らない初心者や子どもにとっては最高の入り口になるはずだ」
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)
「彼らは良いバランスを見つけたと思う。細かく分析しすぎず、リラックスして映画として楽しむのが一番だね。ハリウッド映画としては、かなりいいバランスを取ったと思う」
ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)
「F1をよく知らない人にとっては、素晴らしい作品になると思う。僕たちドライバーにとっては日常の世界だから細かいところが気になるけど、詳しくない人にとっては勉強になるだろう」
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