
3月8日(土)の13時から、NHKBSでドキュメンタリー番組「F1の技術を空にいかせ~ホンダ・次世代モビリティへの挑戦~」が放送される。
F1の技術開発は、F1に勝つためだけにしか使えない……そんな時代もあった。しかし近年のF1で培われた技術は、市販車領域も含めて多方面に活かすことができる。特にホンダは、その知見を様々な方面に活かしていることでも知られ、弊社でもこれまでいくつかご紹介してきた。
例えばそのひとつが、空飛ぶクルマとも言えるeVTOLである。eVTOLは、様々なメーカーが参入し、激しい開発競争が行なわれている。ただ多くのメーカーが電動式を選んでいるのに対し、ホンダはハイブリッド式のeVTOLを開発中である。
その仕組みは、機体に搭載されたガスタービンエンジンで発電し、その電力でモーターを回し、そのモーターに接続されたプロペラで空を飛ぶ……というわけだ。ただ特に離陸時には大きなパワーが必要であるため、蓄電池に貯めておいた電力である意味ブーストをかけるわけだ。
このうち、モーターと蓄電池には、F1由来の技術が活きているという。F1マシンも、MGU-KやMGU-Hで回生した電力をバッテリーに溜め、必要な時に電力を放出する。その電力はかなり高出力であるのだ。ここで求められる性能は、F1もeVTOLもよく似ているため、F1で培われた技術が転用されているという。
そしてそのeVTOLのパワーユニット開発を率いているのは、かつてF1用PUの開発にも携わった津吉智明LPLである。ホンダのF1用PUには、”HondaJet”の技術も注入されているという話はあまりにも有名だが、そのHondaJetの開発部門と話をしたのが、この津吉LPLだ。
その津吉LPL以外にも、eVTOLの開発にはF1のPU開発経験者が数多く携わっている。
そしてeVTOLだけではない。ホンダの様々な技術の開発に、F1で培われた技術が活かされている。例えば航空機用の持続可能燃料であるSAFをホンダの研究所で開発・研究しているが、このSAFにもF1で使う燃料の研究で培われた知見が活かされている。
3月8日にNHK BSで放送される「F1の技術を空にいかせ~ホンダ・次世代モビリティへの挑戦~」は、詳細は明かされてはいないものの、その題名が示すとおり、eVTOLに活きるF1由来の技術や元F1技術者たちの活躍が描かれるのだろう。必見の50分ということになりそうだ。
F1は”走る実験室”だとよく言われる。サーキットで火花を散らし、あの激しいバトルを見せ、我々を興奮させてくれるあのF1マシンが、我々の未来の生活を豊かにしてくれるかもしれないなんて……素敵ではないか。
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