
レッドブル・レーシングのセルジオ・ペレスが苦戦を強いられていることで、チーム首脳陣は後任ドライバーの検討を進めていると言われており、サマーブレイク中にもその決断が下されるという声もある。
後任リストの一番上に名前があるとされているのが、リザーブドライバーを務めるリアム・ローソン。昨年はダニエル・リカルドの代役としてF1に5戦出場し、首脳陣に好印象を残した。
一方でレッドブル・レーシングの姉妹チームであるRBの角田裕毅は、今季活躍しているものの最有力候補に挙げられることは少ない。長年F1の現場で取材を行なってきたmotorsport.comグローバル版エディターのジョナサン・ノーブルは、角田がシニアチームに昇格する可能性は低いと考え、実現には「即座に勝てる力」が必要だとの考えを語った。
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レッドブルは角田を過小評価していると思うか? その答えはイエスでもあり、ノーでもある。
角田裕毅は現在、今後のF1キャリアに関して身動きが取れない状況にある。
一方で角田はRBで素晴らしい仕事をしており、チーム代表のローレン・メキーズはハンガリーGPの週末、角田が今季どれだけ成長したかを私に説明してくれた。
RBは現在、コンストラクターズランキング争いでハースとますます激しい戦いを強いられており、僚友ダニエル・リカルドは期待された結果を残せていない。RBが今シーズン残りの戦いに望みを繋ぐ上で、角田は重要な役割を担っているのだ。
コンストラクターズランキングの順位によって配当金が大きく変動することから、レッドブルとしては“ジュニアチーム”が力を発揮する上で最適と思われる人物を失うことは避けたいはずだ。
ただ角田に個人的な野望があるのは明らかだ。その夢はマックス・フェルスタッペンと並んでレッドブルのシートを得ることだ。特に現在セルジオ・ペレスを取り巻く環境の変化があればなおさらだ。
しかし、レッドブルが角田をステップアップさせるべきだと確信するような見事な走りをまだコンスタントに見せることができていない今、角田はほとんど勝ち目のない状況に置かれている。また角田がRBでポイントを獲得すればするほど、RBとしては角田をレッドブルに渡したくないはずだ。
レッドブルがローソンではなく角田をシニアチームのドライバーに選ぶには、よほどセンセーショナルなこと、つまり角田が即座にレースで勝つことができるとレッドブルが感じるようなことがなければ、おそらく不可能だろう。