
レッドブルはF1イタリアGPで古いフロアをベースとしたハイブリッドバージョンの実験を継続する予定だという。
レッドブルは、マクラーレンやメルセデスと比べて今季マシンRB20が競争力を失っている理由を探っており、5月のエミリア・ロマーニャGPで導入したフロアのアップデートがその引き金になったのかどうかを検証している。
問題の真相を究明するため、前戦オランダGPでレッドブルは、マックス・フェルスタッペンのマシンに改良型のフロアを搭載した。
このフロアはシーズン開幕から5戦4勝をマークしたエミリア・ロマーニャGP以前のデザインをベースに、チームが確実に機能すると考える追加アイデアも取り入れられたものだった。
新旧の要素を寄せ集めたこのフロアについて、ある関係者は非公式ながら、ツギハギだらけの怪物フランケンシュタインになぞらえて“フランケンフロア”と表現していた。
フェルスタッペンはこのフランケンフロアを装備してオランダGPに出走したが、週末を通じて天候がまちまちだったため、セルジオ・ペレスが走らせた新バージョンとの相対的なパフォーマンス差を正しく把握するのは困難だった。
そこでレッドブルはイタリアGPで再びフェルスタッペンとペレスで比較テストを実施し、新しいフロアがRB20のバランス問題を引き起こしているかどうか、より深く検証しようとしている。
チームの状況把握についてフェルスタッペンは次のように語った。
「問題は、ザントフールトでの風と雨で、ちょっと読み取るのが難しかったということだ」
「でも、今はまた違う週末だ。もちろん、マシンでトライしたいことの他に、コースもかなり異なる。だから正しい判断ができるように、その点も把握しておく必要がある」
「ただ、僕らはマシンのバランスを改善するために色々と試しているよ」
レッドブルの実験は新旧フロアのバランスの違いについて答えを得ることが目的だが、フェルスタッペンは最新バージョンが持つパフォーマンスに疑問を抱いていないという。
レッドブルが中国GPを制した頃の仕様に戻したらどう思うかと訊かれたフェルスタッペンは次のように答えた。
「速くなるとは思わない。他のチームはもちろん、マシンをとても上手くアップデートしている」
「僕らにとしては、マシンのダウングレードでバランスが良くなっても、必ずしも速くなるとは限らないよ」
またフェルスタッペンは、レッドブルに求められるのはマシンバランスをより良いウィンドウに戻すことだと語った。
「僕らはバランスの問題を理解しているし、あとはマシンをよりドライブしやすくして、競争力を高めることができるかどうかだ」とフェルスタッペンは付け加えた。
「風洞にあるモノ、CFDにあるモノ、どこで改善すべきかを理解していると思う。それは問題じゃないよ」
■ニューウェイ離脱の影響
絶対王者レッドブルが不調に陥った時期は、空力の鬼才と言われるエイドリアン・ニューウェイがチームを去るという発表と重なるところがある。
ニューウェイは来年の初めまでチームの一員ではあるものの、既に技術部門からは外れており、それがパフォーマンスの問題と関係しているのではと指摘する声もある。
しかしフェルスタッペンは、ニューウェイ離脱と苦戦に関連性があるかという質問にこう答えた。
「基本的にはそうじゃない。ただ彼の離脱が発表されて以来、より難しくなっている」
「でもたとえ誰かがその場で去ることになったとしても、すぐにパフォーマンスが落ちるという問題にはならないはずだ。マシンは常に同じなんだからね」