
FIAはカタールGP決勝中盤、ウイリアムズのアレクサンダー・アルボンのマシンからミラーがコースに落下した際に、すぐさまセーフティカーを出動させてデブリに回収しなかった理由について詳しい説明を行なった。
57周目で争われたルサイル・インターナショナル・サーキットでの決勝レース。アルボンの右ミラーがホームストレートで脱落したことで、展開が大きく変わった。
アルボンのミラーはコース中央に置き去りとなり、先頭が30周目に入る頃には当該区間にダブルイエローが提示され、この区間でスピードを緩めなかったマクラーレンのランド・ノリスに10秒のストップ&ゴーペナルティを科された。
走行するマシンがミラーを踏む危険性は明らかだったものの、FIAはバーチャル・セーフティカー(VSC)もセーフティカーも介入させず、レースを続行させた。
しかし4周後、キック・ザウバーのバルテリ・ボッタスがミラーを踏みつけてしまい、コース上にデブリが散らばった。その後、フェラーリのカルロス・サインツJr.とメルセデスのルイス・ハミルトンがデブリを踏んだかパンクに見舞われたため、最終的にセーフティカー出動となり、デブリがようやく回収された。
F1レースディレクターに就任したばかりのルイ・マルケスの対応が大きな話題となっており、一夜明けてFIAは、カタールGPでの判断について説明を行なった。
声明の中でFIAはこう述べた。
「通常の慣例では、レーシングラインから外れた位置に少量のデブリがあった場合、セーフティカーは出動されない」
「マシンがミラーに激突した際のデブリは広範囲に及んでおり、その直後にパンクが発生したため、セーフティカーを出動せざるを得なかった」
しかしFIAは、カタールでの出来事をより詳細に検討し、将来的に改善できるかどうかチームと話し合うことを認めた。
「FIAはその方法とプロセスを常に見直しており、特定のシナリオをさらに分析し、チームと話し合い、将来的に異なる行動を取る必要があるかどうかを確認する」とFIAは述べた。
■セーフティカーのライト故障
カタールGPでは、このミラーの問題が発生した後、リスタート時にセーフティカーのライトが故障したことでさらなる混乱が生じた。
ライトが不具合を起こしたことで、トップを周回していたレッドブルのマックス・フェルスタッペンは何が起こっているのか分からなくなった。そのため、かなり遅れた段階でレーシングスピードに戻ることとなり、後続のノリスからの接近を許した。
ライトの誤作動についてFIAは次のように説明した。
「セーフティカーが(ピットに)入ることは全チームに口頭で伝えられ、リスタートは通常の方法で行なわれた」
「誤作動の原因は特定され、修正されたが、慎重を期して、セーフティカーは3回目の出動に間に合うよう交換された」
■ノリスのペナルティ
カタールGPで大きなトピックとなったのは、コース上に落下したミラーに対して提示されたイエローフラッグを無視したノリスに科されたペナルティの重さだった。
メルセデスのトト・ウルフ代表は10秒のストップ&ゴーペナルティという裁定を「残酷」と評し、マクラーレンもインシデントの見直しを求めた。しかしFIAは、この裁定は標準的な慣行に沿ったモノだと説明した。
「ペナルティは2024年2月19日に各チームへ配布されたペナルティガイドラインに従ったモノだ」とFIAは言う。
「ダブルイエローの違反は安全性を著しく損なうモノとみなされるため、このような違反には厳しいペナルティが科される」
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