4月25日（金）にマクラーレン・レーシングは声明を発表し、電動フォーミュラレースであるフォーミュラEへの参戦を現在の2024/25年シーズン（シーズン11）限りで終了することを明かした。
マクラーレンはダブルタイトル連覇を達成したメルセデスのチームを引き継ぐ形で、Gen3マシンが導入された2022-23年シーズン（シーズン9）からフォーミュラEへの参戦を開始。日産のパワートレインとともに直近3シーズンを戦ってきた。
これまでマクラーレンは、5回のポールポジションと1勝を含む6回の表彰台を獲得。今季はベテランのサム・バードと若手のテイラー・バーナードを擁し、第6戦モナコE-Prixを前にチームランキング3番手。ドライバーズランキングではバーナードが4番手につけるなど、好調さを見せてきた。
しかしマクラーレンは「レース活動に対して、集中的かつ戦略的なアプローチを維持することの重要性」から参戦カテゴリーの見直しに伴い、2024/25年シーズン限りでフォーミュラEを離れることを選択した。
そしてマクラーレンは、ダブルヘッダーとなる東京E-Prixを含む今季の残る11戦を全力で戦うとした上で、今回の決定を通じて「主要市場における将来の成長機会を最大限に活かし、進化し続けるモータースポーツ界において、パートナーに多用途かつインパクトのあるスポンサーシップ・エコシステムを提供し続けることができるようになる」と説明した。
フォーミュラEの撤退により、2027年以降マクラーレンのポートフォリオには、F1、インディカーシリーズ、世界耐久選手権（WEC）ハイパーカークラスの名前が並ぶこととなるが、イギリス・ビスターを拠点とするフォーミュラEチーム自体を解散することなく別オーナーへ引き継ぎ、2025/26シーズン以降もシリーズのグリッドに残すことを検討している。
今回の決定についてマクラーレン・レーシングのCEOを務めるザク・ブラウンは、次のように説明した。
「我々はフォーミュラEで成し遂げたことを非常に誇りに思っている。このシリーズはモータースポーツ全体において不可欠な役割を果たしているが、2027年のFIA世界耐久選手権への参戦を含め、全体的な戦略的方向性とより密接に結びつく他の機会を模索する時が来た」
「当面は、新たなオーナーの確保に向けて取り組み、この素晴らしいチームを将来の成功に導くことに集中する」
「チームは今年、力強いスタートを切っており、最高の状態でシーズンを終えたいと考えている。チーム、フォーミュラE、パートナー、そしてファンのみんなの変わらぬサポートに感謝したい」
また、メルセデス時代からチームを率いてきたイアン・ジェームス代表は、新オーナー探しが順調に進んでいると示唆した。
「我々はチームとして、これまで信じられないような旅をしてきた。ABB FIAフォーミュラEを世界選手権のシーズン9が始まって以来、マクラーレン・レーシングのファミリーの一員になれたことは非常に幸運だった」とジェームス代表は言う。
「マクラーレン・レーシング、パートナー、そしてファンのみんなの信頼、サポートに心から感謝している。その応援によって、今シーズン最後まで我々は戦い続ける。チームの才能は、過去に大きな成功をもたらしてきた。今後もそうあり続けるだろう」
「マクラーレン・レーシングの章は終りを迎えるが、我々はフォーミュラEが世界選手権として、またスポーツが力強さを増していく中でポジティブな変化をもたらすプラットフォームとして、その価値と力を認識している」
「チームがシーズン11以降も参戦を続けるための最善の機会を模索するための作業は、順調に進んでいる。それまではフォーミュラEでの現在の章を完結できるよう、全力を尽くすつもりだ」
なお、2024年10月にマクラーレン・レーシングと戦略的技術提携を締結した日本のエレクトロニクス機器大手TDKは、スポンサー活動を含めた今季のフォーミュラEチームとの取り組みを継続しつつ、シリーズ撤退を「新たなきっかけと捉え、当社として後半で影響力のあるコラボレーションを模索しています。マクラーレン・レーシングを含む多くの関係者と将来の取り組みを戦略的に構築するための議論を今後積極的に進めていきます」とした。
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