2025.5.10

F1開催契約まとめ|どのサーキットがどれくらいF1カレンダーに残る? ニューカーマーと伝統グランプリのせめぎあい

Red Bull Content Pool

 2025年5月現在のF1カレンダーにある各グランプリの契約概要と契約期間を、期間終了が迫っているグランプリから順にまとめた。

■エミリア・ロマーニャGP―イモラ・サーキット:2025年

 イモラ(アウトドローモ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ)がF1カレンダーに組み込まれているのは、現状2025年まで。COVID-19の世界的蔓延によって例年通りのグランプリ開催が危機に立たされた際にカレンダーに復帰し、複数年契約を結んだ。洪水により2023年大会が中止となったことで、契約が1年延長される可能性があるが、まだ確定していない。

 イモラはF1が検討している隔年開催の候補となり、スパなどと交互にグランプリを開催することとなる可能性がある。

■ラスベガスGP―ラスベガス市街地サーキット:2025年

 F1は何年もの間、ラスベガスへの復帰を望んでおり、2023年11月についに実現した。レースは以前とは異なる市街地サーキットで開催され、ドライバーたちが有名なストリップを駆け抜けた。もうひとつの特色は、レースが土曜日の夜、ゴールデンタイムに開催されることだ。当初の契約は3年間だが、10年に延長する計画もある。

■アゼルバイジャンGP―バクー市街地サーキット:2026年

 バクー市街地サーキットはアゼルバイジャンGPの開催契約を2026年まで結んでいる。当初は2023年に契約が切れる予定だったものの、COVID-19のパンデミックによって2020年はグランプリを開催できず。2023年には、3年間の開催延長が発表された。



日本GPの契約期間は?

Steven Tee / Motorsport Images


■アメリカGP―サーキット・オブ・ジ・アメリカズ:2026年

 オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でのアメリカGPは、少なくとも2026年まで開催される。契約は2022年初めに延長された。

 F1は近年、特にNetflixのドキュメンタリー『Drive to Survive(邦題:栄光のグランプリ)』を通じてアメリカで大きな人気を博している。COTAでは2012年にグランプリが初開催されて以来F1カレンダーに定着してきたが、2020年大会はCOVID-19によって開催中止となった。

■スペインGP―バルセロナ-カタルニア・サーキット:2026年

 2021年末、F1はバルセロナとの契約を2026年まで5年間延長。施設の老朽化と財源不足によって長らく開催が危ぶまれていたが、COVID-19のパンデミックで両者は互いの価値を見出し、結果として開催延長が実現した。しかしながら、複合施設を改修することで合意した。

 ただ昨年1月、2026年からスペインGPはマドリードへ移り、半公道サーキットを使用することが決まっている。

■オランダGP―ザントフールト:2026年

 2024年12月、ザントフールトでのグランプリ開催は2026年が最後となることが発表された。サーキットディレクターを務めるロバート・ファン・オーヴェルダイクは次のように説明した。

「他の多くの国とは異なり、我々は政府からの支援を受けていないため、最終的には収益に責任を負うこととなる。オランダのスポーツ史にとって歴史的な1ページを閉じることができたのを誇りに思う」

■シンガポールGP―マリーナベイ市街地サーキット:2028年

 2022年初頭に新たな7年契約が結ばれ、F1は少なくとも2028年までシンガポールの象徴的な市街地サーキットでレースを続ける。2020年と2021年はCOVID-19のパンデミックにより、カレンダーから一時的に外れた。

■メキシコシティGP―アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス:2028年

 F1はメキシコシティGPのプロモーターと新たに3年間の契約延長を結び、少なくとも2028年までグランプリを開催する。2024年秋の時点でも、同グランプリのディレクターを務めるアレハンドロ・ソベロンは、地元の人気ドライバーであるセルジオ・ペレスの去就にかかわらず、レースが継続されると楽観的な見通しを示していた。

■日本GP―鈴鹿サーキット:2029年

 鈴鹿サーキットは1987年からF1カレンダーに組み込まれており、以降は富士スピードウェイで開催された2007年と2008年、そしてCOVID-19の影響を受けた2020年、2021年を除き、継続して日本GPを開催。2024年に2029年までの開催契約を延長した。

 F1にとっての日本市場の重要性と、難易度が高くドライバーから愛されるサーキットを考えると、今のところ日本でのグランプリは安泰のようだ。

一時は将来が危ぶまれたモナコGPも今は安泰?

Sam Bloxham / Motorsport Images


■サンパウロGP―インテルラゴス・サーキット:2030年

 F1は2023年のサンパウロGPでインテルラゴス・サーキットとの新たな契約を発表。以前、F1はリオデジャネイロの新サーキットに移転すると噂されていたが、このプロジェクトは延期された。

■オーストリアGP―レッドブルリンク:2030年

 2020年にレッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコが新たな複数年契約が結ばれたことを明かしたが、その期間は正式に発表されなかった。しかしレースの人気とレッドブルの重要性を考えれば、今後もカレンダーに残る可能性が高い。

 2023年の大会では、少なくとも2030年までレッドブルリンクでF1が開催され続けるという新たな契約が発表された。

■アブダビGP―ヤス・マリーナ・サーキット:2030年

 2021年12月、F1はアブダビとの複数年契約を発表した。2021年にレッドブルのマックス・フェルスタッペンとメルセデスのルイス・ハミルトンが激しいF1タイトル争いのフィナーレを演じたサーキットでは、少なくとも2030年末までグランプリが再開される。今後数年は、シーズン最終戦として設定される見込みだ。

サウジアラビアGP―ジェッダ・コーニッシュ市街地サーキット:2030年
 F1と10年契約を結ぶサウジアラビアでのグランプリは少なくとも2030年末までカレンダーに残る。最初の数年間は、ジェッダの市街地サーキットがレースで使用されるが、その後はキディアの新しい複合施設が開催地となる。

■中国GP―上海国際サーキット:2030年

 2024年にF1は、COVID-19のパンデミック前2019年以来となる中国GPを開催。中国はF1にとって重要市場のひとつであり、2024年末には5年の契約延長が行なわれた。

■カナダGP―ジル・ビルヌーブ・サーキット:2031年

 モントリオールの半公道サーキットは、2031年までF1カレンダーに残る。2017年3月には2029年までの複数年契約が結ばれたが、2020年と2021年はCOVID-19のパンデミックのためF1を開催できず。その2年分が既存契約に追加され、現在は2031年までとなっている。

■イタリアGP―モンツァ・サーキット:2031年

 モンツァ・アウトドローモ・ナツィオナーレはイタリアGPの開催地として6年間の契約を更新した。モンツァは近年、施設改修に多大な投資を行なっており、今後もさらなる改善が実施される。フェラーリとティフォシにとって、このグランプリはイモラと並び非常に重要な意味を持っている。

■モナコGP―モンテカルロ市街地サーキット:2031年

 2024年11月に新たな契約を結んだモナコは、少なくとも2031年シーズンまでF1カレンダーにとどまる。モナコGPの将来は疑問視されていたが、契約延長により少なくとも7レースはモナコ公国でグランプリが開催される。

スパは隔年開催。一方でマイアミは2041年まで

Glenn Dunbar / Motorsport Images


■ベルギーGP―スパ・フランコルシャン:2031年

 象徴的なサーキットであるスパ・フランコルシャンでは、2031年まで4戦が開催され、2028年と2030年は開催されない。他大陸でのF1開催への関心が高まるにつれて、ヨーロッパの他の開催地も持ち回り制で開催されることになるだろう。

■ハンガリーGP―ハンガロリンク:2032年

 ハンガロリンクは1986年以来、F1ハンガリーGPの開催地となっている。2023年の大会で5年間の開催延長が発表され、現在の契約は2032年までとなっている。サーキットは今後、大幅な改修が行なわれる予定だ。

■カタールGP―ルサイル・インターナショナル・サーキット:2032年

 COVID-19で中止となったオーストラリアGPに代わって、2021年にはじめてカタールGPがF1カレンダーに登場。初開催前に10年契約が合意された。

 2022年はFIFAワールドカップのためグランプリが開催されなかったが、その後は毎年開催されている。最初の数年はルサイルが舞台となるが、現在は全く新しい複合施設が建設されている。

■イギリスGP―シルバーストン・サーキット:2034年

 1950年5月13日、世界選手権として最初のF1グランプリの開催地となったシルバーストンでは、少なくとも2034年まで開催される予定だ。現在の契約は2024年に結ばれ、長期契約を結ぶ他のサーキットと肩を並べている。

■バーレーンGP―バーレーン・インターナショナル・サーキット:2036年

 F1史上最も長い契約を結んだのがバーレーンGPだ。2022年2月に契約が発表され、少なくとも2036年までカレンダーに組み込まれる。

■オーストラリアGP―アルバート・パーク・サーキット:2037年

 F1は1996年以降、COVID-19のパンデミックが発生した2020年と2021年を除き、毎年メルボルンでグランプリを開催してきた。2025年までの契約が残されていたものの、新たな契約が2022年6月に発表され、少なくとも2035年までグランプリが開催されることとなった。

 2025年にオーストラリアGPは、2019年以来の開幕戦として復活し、新しい契約期間中に少なくとも5回は、シーズン開幕戦として実施される予定だ。

 そして2022年12月には契約がさらに2年延長され、2037年まで契約期間が延びた。

■マイアミGP―マイアミ・インターナショナル・オートドローム:2041年

 2022年にF1が初めてマイアミへ。スペクタクル性やチケットの売上、サーキットのクオリティに疑問の声があったものの、初開催前から10年契約が結ばれた。2025年5月に10年間の契約延長に調印したことで、マイアミは少なくとも2041年までF1カレンダーに残ることとなった。

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出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/f1-circuit-contracts-how-long-each-race-will-remain-on-the-formula-1-calendar/10721439/
この記事を書いた人 Casper Bekking

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