
角田裕毅レッドブルF1昇格の報から数日。富士スピードウェイではスーパーGTの公式テストが行なわれたが、同シリーズに参戦するドライバーにも角田と親交の深いドライバーは多数いる。そのひとりが、鈴鹿サーキット・レーシングスクール(SRS/現ホンダ・レーシングスクール鈴鹿)時代の同期である大湯都史樹だ。
2016年のSRSは、今となっては“大豊作”の代と言われる。スカラシップの最終選考会に残った4人は角田、大湯、笹原右京、名取鉄平。角田の活躍は言わずもがなだが、残る3人も全て国内トップカテゴリーにステップアップしており、大湯、笹原はスーパーフォーミュラで優勝経験もある。
そのハイレベルな代で首席を獲得したのが大湯。大湯はその爆発的なスピード、次席の笹原はレース巧者ぶりが評価されたと言われている。角田はスカラシップを逃したが、車両の乗り換えを苦にしない点に惹かれた当時校長の中嶋悟氏の推薦により、首の皮一枚つながってホンダ育成ドライバーとしての道を歩んだというエピソードがある。
大湯にとって角田は、共に切磋琢磨してきたライバルであり、プライベートを共にする友人でもある。そんな角田がトップチームのレッドブルに昇格し、日本GPに参戦することになったのは、喜ばしいことだと大湯は言う。
「純粋に良かったなと。チャレンジできずに彼の夢が途絶えるのはもったいないと思いますから」
「チャレンジできる環境が整って、あとは自分で切り開いていく……そういうところまで行けたのは大きいと思います。実際(RB21を)乗りこなすことさえできれば、成功するわけですよね。彼はいけると思っています」
「今のレッドブルは(マックス)フェルスタッペンが乗っても優勝が際どいところになっていますが、とはいえトップチームなので、いつでも復活できる体制は整っているというか、修正力や底力はすごいと思います。それまで生き残れるかどうかというところですが、僕はあまり心配していません。求められるパフォーマンスの基準はクリアすると思うので、すごく楽しみですね」
「ここに辿り着くまで色々な巡り合わせやチャンスがなかった中で、そこの壁を乗り越えられた、大きな階段を登れたと思っています」
ちなみに大湯、これまでは日本GPに来場してパドックで角田とコミュニケーションをとった年もあったが、今年は来場しない予定とのこと。「多分邪魔だと思うので(笑)。集中して、普通に自分の力を出し切ればいけると思いますよ」と控えめに語った。