
巨額の債務を抱えてしまい経営再建を目指しているKTMだが、その経営再建プランを債権者が承認。ひとまず危機は去ったようだ。
2月25日(火)、オーストリア北部のリート・イム・インクライス地方裁判所で、KTMの再建計画に対する債権者の投票が行なわれた。
KTMに対しては総額22億5000万ユーロ(約3532億円)の請求が提出されていたが、そのうちの20億ユーロ(約3124億円)の負債が認められている。
KTMの再建プランでは、負債の30%となる約6億ユーロ(940億円)が現金で5月末までに支払われることとなっている。さらに、3月中旬からオーバーエスターライヒ州の主要な工場での生産を徐々に増加させていくために、継続費用として1億5000万ユーロ(235億円)を要しているが、これらの支払いによって2000人以上の従業員を抱えているKTMの事業は5月末まで確実に継続される事となる。
KTM AGは約180の銀行に対して、13億ユーロの負債を負っている。銀行側は以前からより高い現金比率とすることを求めていたため、これらの再建プランが承認されるか不透明だった部分があるが、25日の審理開始から5時間後、再建プランが債権者から承認された。
KTMの声明には、次のように記されている。
「この計画では債権者が一時金(現金割当)の形で、債権の30%を受け取る事となっている」
「30%の割当を満たすために、KTM AGは少なくとも5月23日までに再建管財人に5億4800万ユーロをデポジットしなくてはならない」
「その後、裁判所は2025年6月初旬に再建計画を認め、法的拘束力が生じた時点で、KTM AGの再建手続きは終了する」
またKTMは今回の財政的な和解によって、3月中旬からの生産増加に向けたプランも保証されることが確認された。そのための費用をカバーするために、拡大された株主グループから5000万ユーロ(78億円)が拠出される予定だ。
加えてピエラー・モビリティAGのさらなる計画では、「シングルシフト稼働による4つの生産ラインの、計画されたフル稼働が、3ヵ月以内に達成される」ことが予定されている。
■投資家はまだ不明
アルペン債権者協会(AKV)によると、再建手続きの司法確認は、2025年5月23日までに1億5000万ユーロ(235億円)の継続費用が入金されるかどうかにかかっているという。
その最初の分割部分、つまり3月分となる5000万ユーロ(78億円)は既に24日に再建管理人の口座へと入金されている。ここから、合計約7億5000万ユーロ(1177億円/現金割当6億ユーロ+継続費用1億5000万ユーロ)が、5月23日までに入金される事が必要だ。
そしてAKVによると、融資投資家の名前は未だに不明のままであるという。なおKTMの株主であるバジャージ・オートは、融資という形で既に5000万ユーロを注入済みだ。
ピエラー・モビリティAGも、別の声明の中で新たに8億ユーロ(1255億円)の資本が必要だと述べている。これは前述の現金割当と、生産増加に向けて必要な資金だ。
シティ・グローバル・マーケットヨーロッパは、投資プロセスが構造化され、透明性を持つよう、一連の投資のサポートを委託されている。
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