2024.7.20

F1メカ解説|レッドブル、”砲塔”スタイルのエンジンカウルを「諦めた」わけじゃない? チームは「サーキット特有」の変更だと説明

Giorgio Piola

 レッドブルはF1ハンガリーGPにアップデート版のパッケージを持ち込んできた。これにより、エンジンカウルの両サイドに存在していた、砲塔のようなセクションが排除され、ある意味”普通のF1マシン”のようなスタイルになった。この新しいパッケージは、今回はマックス・フェルスタッペンのマシンにのみ投入されており、セルジオ・ペレスのマシンは従来通り砲塔状のカウルを備えたままになっている。

 この変更は、ハンガリーGPの舞台であるハンガロリンクで必要とされる、ハイダウンフォースかつ高温というサーキット特有の条件に対応したものであり、それに新しいフロアやそのほかの空力パーツを組み合わせたものであると思われる。

 前述の通りこの新しいパッケージは、ヘイローの付け根から後方が砲塔のように直線的に連なっていた部分がなくなり、馴染みある急激に下に向かって落とし込まれるような形状となった。そしてボディ全体が圧縮されるような形になり、リヤの排熱用開口部付近で再び広げられている。

 FIAが配布した車両プレゼンテーション資料の中では、この新しいエンジンカバーとサイドポンツーンのレイアウトは「サーキット専用」であると説明されている。つまりこれらのアイテムは、低速で高いダウンフォースが求められるサーキットでのパフォーマンス向上を狙ったものであると考えられる。

 つまりサーキットのレイアウト次第で、レッドブルは従来の砲塔型エンジンカウルを復活させる可能性があるということを意味していると思われる。

 チーフエンジニアのポール・モナハンは「これは気温とコースの特性に関係している。ここでどのように機能するか見てみよう」と語った。

「ラップタイムが相対的に悪ければ、検討しなければいけない。しかし、この方向性で進めていくつもりだ。予想よりも早くパーツが完成できたので、素晴らしい仕事をしてくれたファクトリーの皆さんに感謝する」



サイドポンツーンの形状も大きく変更

Giorgio Piola


 この新型パッケージの車体中心部の変更を実現するためには、ヘイロー付近に存在していた開口部が削除されたことも含む、ボディワーク内部の変更も必要だった。

 従来型ではエンジンの横に存在していた箱型の冷却ダクトが、新型では無くなっている。これに伴い、カウルのルーバーの形状も変更された。また、サイドポンツーンの肩口の形状にも、変更が加えられている。

 サイドポンツーンの肩口の盛り上がりは、新型(右)では旧型(左)よりもかなり前方から始まり、その後方まで続いている。まるでウォータースライダーのような形状なのだ。これによりサイドポンツーン上面を流れる空気を、ボディカウル後端の幅が狭くなっているコークボトルと言われる部分に誘導している。

 新しいパッケージには、改良されたフロントウイング、修正されたロワウイッシュボーンのフロントレッグのフェアリング、リヤのブレーキダクトフェンスなども含まれている。これによりレッドブルは、RB20の空力効率と冷却を最適化しようとしている。

 車両プレゼンテーションの書類では、気流の安定性を担保しつつダウンフォースを高めるため、フロントウイングの4枚のフラップ全てが変更されたと説明されている。

 しかしフロントウイングの変更で最も重要なのは、フラップのアジャスター機構が外型に移動されたことにあるかもしれない。これは速度に伴い、異なるダウンフォースを提供するためのものだと思われる。

 またノーズ本体も変更。これまでの四角い形状のモノから、より丸みを帯びた形状に変更された。

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出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/why-red-bull-has-abandoned-its-mercedes-style-gulleys-for-now/10636406/
この記事を書いた人 Matt Somerfield

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