2025.3.21

ユウキはまだ変身を残していた……レーシングブルズ代表、レッドブル昇格逃した角田裕毅のエースたる振る舞いを熱弁&ベタ褒め

Andy Hone / Motorsport Images

 今シーズンのF1で開幕から速さを見せている角田裕毅。所属チームであるレーシングブルズのローレン・メキーズ代表がmotorsport.comの取材に応え、レッドブル昇格を逃した失意のオフシーズンから2025年シーズン開幕に向けての角田がどんな振る舞いを見せてきたか、詳細に説明した。

「我々が見てきたものを正確に話そう、いいかい?」

 目標でもあったレッドブル・レーシングへの昇格を叶える大きなチャンスがありながら、セルジオ・ペレスの離脱で空いたそのシートをリアム・ローソンに持っていかれる格好となった角田。さぞ失望し、気落ちしてもおかしくない状況だが、チーム代表の目には彼の姿がどう映っていたのか? そう尋ねると、メキーズは自らの見解を語り始めた。

「彼は昨年末、日本に帰国する時には失望感を抱えていたはずだ。それは私たちも同じだ。ただ、それは目に見えるものだったし、当然のことだったと思うよ」

「確か、彼がその(契約に関する)ニュースを受け取ったのは日本にいる時だったが、日本に出発する時点で良い状況ではなかった。それで、彼がそういったものをどう噛み砕いて、どんなマインドセットで戻ってくるかは常に疑問だった」

「でもヨーロッパに戻ってきた時、我々はすぐに彼がとても強い精神状態で戻ってきたことに気づいた。(チーム拠点の)ファエンツァでの最初の数週間でも、シミュレータでも、さらにはレッドブルファミリーとのいくつかのイベントでも、彼は最初から非常に強い意欲を持っていた。モチベーションが高く、細部まで集中していて、以前よりもさらに一生懸命取り組もうという強い意志が見えたんだ」

「そしてバーレーンでの3日間のテストが終わった後、我々は顔を見合わせてこう言った。『ユウキは別人になった』と。それがチーム内部での正直な感想だった」

「もし彼にさらに成長の余地があるなら、それを引き出せる環境を整えるのが我々の責任だと常々考えていた。そしてバーレーンの後、去年はやっていなかったことを彼がやっているとハッキリ感じた。マシンに乗った時の速さもそうだし、安定感も増している。それに技術的な理解も向上しているし、チーム内でリーダーシップを発揮する姿勢もだ」

「話は少し長くなってしまったが、結論としては、バーレーンの時点で我々はそういうことを感じていたんだ。その感想はユウキ自身にも伝えたよ。実際、メルボルンでの週末(開幕戦)はその流れを踏襲したものだった。彼は素晴らしい週末を過ごしたんだ。クルマの中でも外でもね。彼のモチベーションは非常に高かった。週末のどんな困難な瞬間でも、チームを引っ張っていた」

 角田のコース内外での様々な面での成長を実感していると語るメキーズ代表。その中でも分かりやすい点として、キャリア初期は声を荒げることが多かった無線でのやり取りが代表的な成長ポイントとしてしばしば挙げられる。

 先日の開幕戦オーストラリアGPは、レースを通して5番手、6番手を走りながらも、終盤の雨絡みの戦略判断で失敗してポイント圏内に落ちてしまうという、角田本人にとっても非常にフラストレーションの溜まる展開になった。しかしながら角田は、無線で怒るのではなく、真っ先にチームを励ましたのだという。

「まず最初に言いたいのは、それはユウキ自身の努力の結果だということだ」

 角田の無線での振る舞いの変化について、メキーズはそう語る。

「我々はドライバーではないので全てを非常に理論的に見ているが、実際にヘルメットを被ってウエットコンディションの中45周もトップドライバーたちと戦っている状況では、世界が全く違う」

「メルボルンでの素晴らしい週末の一端は、彼の無線での対応の素晴らしさにもある。面白い話をすると、最後の(戦略)判断の後、彼は無線でチームを励まそうとしたんだ。確かに1時間半も戦っていたクルーたちの心情も察するに余りあるものがあるが、彼がそういう気遣いをしてくれたことには驚かされたし、彼の成長ぶりを物語っている」

 F1参戦5年目のシーズンを迎えた角田。開幕戦では予選5番手と気を吐き、第2戦中国GPでも金曜のスプリント予選で8番手に入るなど安定したパフォーマンスを高水準で見せている。まだ24歳と若いが、既に“エース”としての振る舞いを見せチームに感銘を与えているようだ。

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出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/mekies-interview-china-2025-1/10705492/
この記事を書いた人 戎井健一郎/Oleg Karpov

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