
元F1レースディレクターのニールス・ウィティヒが、昨シーズン終盤の解任劇について初めて公の場でコメントを発表した。
昨年11月のラスベガスGP直前、ウィティヒは突然レースディレクターから解任された。この発表は多くの人にとって「驚き」であり、ワールドチャンピオンのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)も彼の退任は「奇妙」だと語っている。
バーレーンで行なわれたプレシーズンテストの模様を『スカイ・ジャーマニー』が放送した際、ゲストコメンテーターとして登場したヴィティヒは、なぜ自分が解任されたのかについて「誰も答えてくれなかった」と明かした。
ウィティヒにとっても、当時のニュースは部外者と同様に驚きだったという。
「何かがうまくいっていないとか、人事異動をする理由があるとか、そういう兆候はまったく見られなかった。そういう意味では、すべてがまったくの驚きだった」
シーズン終盤という、重要な局面でウィティヒが突然解任された事に対し、F1界では怒りの嵐が巻き起こり、それはFIAのモハメド・ベン・スレイエム会長に向けられた。
メルセデスのトト・ウルフ代表は当時、「ポジティブに考えれば、最近の出来事を自分たちのリアリティショーに変えることができる」と皮肉を口にした。
優勝6回を誇る元F1ドライバーのラルフ・シューマッハーは、『Formel1.de』のインタビューで、FIAはウィティヒという「本当に優れたレースディレクター」を失ったと主張。また、選手会組織のGPDA(グランプリドライバーズ・アソシエーション)にとっても納得のいくものではなかった。
GPDAの理事であるラッセルは当時「一部のドライバーはこの状況にうんざりしている。というのも、FIAは間違った方向に進み続けているからだ」と批判している。
FIAはウィティヒの離脱について公式な理由を明らかにしなかった。この決定はベン・スレイエム会長が直接下したものであるようで、彼はこの問題に巻き込まれているドライバーたちに興味を示さなかった。
「彼らには関係のないことだ。申し訳ないがね」と、ベン・スレイエム会長は当時、motorsport.comのインタビューで語っている。
ベン・スレイエム会長は、世間への説明を差し控えただけでなく、ウィティヒ自身ともこの決定について話し合うことはなかったようだ。
解雇の理由について、以前の雇用主から説明を受けようとしたかどうか尋ねられ、ウィティヒは「実際そうした。だが誰も答えてくれなかった」と答えた。
「今日に至るまで、何の理由も教えてもらっていない。FIA会長と最後に話したのは昨年の中国だった。だから、我々が仲違いしたとか、ネガティブな関係にあったとは言えない。彼との接触は比較的少なかった」
ウィティヒは2022年シーズンを前に、エドアルド・フレイタスとともにF1レースディレクターに任命された。前任のマイケル・マシに対する激しい批判と、悪名高い2021年アブダビGPでのマシの判断が物議を醸したためだ。
2022年シーズン後半からはウィティヒがひとりでレースティレクターを務めてきたが、突如としてそれが終わったことは残念だったと彼は振り返った。
「素晴らしいチームと働き、素晴らしいシリーズを監督できたことは、信じられないほどの喜びだった」
「まあ、F1は人事に関してかなり目まぐるしく動くものだ。それがチーム側であれ、関係者であれね。ただそれを受け入れるしかないんだ」
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