
メルセデスのジュニアドライバーであり、来季のF1昇格が取り沙汰されるアンドレア・キミ・アントネッリ。メルセデスのワークスチームからいきなりデビューを果たす可能性があるため注目を集めているが、トト・ウルフ代表がその評価基準について語った。
今季フォーミュラ・リージョナルからF2にステップアップしたアントネッリは、雨絡みのシルバーストン戦スプリントレースで初優勝を飾り、先日行なわれたハンガリーのフィーチャーレースでも勝利を飾った。その活躍ぶりはメルセデスからも注目されており、特にハンガリーでのパフォーマンスはチーム代表のウルフから称賛を浴びた。
一方で、メルセデスが見ているのはリザルトだけではない。ウルフ代表が見たいと思っているのは、アントネッリが進歩を続け、失敗から学ぶ様である。
ハンガリーでのレースの後、ウルフ代表はこう語った。
「キミは良い仕事をした。2種類のタイヤコンパウンドを使い分けながら、レースで圧勝した。非常に力強く、優勝に相応しい走りだった」
「彼の速さを疑ったことはないし、本当に重要なのは学んでいくことだ。彼は非常に早い進歩を遂げてここまで来たが、タイヤマネジメントなどあらゆることを学ぶ必要がある。だからこそ(今回の勝利は)意味があるんだ」
既に来季ハースからのF1デビューが決まっているチームメイトのオリバー・ベアマンが苦戦する中、目覚ましい活躍を見せるアントネッリは、8月にようやく18歳の誕生日を迎える。彼はルイス・ハミルトンの後任としてメルセデスからF1デビューを果たすとなった場合、まだ準備ができているかどうかは分からないと公言している。
ハンガリーの週末の前にアントネッリは次のように話していた。
「F2ではまだ多くのことを学んでいる。僕はまだ多くのミスを犯すし、本当に重要なディティールの部分では全てを正確にやれているわけではない。僕は正直でいたいんだ」
しかしウルフ代表は、ミスを犯し、そこから学ぶことこそがF2の目的であり、F2の予測不可能性が高い気まぐれな性質を考えると、リザルトからドライバーの才能を判断するための明確な基準は得られないのだと強調した。
またアントネッリは2年落ちのメルセデスF1マシンでプライベートテストプログラムに取り組んでおり、F2でレース運びの技術を学びながら、F1チームにその速さを証明することができる。
「ある意味我々は、自分たちが17歳の時にどれほど愚かだったかを忘れてしまうことがある」
ウルフ代表はそう語る。
「ハッキリと言えるのは、私のような未熟さでは、このように非常に激しい競争の中で明確な判断を下すことは難しい」
「だからこそ私が彼に見せて欲しいのは、ミスから学び、プレマ(所属チーム)のパフォーマンス、タイヤマネジメント、レースやタイヤの読みなどを向上させてチームを導き続けることだ。彼はその全てをやってのけた」
「今は彼がそのレベルで集中し続けられるかどうかを見る段階に入っていく。しかしF2ではその辺りの判断が非常に難しい。F1テストで見られるデータからは良い兆しが見られている」