
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコ博士は、今週末限りでチームを離れることになるのではないかという噂が日に日に大きくなっているセルジオ・ペレスについて、「それは我々の手には負えないことだ」と語った。
F1のパドックでは、今週末のアブダビGPが、ペレスにとってレッドブルでの最後の週末になるという見方が強まっている。その焦点になっているのは、すでに2026年までの契約を結んでいるペレスに対して、契約を早期に解除する場合の具体的な条件になっているようだ。
レッドブルはペレスに対して、良い形でチームを去り、離脱後はアンバサダーとしてチームに関与し続けられるという提案を行なったとされている。この提案には金銭的な補償も含まれているようだが、それがまさに鍵になっている模様だ。
というのもペレスがこの提案を受け入れず、最後まで自身の現在の立場を貫くことを選ぶ可能性もあるからだ。それによってペレスには、金銭的な面でより有利な条件を引き出そうという狙いもあるかもしれない。そう考えれば、ペレスがこれまでメディアに対して、一貫した発言を続けてきたことにも説明がつく。
ペレスは最近、メディアに対して「僕には契約がある」とか、「来年もレッドブルで走る」と述べてきた。そしてこれを根拠に、レッドブルに対してさらなる金銭的な補償を要求することもできるかもしれない。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーはカタールGPの後に、「チェコ(ペレス)自身が結論を出すのを待っている」と語った。その理由も、前述の状況を考えれば、理解することができる。
マルコ博士はアブダビGPのパドックで、motorsport.comオランダ版の取材に対して、次のように語った。
「最終的に、双方が合意できる解決策を模索している」
なお最近ではレッドブル陣営から、ダニエル・リカルドが離脱した。彼のF1での最後のレースはシンガポールGPだったが、その週末の間にリカルドの離脱は公式にはアナウンスされず、グランプリ終了後に発表が行なわれた。そのため、リカルドがF1に対して華々しく別れを告げるという機会は設けられなかった。
ペレスには、リカルドよりも華やかな別れの場を用意するべきではないかと尋ねると、マルコ博士は意味深に、次のように語った。
「そうだね。ただ、それは我々の手にはないんだ。最終的には、双方の合意が必要だ」
なおペレスはアブダビGPの予選で、最終的には10番手とはいえ、Q3進出を果たした。これは2戦連続のことのことではあるが、その前はQ1もしくはQ2脱落というレースが続いており、そのことを考えれば復活の兆しであるようにも見える。
「確かにチェコにとっては、今回はよりポジティブなパフォーマンスだったと思う」
そうマルコ博士は評価した。
「最近では、トップ10に入るのは難しかったから、それ自体は良いことだ。我々のスピードは全体的には、予選結果が示す以上に良かったと思う」