
F1バーレーンGPの決勝レースで2位に入ったメルセデスのジョージ・ラッセルは、DRSゾーン以外でDRSを作動させてしまったためにペナルティを受ける可能性に直面した。しかしFIAがレーススチュワードと協議した結果、ラッセルにペナルティは科されなかった。
バーレーンGPの決勝45周目のことだった。ラッセルはメルセデスのレースエンジニアであるマーカス・ダドリーから、マシンにDRSの問題が発生し、チームから指示があった場合にのみDRSを作動させるよう告げられた。
ラッセルのマシンはトランスポンダーのトラブルにも見舞われていた。このトラブルは、ラッセルの後方を走っていたランド・ノリス(マクラーレン)にも影響を及ぼしていた可能性がある。ノリスはラッセルのポジションを検知できなかったため、DRSを作動させることができなかったのだ。
結局2位ラッセルと3位ノリスは、0.774秒差でチェッカーを受けた。もしラッセルにタイム加算ペナルティが科されていれば、順位は入れ替わっていただろう。
ラッセルはレース後、ブレーキ・バイ・ワイヤのトラブルが、この問題の一因だった可能性があると認めた。
「様々なトラブルが発生していた。あるラップでは、無線交信のボタンを押したらDRSが作動してしまった。それで近付いてしまったから後退したんだ。アドバンテージは得なかったと思う」
さらにラッセルは『Sky Sport F1』にも、次のように語っている。
「どういう形で発動したのかは分からない。トランスポンダーとマシンへの信号に様々な問題があったんだ」
「正直に言って、答えられることはない。ステアリングホイールに表示される情報もすべて失われ、データは何も見られなかった。すべてを失ったから、最後のスティントは本当に厳しいモノだった」
「分からないけど、もし何かが起きるなら、非常に厳しい状況になっただろう」
FIAはこの件について議論を行ない、ラッセルにはペナルティを科さない決定を下した。以下が、FIAが発表した声明である。
「スチュワードは、63号車のドライバー(ジョージ・ラッセル)、チームの代表者、そしてピアソン氏から聞き取りを行なった。そしてポジショニング/マーシャリングシステムのデータ、テレメトリー、チーム無線などの証拠を検証した」
「外部機関から提供を受けたタイミングループの問題により、自動DRSシステムと車両間の接続が切断された。そのためFIAは、(スポーティング・レギュレーション/競技規則)第22条1項hに基づき、DRSを手動で起動することを承認した。当該のドライバーは当時、ブレーキ・バイ・ワイヤーの不具合と、他の電子的な問題を抱えていた」
「当時ドライバーは、コクピット内の補助ボタンを使用するように指示されていた。このボタンは予備の無線ボタンとして機能するだけでなく、DRSを手動で起動するためのボタンとしても機能する」
「ターン10とターン11の間のストレートで、彼はこのボタンを使ってチームに無線連絡をした。しかし、誤ってDRSを起動させてしまった」
この結果、メルセデスには技術的な違反はあったもののアドバンテージを得ていないと判断されたため、ペナルティは科されなかった。
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